マーケティング戦略|コラボレーション(協業マーケティング)について
Webマーケティングについては「TANOSHIKA HP作成」サイトにも詳しく掲載しています。
今回の記事では、マーケティング戦略|コラボレーション(協業マーケティング)について書いてみます。
情報元は『マーケティング戦略』 野口智雄著 です。
相互利益のための協業
異業種の企業や競合企業との相互利益を得るために協業することをコラボレーションといいます。これには主にモノやサービスが売れない状況下で、お互いの強みを生かしたり、コストの低減を図ろうという考え方に基づいています。
コラボレーション(協業マーケティング)
★コラボレーションには主に次のようなタイプがあります。
①シナジー型 今日しばしばみられるのが、有名企業同士で強みを生かしてシナジーを得るタイプです。これは、たとえばハイブリッド型の共同開発製品にみられ、1つの製品に2つのブランド・ネームやロゴをつけるのが一般的です。ディズニーやハローキティのキャラクターと携帯電話の一体化がこれに当たります。また、有名企業同士によるコラボレーションCMも同様です。
②アウトソーシング型 今日のように分業化、専門特化が進むと、企業は自己の得意分野を徹底的に磨き、そうでない分野は他の企業に任せ、協力し合ったほうが、相互利益につながることがしばしばあります。近年の映画業界の斜陽により、映画配給会社とテレビ局が「制作委員会」を立ち上げ、共同して作るという形が一般化してきています。
③コスト分担型 コスト分担の面から、共同化できるところはライバルとでも一緒にやるというタイプです。典型例は、ビール瓶で、ビール業界ではライバル関係にある企業同士で瓶を共通化して使い合っています。
★企業間でのコラボレーションは、違和感の魅力を生むことがあり、シナジー効果を発現させたり、コストを低減させたりする重要な取り組みといえます。
最近の動向
家電量販店×アパレル
2012年にオープンしたのが、家電量販店B社とアパレルY社の共同店舗です。
業態は同じ小売業ですが、家電量販店とアパレルという異業種がタッグを組んだ店舗展開が話題になりました。
他店では女性の割合が3割程度であったB社ですが、この店舗では45%を超え、普段は家電に縁のない若年層が衣料品の購入のついでに商品を見にくるなど、新しい層へのアプローチに成功しています。
メガネブランド×美容院
メガネブランドJ社が美容院とコラボレーションして始めたのが、美容院のお客様にメガネを提案するサービス。
利用者はヘアスタイルのアドバイスを受けながら、新しいヘアスタイルにあったメガネを探すことができます。
メガネの試着には、仮想試着システムを利用。自分の顔写真をスマートフォンやタブレット端末で撮影してサーバーにアップロードすると、2000種類以上の眼鏡を試すことができます。
メガネ販売店では、美容院という新しい顧客とのタッチポイントを増やすことができ、美容院側も本業以外にメガネ販売のインセンティブを獲得できるというメリットがあります。
異業種ではありますが、ヘアスタイルとメガネというファッションに関連した親和性の高い組み合わせであることから、両者の売り上げ拡大が期待できそうですね。
飲食店×タクシー
飲食業界とタクシー業界。
どちらも新型コロナウイルスによる外出自粛によって深刻なダメージを受けている業界です。
広告代理店が仕掛け人となり、飲食店×タクシーのコラボレーションで、テイクアウトアウト・デリバリーメニュー検索サービスが生まれました。
利用者はホームページでメニューを確認し、注文内容・届け先・受取時間を電話で伝えます。
お店側はタクシー会社に配送依頼をして、指定の住所まで料理を届けてくれるという仕組みです。
都心部ではいつでもどこでもデリバリーサービスが利用できるのが当たり前になっているかもしれませんが、地方や中心地を少し離れたエリアには、まだまだこうした配達サービスが行き届いていないところがあります。
全く新しいサービスというわけではありませんが、地元の企業同士を結びつけることで地域の活性化につながる、良いコラボ事例ですね。
温浴施設×蔵元
温浴施設と蔵元のコラボレーション。こちらも新型コロナウイルスの影響を受けて生まれたものです。
冠婚葬祭や各種イベントが減少し、日本酒の消費が落ち込んでいることから、余った日本酒や酒粕を少しでも活用するためのコラボイベントが企画されました。温浴施設で日本酒や酒粕を使用した日本酒風呂や甘酒風呂に入ることができたり、甘酒パックが販売されたり、レストランでは今回のイベントのために開発した酒粕を使った特別メニューが提供されました。
このコラボは、蔵元の悩みを聞いた温浴施設側からの提案で生まれたといいます。
地元企業を助けたい、フードロスを減らしたいという思いから新しいコラボレーションが生まれ、売上・利益の拡大に加えて地域活性化にもつながる事例です。
これまで日本酒に興味のなかった人にも日本酒の魅力を伝える場となりますし、日本酒の飲む以外の活用法についても発信できる機会になったといえるでしょう。
最後までお読みいただいて、ありがとうございました。