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実在事件を元にした話題作『監殺家族』。一家を丸ごとマインドコントロール!その卑劣な手口とは?

※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)

【レビュアー/堀江貴文

NetflixやAmazon,huluなどのネット動画配信サービスの勢いが止まらない。特にオリジナル作品の質は非常に高く地上波テレビの制作予算の何倍もかけ、さらにいわゆる放送コードも緩いのでエログロなんでもござれという状況である。

そんな中私が最近見たドラマがhuluオリジナル作品の「フジコ」である。ミステリー小説「殺人鬼フジコの衝動」が原作のこのドラマ、主人公フジコがカジュアルに殺人を犯しながら遺体をバラバラにしてミンチ化しトイレに流したりするという衝撃的内容でセンセーションを巻き起こした。主人公フジコを演じる尾野真千子の壮絶な演技は特筆すべきものである。

また、漫画「闇金ウシジマ君」「洗脳くん編」でも詐欺師が家族を丸ごと洗脳してお互いを虐待し精神的に追い込んで殺させ合い死体をバラバラにして証拠隠滅するエピソードがある。

しかし事実は小説よりも奇なり。最近も2ヶ月で男女9人を自宅で殺した20代の事件が世の中を騒がせているが、その嚆矢とも言える事件がこの作品の舞台である「北九州市監禁殺人事件」である。

詐欺的訪問販売の布団店を営んでいた首謀者は生来口が達者であの手この手で人を騙すのが得意だった。ある日資産家の娘の少女を騙してマインドコントロールしその家族の弱みに付け込んで一家すべてをマインドコントロールしていくのである。その手法が恐ろしいほど卑劣なのである。一見簡単に逃げだせそうなのだが世間体や弱みというのはそう簡単に一般の人たちからは切り離せるものではないようだ。学校でのいじめ自殺問題にも共通するところがあるだろう。

これまで、いくつかの小説の題材にはなって来た今回の事件だが本格的に漫画の主題になるのは初めてで、話題作となるだろう。