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野球はやっぱり楽しいなあ!!白熱しすぎてもはや"死合"な野球漫画2選

【レビュアー/上原梓

2021年のプロ野球が開幕して1ヶ月以上が過ぎました。野球クラスタの皆さんはいかがお過ごしですか?カープファン歴約30年のレビュアー・上原です。

私は通年、1月31日には選手と一緒に春季キャンプに参戦、年間平均40試合くらい球場で観戦しているタイプ。でも、今年はあいにく、キャンプは無観客だったので、今年はいつも以上に開幕が待ち遠しくて待ち遠しくて餓死寸前でした!

しかし、相変わらず猛威を振るう新型コロナウイルス…

無観客や人数制限があるなど、球場で野球観戦を楽しむことが難しい現状もあります。

そんな時は、球場に行けない悲しみや悔しさをまぎらわせるべく、ついつい笑顔になってしまうような展開の野球漫画を読んでみるのはいかがでしょうか?さあ、野球に対するイマジネーションの翼を無限に広げようではありませんか!!

超人×南総里見八犬伝!!元祖トンデモ系野球漫画『アストロ球団』

週刊少年ジャンプで1970年代に連載していた伝説の野球バトル漫画、それが『アストロ球団』です。

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昭和29年9月9日午後9時9分9秒に生まれた9人の超人たち。生まれも育ちもバラバラな彼らですが、「南総里見八犬伝」の犬士たちのような共通点があります。それは体のどこかにボールのアザがあること…!

集まった野球超人たちは、信じられないような魔球や必殺技を駆使し、メジャーリーグに勝てる世界最強の野球チームの結成を目指して「戦う」のです。

この「戦う」が、野球の試合という概念から逸脱しまくっているのがこの作品の大きな特徴。試合ではなく、もはや格闘。たまに試合中に選手が戦死したりするのです。

私が一番好きな素っ頓狂エピソードをひとつご紹介しましょう。

9人の超人のひとりが、野球とは関係ない事故で死亡。アストロ球団の監督であるフィリピン人のシュウロはその遺体を強奪します。そしてヘリで上空に運搬し、高度5000メートルの高さから放り投げるのです。

すると…なんと!パラシュートが開く時のショックで生き返ったではありませんか!それを受けて放り投げた監督の一言が、「やってみるものだな!」

んな馬鹿な!!

なんだかよく分からないかもしれませんが、そんなハチャメチャ展開が、単行本20巻もの間、ハイテンションで続くのです。

残念ながら、この『アストロ球団』は、現在絶版になっており、古本屋でしか入手できません。私は国会図書館で一気に読み、古本屋で入手しました! どうぞ集英社様、こちらを電子で復活させて頂けないでしょうか!?

『アストロ球団』の後継作品はこれしかない!『デッド・オア・ストライク』

そんなわけで、最高に面白いのになかなか読むことが難しい『アストロ球団』。でも、諦めてはいけません。ちゃんとその血統を引き継いだ作品が現在連載中なのです。

西森生先生の『デッド・オア・ストライク』です!

完全実力主義の野球エリート養成高校、私立頂(いただき)高校。そこに入学すべく、とある島から主人公の初月和希(みかづきかずき)がやってきた。

しかし、彼の片手には「超初級!野球入門」という本が…しかし、この学校で野球ができないということは「死を意味する」ほどの一大事。果たして野球素人の初月は、とんでもない野球高校で無事に生き抜くことができるのでしょうか!?

この『デッド・オア・ストライク』、もうタイトルが最高じゃないですか?死ぬかストライクかって。人生にボールなど、ましてや四球などはなのです。あるのは死球かストライクのみ!!

実際、学内専用のモノレールで入学式に向かう新入生たちは、駅に到着するやいなや、こんな手洗い歓迎を受けます。

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『デッド・オア・ストライク』(西森生/一迅社)1巻より引用

いやいやいやいや!キャッチてあんた!!モノレール内であんた!!

と、いう感じで、驚愕の野球技に全力でツッコミを入れながら楽しく読むことができるのです!

そして、歴代の野球漫画に登場してきた「魔球」ももちろん健在。それだけでなく、バッターの方にも「魔振(ましん)」というハイパー技があり、その技と技の応酬をツッコミつつも手に汗握って読みすすめるのは楽しくてたまりません!

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『デッド・オア・ストライク』(西森生/一迅社)1巻より引用

ああ、こういうの、最高に狂っててとってもいい…!! まさに現代版の『アストロ球団』なんです。

しばらくは観客の人数にも制限があり、静かな観戦が続きます。野次で衝撃派を発することができる頂高校の三軍なら、きっと声を出さずとも、手拍子だけで敵に圧をかけるすごいニューノーマルな応援を編み出しているはず…!

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『デッド・オア・ストライク』(西森生/一迅社)1巻より引用

ワクワクが止まらない上に楽しすぎる「ちょっと様子がおかしい」野球漫画。楽しい野球観戦をさらに楽しくしてくれること請け合いです!!

さあ、ハイテンションに野球シーズンを楽しもうじゃありませんか!!