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僕の彼女は障害者#30

彼女のプロフィール
専門学校卒業|5年間正社員で働く|
鬱病|適応障害|発症|
軽度の知的障害認定|
境界性パーソナリティ障害|
精神保険福祉手帳取得|
幼少期は父親のDV体験|

主治医の休みで通院なし

先週の土曜日は主治医が休みのため、通院がなかった。
通院がなくなると、彼女は不安定になる。
先生と会えない事が不安につながるからだ。
それを理解している彼女は、事前に対策を練っていた。
デイケアで週一回の面談を週2回にしてもらう。
不安時に服薬する薬を常薬にして飲む。
など彼女なりの工夫をして、2週間を過ごすことにしていた。

しかし、月曜日から不安定が爆発した。
女性の特有の月経によるホルモンバランスの不安定感も重なり、かなりの不安感が彼女を覆っていた。
月曜日の朝は
「悪夢をみた」と言って寝起き。
「気持ち悪くて朝食が食べられない。」
「仕事に行かないで」
とにかく一人でいる事が不安で不安で気持ちを正常に保てない、と言った感じだった。
しかし、僕も仕事に行かなければならないので、少しなだめた後に仕事へ向かおうとした。すると彼女は僕の車に向かって「靴」を投げてきたのだ。仕方がないので車を止めて靴を回収しに向かった。靴を回収した後、そのまま車で職場へ向かった。すると電話がかかってきて「なんで不安なのに電話をしてくれないの!?」と怒りの電話。
僕の素直な気持ちを伝えた。
「朝から、悪夢や不安の話を聞かされて、仕事に行く前には服を引っ張ってしがみつかれた。」「そんなことをされて冷静でいられるわけがないし、その状態で気を使った電話なんかできるわけない!怒ってる!」と言うことをストレートに伝えた。
するとLINE電話を彼女は無言で切った。

主治医の休みで通院なし2

その後、特にしつこい電話もなく、仕事に向かう事ができた。しかし、精神的な疲労はなんとなくどんよりする。
仕事に集中するのにも時間がかかった。
精神的ストレスに足を引っ張られて仕事に支障が出ると言うのがよくわかる。
帰宅してから今日の出来事について話し合った。
帰宅した際にはパジャマ姿だった。
パジャマで一日過ごしていたと言っていたが、冷静な表情だったことに僕はほっとした。
話をしていくと彼女はこう分析をしていた。
「土日で人口密度の高い街へ買い物に行ったことでストレス度合いが大きくなってしまった。」「だから不安感も大きくなってしまったと思う。」

僕の対応が未熟

自分で冷静に分析をして原因を探せていたことは素晴らしいことだと思う。(執筆中は気付けるんだが・・・)
その場で彼女を褒めてあげることはできなかった。
僕もまだまだ成長が必要だ。
どうしてもその場では「彼女の悪い点」に視点がいってしまい、そこの話をしてしまうのだ。
彼女自身も「悪いことをしている」と反省をしているのに、そこを更に指摘されるのは苦しいだろう。
僕の対応の未熟さがあることに気づいた。

先生と2週間ぶりの再会

昨日は主治医の先生と2週間ぶりの診察だった。
面談の中では、いつものやりとりが行われていく。
「2週間どうでしたか?」
「睡眠はどうでしたか?」
などのやりとりが進んでいく。
彼女自身は面談が苦手なので事前にノートにまとめておくことも続けている。薬の調整などをお願いして順調に診察を終える事ができた。
とても優しい雰囲気の若い先生。
臨床経験が少ないからか治療方針などを決めていくのに持ち帰ってのそ検討になる事が多かったのだが、最近は指針もはっきりしていて頼りになる先生だ。何より優しい人柄に惹かれる。
彼女の障害のこともよく理解してくれているし、知的障害による理解の細さや自尊心の小ささをよく掴んでくれている。

診察終了後のトラブル

今日は少し話が弾んでしまったので、予定の時間を10分過ぎてしまった。すると外で次の患者さんが待っていて、少しこちらを見ている。
舌打ちもしていた。
それを敏感にキャッチする彼女。
後で彼女は
「私の話が長かったせいで次の人が怒ってしまった。」
「急いでる様子だったから絶対に次の用事に間に合わなくなってしまう。」
といろいろなネガティブ想像を膨らませていく。
これも彼女の特性の一つ。
でも他者視点で細かく人の心を想像できる”強さ”でもあると思う。
これから復職するときには、この強みを仕事に活かしてもらいたいな。

最後に

大変な2週間だったが、通院があることは救いの一つだ。
彼女は見捨てられ不安が強くて、こんなことにも不安を持っている。
僕がゴミの日に近所へゴミ捨てに行こうとするときに「このまま帰ってこないかもしれない」と不安を感じるそうだ。
その話をデイケアの方にするとこんなことをアドバイスされたそうだ。
「今はゴミを捨てに行っているだけ。すぐに帰ってくるから大丈夫。」と唱えることと。
「自分がゴミじゃない」と。
僕の今までの常識で、ここまで人への不安や依存を感じる人はいなかったが、いるのだ。
そして彼女一人だけのはずもなく、世の中にもたくさんいるのだろう。
そんな方々を助けられる一つの道はピアサポートだと感じる。
同じ経験をしたから、しているから共感できる仲間。
人は人に傷つけられ、人に癒される。

ご覧いただきありがとうございました。

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