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ジャズな勉強法

これは「ジャズ」の話ではなく「勉強法」の話である。

ぼくは子どもの頃からずっとクラシックピアノを習って、大学でもピアノサークルで学園祭のときはいつもキャンパスでやる演奏会に出ていたからそれなりにちゃんとやった方なのだけど、その後、数十年を経て、むかしから聴くだけは好きだったジャズピアノをちゃんとやってみようと思ってレッスンに通いはじめて、結構衝撃をうけた。

料理に例えると、クラシックピアノの標準的な教育法は「チャーハンをつくるには、ごはん200gに長ネギ5cm、鶏ガラスープの素が小さじ1/2で・・・。しっかり覚えて確実にできるようにしないとね。そこ、包丁の持ち方まちがってる。」みたいな教え方がふつうだと思うのだけど、

ぼくがジャズで受けたレッスンはこんなイメージだ。

「まずネギに適当に火を通して、どういう焦げ方だとどういう味になるかいろいろ試してみて。それから鶏ガラスープの素を自分で舐めて、どういう味かを自分でたしかめて。

さあ、今からご飯を適当に塩とネギと鶏ガラスープだけで料理すると思って、適当にやってみて。サラダにドレッシングとかマヨネーズかけるならだれでも適量はわかるんだから、ご飯をみればどれくらいかければいいかわかるでしょう。やってみた? さあ、適当にチャーハンつくってみて。」

それで、適当なチャーハンをいろいろつくって経験を積んだら「少しわかってきたみたいだから、ちょっと本格的なチャーハンの作り方のひとつをやってみせるね。作り方はいろいろあるけどね。」「ところで、実はネギに熱がとおったときに起きてる化学反応はこういう化学式で書けるからおぼえといて」みたいなレッスン。

まあこれはツッコミどころだらけの説明で、「だいぶ違うと思うけど?」という反論もクラシック、ジャズ界隈の両方からいろいろ聞こえてきそうなのだけど、雰囲気ですよ、雰囲気。もしジャズ界隈の人から「塩とかネギとか鶏ガラスープって何の例え? ジャズってそんな適当じゃなくてもっとちゃんと勉強しないと無理じゃない?」と言われたら、「CとかFとかブルーノートスケールとかの例えですよ。料理だったらそもそもネギとか醤油とか学ぶ必要がないけど、ジャズだとそういう基本要素から学ぶ必要がありますよね。そこを省略して説明しただけですよ」とでも言い訳しておこうと思う。

それで、「なにが勉強法の話?」ということで言うと、クリエイティブなものを学ぶのっって、ジャズ的なスタイルの方がいいんじゃないかな。ぼくはたまたま情報の教員をやってるけど、プログラミングとかは、テキストを1ページ目から何度も読んだらできるようになるという感じではなくて、最低限の基本だけやったら、自分がつくりたいものを「どうやったら作れるかな」と調べながら学ぶ方が成長が早いような気がします。

一応言っておくと、天才を超一流に育てるのだったら、最初からクラシック的なスタイルでもいいと思います。どうせ、ふつうの人の何倍もの速度で言われた通りのことをやって、勝手に殻をやぶったことをやりはじめちゃうから。でも、ふつうの子どもすべてに教えようという話だったら、クラシック的なスタイルでやると、いやになっちゃう方が多いんじゃないかな。

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