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#43 遅読という罪

本を読むのが遅い。

今までは「遅読」を自身の性格や癖として捉えていた。
しかし、現在「ライター」をしている私にとって、「遅読」は致命的な欠陥のような気がする。

さらに、三砂慶明さん著『千年の読書』にこんな内容が書いてあった。

本には人を変える力がある。時代も、場所も、言葉も関係なく、読む前と読んだ後では世界が一変してしまうような出会いがある。

三砂慶明『千年の読書:人生を変える本との出会い』より

単純に考えると、本を読むのが遅い私は、本と出会う回数が必然的に減る。一生のうち読める本の数が、他の人のそれよりもかなり少ないということになるのだ。

今までは「積読が増えちゃうんだよなあ」くらいで済ませていたが、そんな軽い問題じゃなくなってきた。
私の人生を変えるような素晴らしい本との出会いを自ら遠ざけているかもしれない。

なんてこった。
日頃から下腹が痩せなくて嫌だなあとか、歳とともにシミが増えたなあとか、くだらないことを気にしている場合ではなかった。
私が悩むべきなのは「遅すぎる読書スピード」、その一択ではないか。

遅読の理由は、実は自分でも分かっている。頭の中で音読しながら読む癖のせいだ。
私は目で字を読み、一旦心の中で音読して脳に入れている。だから遅い。
改善するには目で文字をなぞり、そのまま脳に持っていく訓練を重ねるしかない。つまり「もっと本を読む」ことでしか解決しない。

私の余命、あと何冊本が読めるだろうか。
そう考えると本を読むのが遅いことは、私の人生にとって罪かもしれない。

しかし落ち着いて考えてみると、ライターを志して読み始めた過去2年分の読書時間でも、すでに運命的な出会いを私は経験している。
運命の本との出会いは、たしかに読む前と読んだ後の私の人生を変えてくれた。
ここまで書いて今さらだけれど、遅読家なら遅読家なりの「本との出会い方」があるような気がしてきた。
その時々の出会いを私が敏感にくみ取ることができたら、うまく共存できるかもしれない。

とはいえやはり「遅読」は貪欲に生きていくと決めた私にとって、罪。
もっとたくさん本を読み、素晴らしい作品に出会いたい!と願う気持ちは変わらない。





ところで。
「下腹の贅肉も右頬の薄茶色の楕円も、『遅読』に比べたら大したことはないじゃないか」と、全く本編に関係ないポジティブな発想が生まれてきた。




こんな性格だから、遅読はとうぶん治らない気がする。





















































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