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ショートカット事件

40代男性が部署異動でわたしのチームにやってきた。
愛想が良く、年下の私にも下から来てくれる方だった。
怖い人が来たらどうしようと思っていたのでとても安堵した私がいた。
この人が違う意味でものすごく怖い人だとは思いもせず。

私の働いている職場はとても気さくでだいたい良い人しかいない。良い人の基準は人それぞれだが、向こうの都合や感情、気分で怒ったり注意したりするようなそんな人が誰1人いない。
本当に心地よく働いていた毎日がこの日を境に地獄へと変わる。

新しく来た40代男性の教育係となったわたしは主要なファイルをショートカットを作成しデスクトップに置くようにと指示を出した。

それに対して「すみません、ショートカットとはなんでしょうか?」と非常に奇妙な返答が返ってくる。

そのくらい知っていて当たり前の知識ではないのか?と思いながらもとりあえず説明することとする。Googleに書いてある通りの内容だが「目的のファイルを早く利用するために使用するアイコンのことですよ。」と伝えた。

「う〜ん。どういうことだろう?難しいな」

なぜわからない。と思いながらも
教え方が端的すぎたのか、もしくは的外れだったのかと考え、

「どこが難しいと思いますか?」とうかがってみた。

「結論から言うね。」と40代男が言う。

「ショートカットっていうのは練習用のファイルってことだから、ショートカットのファイルをいじっても誰も見えないってことだよね、ということはこれを僕は触って練習すれば良いってことなんだろうか?あとね、大元のファイル、これは探すのに時間がかかりそうだけどどうやって覚えたの?」


結論はどれなんだ。

こんなに理解もしていなければ、訳がわからない質問が返ってくるとは思わずイラつきよりも驚きを隠せなかった。
わーお、と小さな声で呟いてしまうと、

「やっぱり大元のファイル探すの難しいんだね!!覚えるのにじかんかかるな〜ふぅーっ!!うし!!」

どうやら勘違いに勘違いを重ねて気合を入れているようだ。

この人はきちがいだったのだ。

相当優しい、分かりやすい教え方をしなくては理解してもらえない。

その上で少し時間をおいて伝え方を考え下記のように伝えた。

「ショートカットを一度作りましたのでクリックしてみてください。
今実際にやってみていただいた通り、ショートカットは大元にたどり着くスイッチみたいなものです。
デスクトップにスイッチを並べておくことでワンクリックで大元のファイルまでたどり着けるんです。」

これでどうだ。

「うー〜ん。スイッチは押し間違えて何かエラーが起きたら大変なんじゃないかな?」

. . .

時限爆弾の話をしていたのか?私は。。。
小学校の頃にクラブチーム先生にミスプレイをするごとに言われていた「頭爆発」と言う言葉が私の頭によぎる。

この人は恐ろしい。
怒鳴ったり怒ったりする怖い人よりも怖い人は存在した。

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