見出し画像

「ユーザーリサーチ論」はじめました。

2019年後期から母校で「ユーザーリサーチ」を教えることになりました。非常勤講師のせんせいです。相手はデザインを学ぶ大学3年生。イスをつくったり、「情報機器をデザインする」という実習に取り組んでいる学生たちです。

大学生は「ユーザーリサーチ」に取り組むのは初めてなのでこんなタイトルにしてみました。

授業のテーマ「アンケート調査」

この日のテーマはアンケート調査。
「さあ、質問項目考えましょう!」とはいきません。


アンケート調査の本を読んだりすると、尺度の話やグラフ表現の話、クロス表の話がメインになっています。

しかし大事だなと思ったのは分析の軸を想像して調査設計をすること。「分析の軸を判断するために仮説を立てること」。

「仮説ね!」
簡単なようでこれが結構難しい。

何度もアンケート調査している人なら、分析軸をおもいつくのですが、分析軸を思いつけない人にその足掛かりを教えようというのを講義の目的にしました。

参考にしたのはこの本
マーケティングリサーチとデータ分析の基本
仮説の重要性を事例を交えながら紹介しています。

■テーマ
高校の部活に関するアンケート
■前提条件
あなたはある高校の先生です。
〇〇(好きな部活を)部活の顧問をしています
■アンケートの背景
「運動部に入る生徒が去年より半分になって大会に出れない部が4つでてきた。運動部に入ってもらうにはどうしたらいいか」という課題(悩み)があるため、1年生の考えを聞いて学校全体の部活の在り方を考えたいと思いました。

仮説を立てるのに大事なのはアンケート対象および関係するステークホルダーのことをどれだけ考えられるかですね。なので、グループでどんな高校のどんな課題解決するためのアンケートにするか自由に考えてもらいました。

ステップ1)自分たちの高校を作る
ステークホルダーを「先生(今回は自分)」「一年生」「部活」「学校」とし、それぞれの「現在の状況」「現在の気持ち」を書き出しました。

ステップ2)アンケートで明らかにしたい課題を設定する
グループで考えた自分たちの高校での課題を文章にします。文章にすることであいまいになっていた点もクリアーにすることが目的です

ステップ3)仮説を作る
課題を基に2つの視点で仮説を作ります。ひとつ目は「現状こうなっているんじゃないか?」という仮説。ふたつ目は「こうすれば解決するのではないか?」という仮説。

ステップ4)仮説を基に質問項目を出す
仮説を明らかにするための質問項目を考え、アンケートのつじつまが合うようにします。

画像1

頭の中をジンジンなるくらい考えて、話し合って、自分たちの対象を作り上げてもらいます。どんな軸で調査するのかはここにかかってくるのです。


あるグループが考えた設定と調査


■設定
女子高校、運動部はバド部のみ、グラウンドがない学校、バド部がヤンキーのたまり場になっている、後輩いじめが過去にあった、先生がやる気ない、合唱部が強い(人が吸われる)、結構な進学校
■調査設計
一年生全員に聞いたところ、見学者が少ないということが分かった。部員に対する恐怖が影響していると思ったため、その要因を把握したい。
■調査仮説と設問
下の画像をごらんください

画像2

画像3

自由な発想で設定し、仮説を立てたようですね。学校の設定がかなりとがっていますwwでもいいんです、初めてですもの、楽しくなくちゃ(個人的にはとがっていたほうが仮説が立てやすいとおもいます)。

学生からは「当たり前だと考えず想像することから。視野を広く物事を想像するようにしたい。」「起こっている課題に対して、細部まで観察することが大事だとおもった。機会があったら活用したい」など最後にコメントをもらいました。

いやあ、このあたりが少しでも伝わったらとってもうれしくなっちゃいますね。仮説を立てるとき、対象者のことを想像するきっかけになったらとおもいます。

ではまた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?