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日常

帰省していた息子が一人で暮らす都会へと戻っていった。
これからまた、いつも通りの日々がはじまる…
といっても、息子がいた1ヶ月余りが特別な日々だったわけではない。
しばらく前に続いていた暮らしが再開していただけのこと。
その頃と違うことといえば、受験生がいるピリピリ感がなかった、ということくらい。 

実家で過ごす息子は規則正しく起き、動画を見たり、ゲームをしたり、本を読んだり、時々映画を観に出かけたりしていた。もう少しアクティブな青年の姿を期待していたけれど、彼が自分のペースを崩すことはなかった。
それでも、ショッピングやドライブに誘うとにこにこして付き合ってくれた。

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その日は、祖母への挨拶を済ませ、愛犬を抱きしめてから空港へ向かった。
途中で昼食をとり、小さな花束を買って祖父のお墓参りも済ませた。
息子はよく話をした。これからやりたいこと、そのために必要なモノやコト、彼自身が現在取り組んでいること…その途中経過も見せてくれた。
彼のこれからの毎日は、きっと楽しい。
軽いグータッチをして見送った。

息子がいたこの夏を思い返した。
新しい環境で、これまでと違う毎日が始まるのはわくわくする。
しばらく違う生活を送った後、いつも通りの日々に戻るとホッとする。
でも、大切な人がいない隙間を日常として受け入れていく日々は、少し寂しい。





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