9/20 始まるまでが一番たのしい

 今日は、ずーっとずーっと楽しみにしていたマンガの新刊の発売日で。昨日寝る前までは、「明日買いに行くぞー!」とわくわくしていたのに、今朝起きてみたら、「今日行かなくてもいいかな……」とちょっとテンションが下がってしまっていた。新刊が楽しみな気持ち、読みたい気持ちはかわらずあって、近いうちに絶対読むのに、どうして少し気持ちが落ちてしまったのだろう、と自分なりに考えた。

 締め切りが近づいてきている仕事がほぼ手つかずで2件残っていて、マンガ読んでる場合じゃない、という仕事事情・自制心・責任感もある。それでか、と納得しかけたけれど、もっと大きなところを突き止めた。

 わたし、『始まるまでが一番たのしい』みたいなところがあるかもしれない。

 何事も、準備している間や発売日・リリース日を待っている間の方が希望・妄想に溢れて楽しんでいるような気がする。実際に始まってしまえば、あとは終わりに向かうだけだったり、準備や考えたことの単なる確認作業になってしまったり。始まるまでの期間中にいろいろ想像し過ぎるせいか期待値の高まりが半端なくて、現実に「まぁ、こんなもんか……」と拍子抜けしたり。「始まったら、終わってしまうから」の「始まりたくない病」に罹っている。いや、ゲームとかマンガとか、楽しんでるし感動もするけれど。プレイや読書が終わったら、楽しみも終わってしまう、そのさびしさは欲しくない、みたいな。ずっと楽しんでいたい。

 思えば、過去の仕事でも、例えばイベント開催だったら、企画して準備している期間がやっぱり充実していた。「この人来てほしい!」「企画通ったー!」「当日の流れはこっちの方がたのしそうかな?」「告知ポスターのデザインこんなかんじでどうだろう!?」「申し込みいっぱいきてる! うれしい!」みたいな。当日、会場で受付するくらいまでわくわくして、実際にイベントが始まってしまえば、もうあとはやることやるだけ、きちんと進行するのみ(いや、きちんと楽しいのは楽しいのだけれど)。終わって片づけて打ち上げして、なんてのはもう思い出づくりで、報告書作成なんかはもう事後処理でしかない(大事な仕事だけれど)。

 文化祭や体育祭の準備が楽しかったのも、そういうことだよな、とか。旅行も行き先やルートを決めるところが山場だな、とか。いろいろやってみたいことはあって、その準備は万端整えているのだけれど、実際に取り掛からないのは、もうその『準備』そのものが楽しくて、わたしの楽しみはそこでひと段落ついちゃってるからだな、とか。始める準備が終わってる『趣味になりそうなもの』に囲まれて過ごしているけれど、楽しい準備が終わった今となっては、単なる『宿題』みたいになっちゃてる部分があるな、とか。わたしにとっては、手芸のキットみたいなものを買うのは「つくるのを楽しむ」ためじゃなくて、「こんなの自分でつくれるの!? すごい! やってみたい!」っていうわくわくのためで、そのキットを買うところで実際に作らなくてもゴールしてるな、とか。

 そんなことを考えた、急に鼻水がずるずるしはじめた午後。

 準備とか、お膳立てとかを延々とする仕事とか、楽しいのかもしれない。旅行代理店? ブライダルプランナー? ……想像してみたけれど、人のお膳立ては、楽しいこともあるだろうけれど、相当大変そうだと思った。自分のための準備が楽しい。

 新しく見つけた、『趣味・準備、お膳立て』。あぁ、いわゆる『初心者キット』みたいなのをつくるのも楽しそうかも。

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