見出し画像

性被害を思い出す

昨年、色んな性被害が露見した。
ついに‥いや、やっとだと思う。

私が初めて性被害に遭ったのは小学生の頃だった。
この話は、とりあえず置いておこう。
私の被害は1件や2件ではない。
話すには少し気持ちの整理とタイミングが必要だから。

はなせる範囲で最も軽そうな被害は、盗撮であった。
15歳の頃、都内の某電車に座っていたら
前の座席の男が座ってる位置から静かにデジカメを出し
私の足の奥を撮っていた。

血の気の多い私は、男が降りたタイミングで
一緒に降り
「写真撮りましたよね?駅員さんのところへ行ってください」と声をかけた。
男は当然抵抗する。
カメラの中身を見せて何も無ければ謝るから
とりあえず駅員のところへと行っても逃げようとする。
揉みくちゃになっていた。

その時、ホームに電車は止まっていた。
いろんな人間が私たちを見ていた。
だけど、誰も駅員を呼ぶどころか助けてくれることもなかった。
見て見ぬ振りだ。

今の時代だったらありえない話であろう。
でも、たった20年前
携帯も携帯カメラもあった時代に
年端のいかない少女が男と揉めていても
誰も助けてなんてくれなかった。

駅員が来た頃には、男は逃げた。
事情を話したが、訝しげに扱われただけだった。

だから私は学んだ。
誰も助けてくれない。自分の身を守るのは自分しかいない。
この当時に声を出しても、他人はこうだった。
警察に行っても無駄、大人に話しても無駄、そんな時代だった。

(2002.09頃)