見出し画像

コーヒーの勉強 Vol.3「精製方法」

精製とは

 コーヒーチェリーを収穫した後は、生豆を取り出す作業を行います。これが精製であり、地域により異なったり、味覚にも大きな影響を与えます。一般に、1kgの生豆を得るのにおよそ5kgのコーヒーチェリーが必要とされています。精製がどのような流れで、何をおこなっているのかをまとめていきます。

ナチュラル(乾燥式)

①フロータ選別②乾燥③脱穀④生豆となる⑤選別・グレーディング

 収穫したコーヒーチェリーを、色から判断し選別します。それをそのまま太陽の下、またはビニルハウス内に広げ、干し葡萄のように黒くなるまで乾燥させます。その後、脱穀機で果肉とパーチメントを一緒に除去します。乾燥ムラを防ぐために適宜攪拌します。乾燥日数は、成熟度が高ければ数日、未成熟であれば1〜2を週間を要します。夜間は夜露を防ぐためにシートをかけます。一部地域では、機械で乾燥させるところもあるようです。作業工程が単純かつ比較的低コストで行えるため、かつてはほとんどの国がこの精製方法を採っていました。現在でも、大量の水を確保できない地域や広大な土地を持つ地域が採用しています。現在の主な採用国は、ブラジル・イエメン・エチオピア・インド・中米などです。味覚の特徴は、発酵したマンゴーやベリーのような甘い香りと国です。雑味も含め、コーヒー豆の風味や個性を感じられます。


スマトラ式

①パルピング②乾燥③脱穀④生豆となる⑤乾燥⑥選別・グレーディング

 インドネシアのスマトラ島で行われている精製方法です。コーヒーチェリーの果肉をパルパーで取り除き、ミューシレージのついた状態でパーチメントを乾燥させ、生乾きの状態(水分量50%)で脱穀します。脱穀後の生豆を再び天日乾燥し、水分値が10〜11%程度の生豆にします。インドネシアスマトラ島のマンデリンの精製方法です。味覚の特徴は、マンデリン特有の力強い香りが引き出され、深いコクが感じられます。


ウォッシュト(水洗式)

①フロータ選別②パルピング③発酵槽④水洗い⑤乾燥⑥脱穀⑦生豆となる⑧選別・グレーディング

 ウォッシュトが始まったのは18世紀半ばごろと言われています。乾燥後に果肉を除去する乾燥式と反対に、果肉を除去した後に乾燥させます。発酵槽での発酵により、ミューシレージが分解されます。この発酵を工夫することで、味覚に大きな変化を生じさせる特別な精製方法も存在します。ウォッシュトはそれぞれの過程で不純物や欠点豆が除去されるため、精製度は極めて高く、一般的に高品質とみなされます。水源の豊富な地域が採用しており、コロンビア・グアテマラ・タンザニア・ケニアなど世界各国で採用されています。味覚の特徴は、すっきりと澄んだ味わい、上品な酸味が特徴です。ナチュラルに比べるとクリアで澄んだ味わいです。

セミウォッシュド(半水洗式)

①フロータ選別②パルピング③乾燥④脱穀⑤生豆となる⑥選別・グレーディング

 セミウォッシュドは、乾燥式と水洗式の折衷型です。コーヒーチェリーを水洗いにより果肉除去し、天日で乾燥させます。ウォッシュトとの違いは、発酵の過程の有無です。ミューシレージも機械で取り除くため、発酵の時間がかからず、水の使用量も少なく済みます。セミウォッシュドは、ナチュラルよりは品質が安定するというメリットがあります。主な採用国はブラジルや中米諸国などです。味覚の特徴は、ウォッシュトに近く、すっきりとクリアな味わいです。上品な酸味も感じられます。


パルプドナチュラル(ハニー)

①フロータ選別②パルピング③乾燥④脱穀⑤生豆となる⑥選別・グレーディング

 セミウォッシュドと似た精製方法ですが、果肉と共にミューシレージを取り除き乾燥させるセミウォッシュドと異なり、ミューシレージがついたままで乾燥させるのがパルプドナチュラルです。その後、脱穀機でパーチメントを除去します。主な採用国はブラジル・コスタリカなど中米諸国に多いです。味覚の特徴は、ナチュラルに近く、発酵した果実のような甘い香りとコクです。ミューシレージをどれだけ残すかによって、味が変わっていきます。


終わりに

 今回は精製方法についてまとめてみました。名前は聞くもののどのような違いがあるのかまで理解できていなかったものを確認できました。またどの過程で味に影響するのか、どの国が採用しているのかも学ぶことができました。精製方法はコーヒーを買う際の説明に記載されていることが多く、これからは精製方法から飲みたいコーヒー豆を購入するのも楽しみです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?