大失敗した37歳での転職
私は働き盛りでノリに乗ってる37歳の時、人生2度目の転職をしました。
”大失敗”とは転職して成果が出なくて苦しんだという話では無く、苦し過ぎて半年でその転職先を辞めてしまった話です。
今回はいつも書いている人財育成の話から少し外れるかもしれませんが、ご自身のキャリアや転職を考えてる方へ少しでも参考になればと思い、恥ずかしげも無く自分が大失敗した転職経験を残しておこうと思います。
最後には私と同じ過ちを犯さない為に、こうしておけば良かったというポイントを考察してみます。
ちなみに、私のキャリアは自己紹介でさらっと触れてます。ここに書かれてる2社目→3社目の転職で大失敗をしました。
転職しようと思った理由
2015年4月初旬金曜日の夜遅く。社内メールでGEがキャピタル(当時の所属先)を売却する予定であることが通達されました。時差の関係か残業中の人のみが知る時間帯での発表で、人によっては新聞報道で知る、もしくは週明けに出社して初めて知る人もいたような状況だったと思います。
私はたまたま残業していたのでいち早く知りましたが、いまいちピンと来ないまま帰路に着きました。ピンと来なかった理由は売却先が決まっていないという事。企業合併や買収の報道だと必ず相手企業も発表になりますが、この時は発表されず、実際決まってもいませんでした。当時はこんな方法もあるの?と驚きが残りましたが、これから売却するよー、という事だけが決定しての発表でした。
その日以来、「所属先が売却たらどうなるんだろう?」と、ずっーと考えていましたが売却がポジティブに進むと思えませんでした。発表からそれほど時間もたたないうちに転職した方が良いな、という気持ちになっていたと思います。
なぜなら私はGEでの仕事がシンプルにとても好きだったからです。人財育成に力を入れる文化、オープンに話せる社風、ロールモデルとなる沢山の優秀なリーダー。そのおかげで自分も成長出来、成果も残して来れました。次世代リーダーに選抜された人だけが受講できる研修にも参加し、近い将来マネージャーになるような順調なキャリアを歩んでいました。
自分で言うなって話ですがこの時期は自信もあって、ちょっと調子に乗って勘違いしてんですが、いづれは自分がGEを背負って立つぞぐらいに思ってました。英語も話せないくせに(笑)。
一方で売却はこれから時間を掛けて売却先を決めるというスケジュールになってました。「他の外資だろ」「どっかのファンドが買うんじゃない」と同僚と飲み会のネタとして予想してましたが、私は何となく日本の金融機関の数ある中の1子会社になってしまんじゃないかなーと思ってました。そうなれば、役員や部長はみんな親会社から出向してくる。いくら頑張ってもザ・中間管理職からは抜けられないなーとネガティブな思いが一層増しました。
長くなりましたが、転職しようと思った理由は…
①大好きなGEで働け無くなったから
②キャリアが見通せなくなったから
という事で、何かにチャレンジしたいという前向きな理由では無く、後ろ向きな理由でした。
当時は既に37歳になり、転職限界年齢と言われていた35歳を過ぎていて不安もありましたが転職を決意しました。
転職活動の軸
こんな後ろ向きな理由でスタートした転職活動でまず1番最初に必要だったことは、「これから何がしたいの?」を考える事でした。
営業一筋で来たので営業しかない。じゃあ何の営業がしたいの?と自問しても中々想いや熱意が湧くものが無い・・・。結局対して思考もせず以下のような軸を決めました。
業種:製造業
理由:以前、営業で伺っていた中小企業製造業の社長から「製造業には優秀な営業が必要。どれだけ良い技術があってもお客様に価値を理解してもらわないと使ってもらえない。お前みたいな営業が居たらうちに居たら助かるよ。一緒に日本の製造業を元気にしよう!」と直接スカウト頂いた事もあり(実際は社交辞令だったと思いますが)、製造業を元気にしたいと思いがあった、製造業を良く知らないくせに。
規模:100名程度の中小企業
理由:中小企業の方が貢献範囲が色がると想定。そして将来的にはより経営に近い立場で仕事が出来る可能性も高い。
給与:現状より20%アップ
理由:転職時は給与を上げやすいと聞いていたのでチャンスと思い高めに設定しました。
今か考えればもっと色々な視点から考えれば良かったと思いますが、当時はそれなり考え抜いたつもりでした。ただ実際は何んとなく、こんなもんかな程度の考えだったのだと思います。
転職活動の進め方から決定まで
転職活動は有名転職サイト2社に登録し、エージェントとは1社だけを頼り活動を開始しました。
担当してくれたキャリアコンサルタントの方は大ベテランで信頼のおけそうな方。頼り切って活動していました。
その方から言われたのは・・・
・今までの経験が無形商材の為、製造業のような有形商材は難しいかもしれない。
・未経験業界の営業だと給料を現状より高くするのは難しい。
・GEの売却先が決まると転職希望者が増え、自身の価値が下がる。早めに決めた方が良い。
GEでそれなり実績を残しているんだからと、当初は高を括っていましたが、思ったより厳しいんだなと意識しました。
実際沢山の求人票を見せてもらいましたが、自分の希望に合うような求人は殆どなく、希望要件を少し緩和させながら応募していきました。
営業経験は評価され、それなりに進んで行きましたが大したマネジメント経験が無い私は所詮一営業マンとして考えられ、希望に沿う給与条件に至ることが無く、活動は苦戦続きとなりました。
活動して3ヶ月程、キャリアコンサルタントの方から年齢からもそんなに沢山の良い求人も期待出来ない、GE売却先決定も近づいて来てるし、急いだほうが良いと再三に渡りアドバイスを受け、自分自身も焦りがあり、早く決めたいという気持ちが強く出てきました。そんな中、製造業がメインターゲットとなるソフトウェア商社のオーナー企業から内定を頂きました。希望の業種とはかなり逸れてしまいましたが、100名規模で給与は現状維持よりちょいUPぐらい。コンサルタントの方かからもこれ以上の先は無いかもしれないと勧められ入社を決意しました。
決意はしましたが、自分の中では何か違和感があったのかもしれません。
入社まで本当にこの会社で良いのだろうか・・・と日々考えていました。
信頼する友人数名に伝えると、「ホントにそれで良いの?自分が納得してるなら応援するけど…」と口を揃えて言われました。私は納得してるよと伝えていましたが、今考えると「新しい会社で活躍したい!」という気持ちよりも「転職先が決まって良かった!」という事で納得していたような気がします。
違和感のもう一つの要因は、転職先の会社の人は二人にしか会っていないという事。面接は3回行われましたが、オーナー社長と入社後の私の上司にあたる社長のご子息(次期社長)のみ。素晴らしいVisonをお話頂き大きな魅力を感じたのですが、それ以外の社員の方にお会いしなかったので社風や空気感みたいなものが掴めないでいました。
と、まあ違和感があるもの、新しいチャレンジにワクワクし基本的には前向きに転職先への入社しました。
転職後の状況
タイトルで「大失敗」とある通り上手く行かなかったわけで、詳細を書くと愚痴っぽくなってしまうと思うので簡単に記しておきますが、自分の覚悟と能力が足らず、入社して3か月後にはもう辞めようと考えるようになりました。
残業があたりまえの毎日。怒号が飛び交う毎日。叱責の連続。毎月必ず営業の誰かが辞めていく。どうにか状況を変えようと苦慮しましたが私にはそんな能力が無く、私自身も毎日の激しい叱責に耐えられなくなりました。
今まで当たり前のような普通の楽しい毎日が崩れ去っていきました。。
朝起きれない。目は覚めるけどベットから起きれない。
営業車で出社しても、どこにも訪問せずコインパーキングで動けなくなる。帰社しようとしても会社に戻りたくないから会社の周りを運転し続ける。
道ですれ違う全ての人を「この人たちは毎日普通に暮らせて良いな~」と羨ましく思える毎日。
外資の優良企業から意気揚々と自信満々に転職したのに、人生のどん底と思えた日々。子供二人もまだ幼く、養うためにキャリアを築いていかなければ成らないのに、どう進んで行けば良いのか・・・
大げさかもしれませんが、自分にとっては本当に地獄のような毎日でした。
結局、たぶん人生で初めて戦わずに「逃げる」(転職する)という決断をしました。
そこからは、同じ道は歩まない様、必死に活動しました。転職に関する書籍を読み漁り、徹底的に自己分析をし、本当に自分のやりたい事は何なのか?熟考しました。
その結果、
・企業の人材開発に貢献したい。
・自身も講師として登壇したい。
と軸を決め活動をしました。
※なぜこの結論になったかは時間があればまた書いてみようと思います。
キャリア転換になるので転職活動は当然簡単では無く、何社も落ちました。ただ軸をぶらさず活動したお陰てコツも掴みはじめ、最終的には有難い事にご縁を頂き、このどん底からどうにか脱出することが出来ました。
失敗した転職活動での学び
お陰様で今は自分が本当にやりたいと思った人材開発の仕事が出来、非常に充実した日々を送れていますが、私のような経験は他の人にして欲しくないと強く思うので、少しでも参考になればと思い学びを残しておきます。
①徹底的な自己&他己分析
当たり前の話ですが、これが1番大事です。私は上記の通りざくっと考えただけでした。
当時は、「自分のタグは何か?」なんて話も無かったですし、「Will・Can・Must」すら知りませんでした。
How toは他の記事や書籍に任せますが、納得いくまで自信を持てるまで考え抜く事が必要です。
自分で考えられない時は他人からのフィードバックを蓄積しておくと良いです。友人や同僚、お客様から言われた事、言われなければ自分から取りに行くって見てください。いざ自分の強みや特徴を考える時の有益な材料となります。講師を目指した時も前職の先輩に言われた一言からでした。
②会社(上司)とキャリアについて話しておく
今ではキャリア面談やキャリア開発研修を実施する企業は増えましたが、当時はやっていませんでした(覚えていないだけもしれませんが)。
当時は営業成績も毎年達成でき次世代リーダー候補にも選んで頂ける程順調だった為、自分でも直ぐにでもマネージャーになりたいと思っていました。また当時の上司とは非常に関係も良好で、上司も認めてくれており、1on1の時もマネージャーの後継者として考えてると言って頂いてました。
ただ会社としては具体的なプランにはなっておらず、退職を決意し伝えた時も「次のマネージャーとして考えてる」と具体的な事はありませんでした。
日々マネージャーになる為に大切なことは何か?アドバイスは貰っていましたが、どんな経験をしていつ頃マネージャーになるといった様な話は出来ていませんでした(難しいのかもしれませんが)
単に希望を言うだけでなく、もっと具体性を持てるまで一緒に考えていれば、GEに残るという選択肢もあったのかなあと思います。
③信頼できるキャリアコンサルタントを見つける
キャリアコンサルタントもやっぱり人間ですし、自分の成績重視の方もいます。入社してからわかった事ですが、私が入社した先はエージェントへ通常よりも高いフィーを払い採用に力を入れてました。そりゃキャリアコンサルタントとも一生懸命進めて来るわけです。全員がこういう方だとは思ってませんが。
もしエージェントを頼るのであれば、1~2人から話を聞くだけでは無く、多くの人から話を聞いて信頼できる人を見つけて一緒に活動すると良いです。
その後の転職活動では、入社後に苦労しそうな点を事前に伝えてくれたり、「マーケット的に今は転職しない方が良い」とハッキリ言ってくれる良いエージェントにも出会えました。転職活動中では無くても情報交換できるよう関係が築けると良い情報を得られると思います。
④要件整理と優先順位付け
転職の為の希望要件は皆さん必ず考えると思います。
給与、勤務地、役割、将来性、企業規模、残業の有無、働き方etc
その要件全てを満たせば何よりですが、そんなパーフェクトな条件は中々見つかりません。完璧な転職先を見つけるまで頑張る事も一つの作戦ですが、期限が決まってる転職活動もあると思います。
そんな時に、なんとなく「ここで良いか~」と決めてしまわない為にも、希望要件を視覚化させ優先順位を決めておく。そしてその要件にどの程度満たせてるか把握していれば、決断を誤る事が少なくなります。
※イメージです↓↓↓
⑤LinkedInを活用する。
これは本当にオススメです。転職を考えていない人もアカウントを作ってプロフィールを作成しておくと良いです。
ご存じの方も多いと思いますがこのLinkedInはプロフィールが自己紹介や職歴、スキルが記載出来レジュメのようになっています。
そして、多くのリクルーターの方がLinkedInで採用を活動しているので、自分のキャリアや能力が活かせる企業から声がかかる事があります。
今はまだ転職を考えていなくても、LinkedInでプロフィールや自分の職歴を言語化しておく事をお勧めします。リクルーターの方から声が掛かるだけで無く、優良なSNSなので繋がりも出来ます。
ご参考までに、私のLinkedInページです。
https://www.linkedin.com/in/takashi-matsumoto1977/
実は今の会社に転職したのもこのLinkedInのお陰です。積極的に転職活動をしてた訳では無かったのですが、声を掛けて頂き良いご縁を頂きました。
ヘッドハントされるようなスーパーマンでなくても、声が掛かる転職活動が出来ます。
最後に
惜しげもなく私の失敗談を書いてみましたがいかがでしたでしょうか?
終身雇用モデルが崩壊してる今、キャリア転換が当たり前の社会になっています。失敗した転職経験を経て、転職活動を始めてから考えるのでなく、常に自分の強みやタグ、キャリアについて考え、アップデートとし続ける事が大事だなと痛感してます。
キャリアを考えてる方に少しでも参考になれば幸いです。
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https://twitter.com/TMatsumoto_KT
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