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【独自】 コロナ禍で悪化する在日インドネシア人「人身売買」の実状

インドネシアという国名を聞いて、何を思い浮かべますか?

まだまだ印象は薄いかもしれませんが、人口2億7000万を有するアセアンを代表する大国で、今や世界でもっとも重要な国際会議と言ってよいG20のメンバーでもあります。同国発のスタートアップ、Gojek(ゴジェック)の世界的知名度も上がってきました。さらに、2045年にはGDPが日本(4位)に次ぐ世界5位になるとの予測すらあります。

そうした認識のもと、日イの両国政府間で近年まとまったのが「プロジェクト2045」。ひとつの柱として人材開発が謳われています。ですが、現実はどうでしょうか。

日本に住むインドネシア人は急速に増加しており、ベトナム、ネパールに次いで3番目に速いスピードになっています。 法務省の統計によると、2020年12月時点で、日本に住むインドネシア人の総数は66,832人に達しました。

その中には「人身売買」の被害者といっていいようなインドネシア人が少なくありません。不法滞在状態に追い込まれることで、不安定な生活を余儀なくされるケースがあります。正確な数字は不明ですが、数百人、下手すれば数千人のインドネシア人が、ブローカーにだまされ、両国間の枠組みからすり抜けるようにしてこの国で働いているとみられます。新型コロナの影響で、彼ら彼女らの生活はさらに悪化しました。

警察に通報されることを恐れたのでしょうか、ビザの期限が切れたインドネシア人労働者の何人かにインタビューを断られました。

そんな中、自身の壮絶な体験を聞かせてくれたのが30才のインドラさん(仮名)でした。ちょっと垢抜けない服装だったので、会ったときに「いかにもインドネシアの田舎からやってきた感じだな」と思いました。やんちゃそうな丸顔です。

場所は愛知県内のある都市。実は、愛知県ではインドネシア人コミュニティーが形成されつつあり、県内に住むインドネシア人は7000人以上で、この数字は東京都を上回ります。

インドラさんは2016年に東ジャワ州のブリタルを離れる前に紹介料として現地のブローカーに8000万ルピア(約62万円)を払いました。その内の半分は借金。順調に見えた出稼ぎは、成田空港に到着した後すぐに一変しました。

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