観光・インバウンドのデジタルマーケティング予算っていくら必要ですか？

質問：「観光・インバウンドのデジタルマーケティング予算/施策費用っていくら必要ですか？」
答え：「何人集客したいのか逆算することは可能です。また施策によって最低限の金額感がありますので詳しく解説します。」

今回は皆さんが知りたいお金の話です。よく自治体・DMOの担当者の方から計画を策定される段階で出る質問ですね。ざっくりいうと2パターン予算については考え方があるのかなと感じています。

パターン①：集客したい件数から逆算する場合

結論から言うと予算が天文学的な数字になってしまうことが多いです。ざっくりコンバージョンレート(サイトにアクセスしてくれた人が何らかの購買行動や来訪のアクションをする率)を1%と想定すると、そこから割り戻して考えるとサイトに100人集客して1件来訪がとれると仮定して、そこに誘引する件数が広告で1クリックあたり100円とすると10,000円(獲得単価)をかけて1件来訪がとれるというような算段になります。

最低限1万人は呼びたいんだ！とすると、獲得単価10,000円×10,000人(目標人数)=1億円規模の予算になるという計算になります。こういったKGIから逆算して各KPIを設定して施策を実施していくことは非常に重要な考え方ではあります。しかしながら、市町村単位、規模の小さいDMOだとこれほどの事業規模の予算を持ちにくくなります。

パターン②：予算が前年度を踏襲して決まっているパターン

こちらもよくあるパターンになります。その際に重要になるのが「事業を粛々と実施する」のではなく「集客につながる事業を実施する」ことだと考えます。よく施策ありきで動画を作りたいんだよね。という相談を受けますが動画を作ることがゴールではなく、ゴールは集客であり、手段として動画という施策が効果的なのかを考える必要があります。

ぜひ、事業会社を選定する際には施策ありきではなくゴールから逆算した提案ができるのかの力量をご判断いただければと思います。「結局この施策をするにあたって得られる効果は何でしょうか」という話ですね。この逆算の提案ができるという前提でこれから各種施策のざっくりとした予算感についてお話します。

観光・インバウンドのデジタルマーケティング各種費用

ここから各種インバウンドのデジタルマーケティングにおける各種費用について赤裸々に記載します。予算を立てられる際にぜひ参考にしていただけますと幸いです。

広告運用

Google/Yahoo!アドネットワーク

効果：認知獲得、刈り取り

内容：年齢、地域、興味関心を設定し、そのターゲットに対してバナーを見せてサイトへの誘引を図る広告。一度サイトに訪れた訪問者に対して、再度バナーを表示して追いかけていくリターゲティングという手法でも活用できます。

予算：月額運用30万円程度〜 代理店の運用フィーによりますが、30万円を下回ると運用する代理店も薄利になってしまうため(15%だと4.5万円等)案件を受けないケースが多くなります。そのため最低限運用にあたっては月額30万円〜と考えていただいた方が安心です。

YouTube広告
効果：認知獲得

内容：様々な用途がありますが、ざっくりいうと2パターンあります。1つは動画を視聴している際に出てくる広告と、もう1つは関連動画を見ている時に出てくるバナータイプの広告です。動画視聴している際に出てくる広告はスキップされてしまうことが多いですが、CM的な刷り込み効果を見込むことができます。正直に言いますと、出稿についてはある程度認知されている商材が望ましいかと思います(某有名メーカーで新商品が出た！等)。関連動画で出てくるバナータイプについては、能動的な人が見てくれるのでチャンネルの登録者数を獲得する際に特に有効に使えるメニューです。

予算：こちらも先程の広告メニューと同じく月額最低限30万円〜 という金額感は必要になってきます。

Google/Yahoo!検索広告
効果：刈り取り

内容：GoogleやYahoo!の検索窓でキーワード検索をすると出てくる広告です。つまり、具体的に何かを探している来訪意欲、購買意欲が高い人にリーチできるのが特長です。

予算：こちらも先程の広告メニューと同じく月額最低限30万円〜 という金額感は必要になってきます。

インフルエンサー施策

Instagram投稿施策

効果：認知獲得

内容：サービスや地域をInstagramのファンをたくさん持つ、インフルエンサーを通じて知ってもらうことができます。情報量はYouTubeの動画と比較すると限られてしまうので、Instagramで認知を取って、ストーリーを使ってサイトに誘引する等の施策に向いています。

予算：影響力、アサインする人数によっても変動しますが、20万円〜 という金額感は必要になってくるかと思います。要件のヒアリング、フィットするインフルエンサーの人選、投稿までの工程作成、投稿後のレポート等…。投稿の裏には成果を高めるためのディレクション業務があります。このディレクションが施策の成功のカギになるので、ディレクションの費用も踏まえて事業費を設定いただければと思います。

YouTuber動画施策
効果：認知獲得、理解促進

内容：サービスや地域をYouTubeのファンをたくさん持つ、インフルエンサーを通じて知ってもらうことができます。YouTuberの動画は尺が10分弱程度で長く設定しているケースが多く、多くの人に深い情報を届けられることが特長です。広告と違って動画の視聴者維持率も長い傾向にあるため、1再生数の価値は広告よりも高いと考えられます。

予算：影響力、アサインする人数によっても変動しますが、1本あたり100万円〜 の金額感は必要になってくるかと思います。ある程度の影響力を持つ人でなければそもそもアサインしても効果が見込めないこと。Instagramよりも金額が高くなるのは、制作の工数が圧倒的に動画の方がかかるからです。

また、動画については1本あたりの情報量が多いがゆえに、Instagram以上にディレクションが重要になり、工数も多くなります。要件のヒアリング、フィットするインフルエンサーの人選、投稿までの工程作成、編集、戻し対応、翻訳、投稿後のレポート等…。表には見えにくいディレクションの工数があり、実はここが成果の分かれ道になります。

ウェブサイト構築

効果：理解促進

内容：1枚もののランディングページ、複数カテゴリを持つサイトにユーザーを誘引して、サービスや地域を理解してもらい、具体的なアクション(来訪/購買)につなげていくのが役割になります。

予算：制作のページボリュームにもよりますが、ランディングページは50万円〜、サイト構築150万円〜 程度は見込んでいただきたいと思います。ユーザー視点のUI/UXの設計、コンテンツ制作(動画、写真)、ライティング/SEOも加味していくことで予算が変動していくイメージです。

動画制作

効果：認知獲得、理解促進

内容：YouTube、Instagram、Facebookで認知を獲得していくイメージ動画を作り認知を促進する目的。もしくは、ウェブサイトに誘引後に施設の世界観や、楽しみ方のHow toを伝えていく接客向けの動画が挙げられます。

予算：素材がなくゼロから作る前提になりますが、最低限50万円〜はみておいた方がいいかと思います。もちろん、安く出せる人はたくさんいるかと思いますが、成果から逆算した動画を作れるチームとなると50万円は見た方がよいです。アートではなく成果を出す動画が重要なので、なぜ成果が出るのかを知見を持つチームによる、絵コンテ制作、工程作成、編集、戻し作業、納品公開を想定するとおおよそそのくらいの金額になります。

まとめ

観光・インバウンドのデジタルマーケティング予算/施策費用っていくら必要ですか？という問いに対しては、来訪から逆算して予算を算出することは可能です。でも天文学的な数字になることが多いので、よく実施する施策に関して最低限必要になる金額を算出、解説してきました。今後の予算計画の際に役立てていただけますと幸いです。事業者を選定される際には「施策ありき」ではなく「結果から逆算した提案ができるか」を視点に選定されることをオススメします。

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