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観光でうちのエリアは量(観光者の数)か質(観光者の消費額)どちらを追っていくべきでしょうか?

今回は皆さん気になる永遠のテーマ。今後、観光は量、訪問者数を追い続けるべきなのか。質、一人でも高単価のお金を落としてもらうことを追い続けるべきなのか。について話をしていきたいと思います。

質問:「観光でうちのエリアでは量(訪問者数)か質(消費額)どちらを追っていくべきでしょうか?」
答え:「地域によります。都心部は量で勝負しやすく、都心部以外は質との親和性が高い」

結論、地域によって目指すべき姿は違うと思います。両方あってしかるべきかなというのが私個人の意見です。飲食店に置き換えるとわかりやすいと思います。飲食店に置き換えて話すと。量=大衆居酒屋、質=高級料亭 みたいな世界観かと思います。

毎日鳥貴族、毎日高級寿司は食べてられない

298円の鳥貴族ばっかり食べても飽きるし、毎日高級寿司ばかりも食ってられない。これは旅も一緒かなと思います。すなわちバラエティが大事だよってことです。

旅行は収入に紐づくので、どれだけその人に余裕があるのかで求めることも変わってきます。学生にしてきた貧乏旅と社会人になって、家族ができてする旅は体験することも価格も変わってきているはずです。

都心部のメリット:安価なものを多くの人に届けやすい

都心部は大型の宿泊施設や飲食店も充実していて、スケールメリットや競合との価格競争も激しいので安価にサービスを展開するところが多いかと思います。つまり、多くの人に安価なものを提供しやすくこういった地域は「観光客の数」を追っていくことで売上を高めていくことに長けています。

売上=単価(安い)×数量(観光客の数を増やす) で計算すると単価は上げにくいが、数を伸ばすことによって売上を高めていくイメージです。もちろん、高単価な旅行者へのサービスもあってしかるべきだと思います。

都心部以外のメリット:単価が高く、尖ったものを提供しやすい

反対に都心部から外れると、そもそも人口が少なく、旧来の団体旅行に集中してこなかったエリアを除くと大型の宿泊施設を持つところはほとんどありませんし、内需も見込めないため大きな飲食チェーンを構えるようなエリアは少なくなります。

こういったエリアでは、数は少なくてニッチなんだけれども●●を目指して来た!という観光客を集客するのには向いています。

売上=単価(高い)×数量(観光客の数は少ない) で計算すると単価は高いが受け入れる数のキャパ(宿泊施設)がそもそも決まっているので単価を上げて質の高いものを提供することに長けています。

丹波篠山市がアツい

兵庫県にある丹波篠山市に視察に行った際に、まさに今後の地域観光のモデルはここにあると感じました。丹波篠山市は古き良き観光資源を活かしたまちであり、城下町、古民家、伝統工芸が残っている日本でも数少ないエリアです。

いわゆる多くの人を呼び込むthe観光地エリアではなく、「生活の質」に共感した観光客や移住者が訪れています。景観を壊してしまうような大型の近代的な建物などはありません。

なぜ古き良き建造物、文化が残っているのか?
そのヒントはある陶芸家の方が語った「調和(バランス)」という言葉に修練されています。住まれている方(移住者含む)にお話を伺っても総じて全員「互いをリスペクト」する方ばかりで、「俺が一番!」というような自慢をするような人は一人もいなかったです。

例えば、料理店の店主は「料理は器を引き立てるもの、料理は素材を生かすもの」と語っていて「料理が主語ではない」ことがよく分かります。反対に植木鉢を作る陶芸家は「植木鉢は植物の成長に寄与することが第一であって、華やかさ、目立つことが第一ではない」と語っておられました。

調和するルーツはどこにある?

丹波立杭焼の歴史を聞くと、京都、大阪、東京を結ぶ拠点であり、大阪の商人から作って欲しいものをリクエストされてそのリクエストに対して、立杭焼の良さを活かしつつ、時代の背景も捉えて制作していくスタイルがずっと続いていたとおっしゃられていました。

この古き良き技法を活かしつつ、時に新しいものづくりにチャレンジしていく「調和」していく精神が丹波篠山市というエリアに根付いているからこそ、古きを活かし新しい価値のあるもの、サービスを展開していくエリアとなったのかもしれません。移住者も皆さん地域の良さを活かして調和している方々ばかり。非日常を体感できる場所です。

古民家の新しいスタイルを提案

NIPPONIAさんのような素敵な古民家の宿泊施設もあります。ゆっくりのんびり文化、歴史に触れながらステイするのには最高の場所です。このように多くの人は受け入れられないけど、エッジがあって、分かる人にはわかる、高単価なサービスが都心部以外に展開していくと面白いなと感じます。
https://stay.nipponia.or.jp/about
https://stay.nipponia.or.jp

まとめ

今回は観光客の「量」か「質」かということをテーマにお話しました。結論、どちらも大事だしバラエティを出していくことが重要かなとは思います。

今後、旅の主流はさらに個人旅行、小グループ旅行に向かっていくので、丹波篠山市に行ってみて、受け入れる数は少ないけどエッジが立っていて高単価で満足できるサービスの拡充が今後地方に求められていくと感じています。

今後も訪れて面白かったエリアについても紹介していこうと思います!それではまた。

お問い合わせ先

自治体・DMOさんであれば、こちら(https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/expert-haken.html)から中川智博を専門家として指名いただけますと無償で助言させていただくことが可能です。また、お急ぎでしたらメール(tomohiro@tokyocreative.jp)までご連絡いただけますと幸いです。

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