見出し画像

外から来た人ではなく、その地域の人として暮らす

今年1月に家族で暮らす地域を変えた。来週、地元のラジオで「移住」について話す機会をいただいたので、そのきっかけや今後の暮らしについて思いや考えを整理してみた。


家族3人での今後の暮らし方を考える

2021年に結婚し、夫婦2人で初めて暮らすことになった地域は神奈川県藤沢市。自然豊かな環境と江ノ電沿いでゆったりとした時間が流れる雰囲気がとても良かった。

藤沢にした理由は、「夫婦ともにリモートワークができる働き方であったこと」、「海のある街に住みたかったこと」、「妻が横浜市出身(夫の私は茨城出身)ということもあり神奈川県内が第一候補だったこと」の3つ。

昨年、第1子となる娘が誕生し、それがきっかけで今後の家族での暮らし方を考えるようになった。どんな環境で子育てをしていこうか、数年単位ではなく数十年単位で見た時に賃貸と持ち家のどっちにしようか、マンションと一軒家のどっちにしようか、などなど。

夫婦ともに藤沢での暮らしにとても満足していたので、エリアは神奈川の海のある街と考えていた。ベストは湘南エリア。ただ、持ち家となると予算的には想定よりオーバー。西湘エリアまで広げると色々と選択肢は広がる。けど都内まで出る際に時間と費用がかかる。

数ヶ月に渡って何度か物件を見に行くが、なかなか意思決定できず、何か決め手に欠ける状況が続いた。

ゆったりとした時間が流れる江ノ電沿いの街

自分たちが一番居心地が良いと思える地域へ

家族で今後住む場所を選択するということもあり、気持ちや感覚的な部分と予算や現実的な部分、いろいろな要素や制約が入り混じる。現実的な部分は論理的に計算・整理をしていって軸を絞っていくことに。

一方で、感覚的な部分はもう少し話しながら言語化をしてみることにした。そこで出た答えは、「次住む地域は家族で長く暮らすことになるので、自分たちが最も居心地良くいられる地域にしよう」ということだった。

さらにその感覚を深掘りをしてみると、住む地域と何か関わりを持つことができたり、自分たちが地域に対して何かアクションできたり、主体的な暮らしを体現・実現するが一番居心地良くいられるんじゃないかと思った。

そう思った理由に、夫婦ともに地方創生に関わる仕事をしている中で、地域を自分たちでよくしていこうと能動的なアクションしている人をたくさん見てきた。人口減少や少子高齢化が進む地域において、行政・自治体レベルでなく、そこに住む市民・個人レベルが地域に関わり、小さなことでも一つアクションすることが大事だと実感していた。

そんな視点で暮らす地域をみた時に、茅ヶ崎市が第一候補に上がった。

地域を良くしていこうとアクションする人たちとの時間

茅ヶ崎をおもしろくしていく人たちとの出会い

実は藤沢に住んでいる時から、茅ヶ崎で活動する人たちとのご縁があった。

例えば、サザンビーチが目の前のコワーキング&ライブラリー「Cの辺り」の池田ご夫妻。2021年オープンのタイミングで出会い、一箱本棚制度をご紹介していただき、そこに自分の本棚を置かせてもらうことに。たまにお店番をさせていただいたり、交流イベントに参加させていただいたりした。

Cの辺りがきっかけとなり、茅ヶ崎在住の方々とのつながりが増えた。同じ本棚オーナーをするトラベルメディアの編集・ライターをやっている方とは地方創生や地域との関わり方などで共通の話題がたくさんできた。そのご縁からメディアでライターの仕事をさせていただくことになった。

その他にも、デザイナーをしている方に自身が活動する地域団体のホームページをつくってもらったり、茅ヶ崎を面白くしていこうと集まったメンバーで構成された「みんながまちに関われば、茅ヶ崎はもっとおもしろくなる。」をコンセプトにした仮想会社「茅ヶ崎カンパニー」に誘ってもらったりした。

自分たちが住む地域をとても愛していて、人と人のつながりを大事にしていて、自分たちで地域をよくしていこうとしている方がいる茅ヶ崎に越すことを決めた。

茅ヶ崎カンパニーの一人ひとりの熱い思いに触れた

さまざまなコントラストが魅力に感じる

1月に茅ヶ崎に越してきてまもなく5ヶ月。来た当初はまだ寒くてなかなか外に出る機会が少なかったが、春になって市内を探索するように。

前が隣市の藤沢だったこともあり、湘南エリア独特の雰囲気、サーファーが自転車で海に向かう姿や海辺におしゃれな家が立ち並ぶ光景には馴染んでいたような気がするが、茅ヶ崎は特に南北がよりはっきりしている印象があった。

南は海文化を感じられるサーフ、アート、クリエイティブなお店などが集まっていて、歩いているだけでワクワクする。北は駅に近いところはシティ感があって利便性が高い。一方で、広域でみると緑や公園、歴史スポットがたくさんあってリフレッシュもできるし、探索もできる。そんなコントラストのある感じが好奇心を刺激してくれる。

家族では海辺を散歩したり、里山公園でピクニックをしたり。一人では川沿いを散歩したり、気分転換に茅ヶ崎カフェで仕事をしたり。妻の同級生数組もここ数年の間に茅ヶ崎に移住していたこともあり、家族ぐるみで交流をしたり。私の大学の友人の一人が茅ヶ崎出身で、先日、現在住む長野から茅ヶ崎に帰ってきた際に久々に再会をしたり・・。

海と山のコントラスト、新しく生み出されたものと歴史あるもののコントラスト、地元出身者と移住者のコントラストなど、自分たちにとって茅ヶ崎はなないろのようにいろんな色を感じることができる街である。

娘と地元のイベントに参加し古本を販売

外から来た人ではなく、その地域の人として暮らす

茅ヶ崎での今後については、娘がのびのびと成長してほしいことと、越してきた最大の要因にもなった地域との関わりや地域でのアクション、キーワードで言うと「社会関係資本」を大事にしていきたいと思っている。

その中で地域との関わりをつくることについては、まずは自分たちが茅ヶ崎のことをもっと知っていけたらと、参加している「茅ヶ崎カンパニー」にて「茅ヶ崎まち歩きプロジェクト」という活動を起案した。

「茅ヶ崎を知りたい」「茅ヶ崎に関わりたい」「茅ヶ崎に暮らしたい」など、茅ヶ崎に対して思いを持った人が、まち歩きを通じて茅ヶ崎の魅力(もの・ひと・こと・ば)に出会い、自身と地域の関係性を見つける取り組みをイメージしている。

先月、カンパニーメンバーの方々と一緒にまち歩きをしてみた。まち歩きは何か正解があるものではなく、その日ご一緒する人、その一人ひとりの感性や関心、その日どこを歩くか、その日のまちの状況や人の流れなど、いろんな要素の組み合わせで化学反応が起こったり、再現性のない偶然との出合いがあったりするところに魅力があると思っている。

茅ヶ崎に対していろんな思いや考えを持った方々との出会いとそこから生まれる何かを楽しみたい。また、移住者=外から来た人ではなく、その地域の人として暮らすことで、そこで暮らす意味や価値をこれから一つ一つ見出していきたい。