もしも空気を読めるのなら、毅然とした態度をとる技術も必要だと思う

空気を読む、という言葉が、最近はへんてこな使われ方をしているような気がする。

例えばね、うさぎちゃんがいるとします。うさぎちゃん。
うさぎちゃんは、目の前のオオカミちゃんが自分を食べようとしている気配を察知した。
そしたらどうするか。全力で逃げますよね。それか、自分が捕食に適していないのだということを、それとなくアピールするかなと思います。まさか、目の前のオオカミちゃんが自分を食べたがっているのを察知したから、すすんで食べさせてあげるわけないですよね……？

空気を読むって、本来はそっちだと思います。
せっかく空気を読んで「危険を察知した」のに、その空気の通りに振舞ったら、空気を読んだ意味、ぜんぜんないじゃないですか。笑

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すごく極端に表現するとこんな感じのことを、人間は日々やっています。
空気を読んで、自分はそうしたくないにも関わらず、相手の思うようにやってあげちゃうこと。
理由はいろいろあると思うんですが、大きな理由は「自分が嫌われるのが怖いから」なんじゃないかなと思います。「嫌われて、嫌な思いをしたくない」ということ。「悪者になりたくない」ということ。

その、嫌われたくない、っていう気持ちを持つのは仕方のないことだと思う。というか、とっても自然なことだと思います。基本的に人間って群れて生活するのが主流だから。良好な人間関係を築いて、穏便にやっていきたい気持ちはもちろん誰にでもあると思います。

でもね、嫌われたくないっていう気持ちにとらわれすぎると、目の前の状況ばかりに目が行って、その先にどういう状況が待っているのか冷静に判断できなくなってしまうことがとても多いんです。
たぶん、目の前の空気に違和感を感じているなら、「その先」にはもっと大きな違和感が待ってると思う。目の前の違和感を流して「空気を読んでいるつもり」になっていると、その空気がもっともっと大きくなって、その先に返ってくる。

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空気を読むっていうことは、空気の通りに振舞うっていうことではない。
空気を察して、本当に守るべきものを守るために上手にその場の空気を作っていくか、本当に守るべきものを守るためにその空気から逃げるか。断ち切るか。

最近では一部の理不尽なクレームでいろいろなことが制限されること、けっこう多いですけど、あれもおんなじ。
本当に守りたいものはなんなのか、きちんと考えて、毅然と対応していかないといけない。あのね、クレームを言う層って、滅亡しません。一生いる、そういう人。先のことが考えられなかったり、多様性が理解できなかったり、物事の仕組みを理解するのが苦手な人、たくさんいる。

だからね、「理不尽なクレームを言う層をなくそう」っていうのはほとんど無理なんです。もちろん、理不尽なこと言う人がいなくなるならそれに越したことはないけど、でもそんなことできない。いろんな人がいるからね。
ならば、自分にできることは、「毅然とした態度で、守るべきものを守る」というだけ。嫌われたくないとかおおごとにしたくないとか、そういう目の前の状況だけで空気に流されるんじゃなくて、その先をしっかり見据えること。勇気をもって、空気を断つこと。

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うさぎちゃんがオオカミちゃんに「この木の実もおいしいんだよ」ってプレゼンしたっていいじゃないですか。話が通じないなと思ったら、食べられる前に逃げる。オオカミちゃんに嫌われたくないからって自分を犠牲にしちゃ、世話ないです。
それからもしも「わたしの世界にはオオカミちゃんしかいないから、わたしはオオカミちゃんに嫌われたら生きていけない」なんて思っているとしたら、それは世界が狭いとしか言えない。

全力で走ってみたら、その先にたぶん、違う動物もいるのよ。めちゃくちゃ賢いフクロウとか、自分よりもおいしそうなひつじちゃんとか、いる。仲良くなれそうな野ネズミちゃんとか、いる。ふつうに。

世の中の全員に好かれる必要はない。さんざん言われていることだけど。自分を大切にしてくれる人を大切にして、自分の言葉が伝わる人を大切にすれば、いいんじゃないかなと思う。たとえ価値観がちがっても、言葉を受け取る姿勢のある人と一緒にいればいいんじゃないかと思う。他人を理解する姿勢のある人と一緒にいればいいんじゃないかと思う。

世界にはいろんなひとがいる。たくさんいる。
noteに来て思った人もいるんじゃないかな。「世の中にはこんな人もいるんだ！」って。びっくりしたり、うれしくなったり。
自分がいつも見てる世界って、ほんの一部なんですよね。場所が変われば空気も変わる。常識も違う。逃げた先が心地よいこともある。

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嫌われたくない。
波風立てたくない。悪者になりたくない。

それはそう。みんなそう。
だからこそ、大切なものを守るちからは、とても尊い。先々のことを考えて毅然とした態度をとれる人は、とても尊い。

空気を読めるのなら、しっかり「その先」を見て、取るべき行動を考えていきたいですね。

友井蒼子 (@aokotomoi) | Twitter