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【甲州市議会】2021年度甲州市決算の審査から「ふるさと納税寄付金」について

 一般会計と特別会計、公営企業会計と2021年度の甲州市決算が出揃い、事業の執行状況や内容の確認などをしました。いずれの決算も予算や事業計画に即して順調に執行されたことから、決算審査特別委員会や本会議を経て、認定されました。
 
 ただ本会議では、認定すべきとした上で、いくつの付帯意見が加えられて委員長報告がされました。

 その一つが、一般会計の委員長報告における、ふるさと納税寄附金が原資の「ふるさと支援基金繰入金」についてです。報告では、歳入に占める割合が年々増していることを寄附金獲得の成果としつつも、財源としての安定性を不安視する、と指摘されました。

08-21甲州市ふるさと納税寄付金総額の推移グラフ

08-21甲州市ふるさと納税寄付金総額の推移一覧

 昨年2021年度は甲州市のふるさと納税寄附金は25億円を超え、約170億円であった近年の予算総額の約15%を占める収入となりました。返礼品のシャインマスカット人気に引っ張られていることは間違いなく、ぶどうの名産地勝沼を抱える甲州市だけに、これだけの規模になったと言えます。これらの返礼品代金や送料、寄付を誘導するサイト運営費などの経費を引いた5割が自治体の手元に残り、寄付者の意向(政策分野を分けたコースを選択)に沿った「投資」が行われるべきもの、と思います。つまり、2021年度の甲州市で言えば、約12億円程度が臨時収入となり、予算制約で取り組めなかった事業に取り組めるということになるわけです。

 「投資」としたのは、先の一般会計決算審査の委員長報告でも言及されたように、財源として安定性に欠ける(人気不人気で左右される)ことから、義務的経費や継続的事業への充当には適さないものであり、あくまでも一時的な投資に充てていくべきではないかと考えるわけです。また、返礼品による競争が過熱するにしたがって、寄附者の目も厳しく、また肥えたものになることが予想され、今度は寄附金の使い道に注目が集まっていくと考えられるのです。

 投資として有効な事業を考えていくべき時に、甲州市もそうですが、残念ながら多くの自治体は、継続的事業の財源として寄附金を消耗してしまっています。自らの財政規模に応じて事業を精査し、本当に必要なものを選択していくべきところが、ふるさと納税寄付金という「かさ上げ」のおかげで、事業の絞り込みや改善が為されなくなってしまっているのです。

 本来望まれるのは、市民や地域が主体となって、未来を見据えた投資すべき事業を考え、寄附者に提案していく、寄附者はそれを評価して寄付先として選択していく、という仕組みです。まさに政策マーケットでの評価にさらされ、それを勝ち抜いた事業が実行に移される、投資効果や費用対効果を見極められた事業が生き残っていく、という構図で、寄附者には別段配当などの見返りがあるわけではないので、純粋に地域貢献としてふさわしい投資事業かを見極めればいい、というシンプルな形で地域が成長につながっていくのではないでしょうか。

 議会の一般質問や、今回の決算審査などで再三にわたって、私はふるさと納税寄附金の使い方について、注文を付けていますが、イマイチ伝わらず、具体的な改善がみられていません。伝え方を考えながら、より良い方向に向かうよう取り組んでいきたいと思います。

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