ニュージーランド先住民『マオリ族』の "Mana(マナ)" という価値観 vol.01
ニュージーランドを語る上で外すことのできないのが、ニュージーランドの先住民 "Maori(マオリ族)" の存在。
ぼくがニュージーランド最長3,000kmのロングトレイル「Te ARAROA(テ・アラロア)」に挑戦している時に、あるマオリの女性と交流する機会があったのだが、それ以来すっかり「マオリ族」に魅了されてしまった。
話せば話すほど、彼らが大切にしている価値観や言葉、人間性など、ぼくら日本人とルーツが似ているところがあり、どこか深いところで日本人とマオリ族は繋がっているんじゃないかと感じる場面がたくさんあった。
今回はマオリの人たちが大切にしている言葉の意味や、マオリ族が「お金を稼ぐ」ことよりも大切にしている ”ある価値観” について、3回に渡って書いていこうと思う。
このマオリの人たちが大切にしている価値観は、ぼくら日本人がこれからの時代を心豊かに生きていくためのヒントがたくさん詰まっていると確信している。ぜひ最後まで読み進めてみて欲しい。
▶ マオリ族と言えば "Haka(ハカ)"
「マオリ族」と言われてもピンと来ない人もたくさんいると思うが、”Haka(ハカ)”を見たことがある人は多いのではないだろうか?
昨年 日本で開催されたラグビーワールドカップが沸きに沸いたが、ラグビー ニュージーランド代表『オールブラックス』が試合前に見せるパフォーマンスが『ハカ』と呼ばれるもの。
ニュージーランド代表、オールブラックスが踊る『ハカ』には、「団結力を高める」「相手を威嚇する」という目的のほかに「相手チームへの敬意」が込められている。ラグビーの試合の開始直前に、ニュージーランド代表の選手は、自陣で三角形の陣形を作り、ハカを披露する姿は、試合前の恒例行事としてラグビーファンから多くの人気を集めている。
▶ マオリ族が最も大切にしている『Mana(マナ)』という価値観
少し前の話になるが、ぼくが初めてマオリ族と触れる機会があったのは、2017年7月に開催されたニュージーランドフェア@羽田空港 でのこと。彼らは羽田空港での「ハカ」のパフォーマンスを披露し、会場は最高の盛り上がりを見せていた。
そんなマオリ族が最も大切にしている「ある価値観」について、今回は書いていきたいと思う。
ニュージーランドに西洋人が貨幣制度を持ち込む以前、先住民族・マオリの間で流通していたのは、お金ではなく、ある「価値観」だったという。
それは “Mana(マナ)”と呼ばれる価値観で、善い行いをし、人から感謝されると『マナ』が増えるというもの。
マオリ族によると、人は最大級の『マナ』を持って、この世に生まれるとされる。だが 生きている間にさまざまな不徳や罪を犯すと、次第に『マナ』を失っていってしまうが、一方で「善い行いをする」ことや「人に感謝される」ことで、『マナ』を取り戻すことができるという。
つまり『マナ』を得るためには「与えられる人」でなければならない。
彼らは生きる上でその価値観を最も大切にし、それは「お金」を稼ぐよりも『マナ』を高めることの方を大切に暮らしていたとのこと。
ぼくらはお金で定義されている「経済至上主義」という社会システムの下に生まれてきた。
時に人はお金を得るために、自分が決して誇れない行動を選択してきた。その行動によって、他でもない自分自身の価値を下げたりもしてきた。
今の地球上には「モノ」や「情報」が溢れているにも関わらず、資源やお金を奪い合い、地位や名声/財/富を得ることを最優先しているのが現状だ。それら自体に大きな価値はないことが誰もが心の深いところではわかっているにも関わらず、多くの人が方向性を見失い、魂を売ってしまっている。
マナを日本語にすると「徳」や「品格」に近いと思うが
「お金」よりも「徳」や「品格」を大切にする価値観。
目に見える「物質的」なものではなく
目に見えない「精神的」なものを大切にする価値観。
もしニュージーランドを訪れた際は、マオリ族の歴史や文化、価値観に触れて欲しい。
なぜなら、これからの時代を生きていく上で、持続可能な社会を創る上で、最も大切にしなければならない価値観こそが、マオリ族「Mana(マナ)」の思想にあると、ぼくは確信しているからだ。
2020. 07. 30. トミマツタクヤ
祝!増版決定!
『LOVELY GREEN NEW ZEALAND 未来の国を旅するガイドブック』
誰よりもニュージーランドを愛する4人による、新しい視点で作ったガイドブック『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』が2018年9月に発売。著者の四角大輔・トミマツタクヤらが実際に足を運び、心からオススメできる物件のみが掲載された ”究極のガイドブック” がここに完成。
▼ ご購入はこちらから ▼
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?