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大麻合法化の動きは、やり方が間違っている

 日本でも医療用大麻の合法化を求める動きが盛んになっている。大麻の研究が進み、大麻のメリットが明らかになったからだ。しかし、どこか胡散臭くて支持できないのだ。たしかに、終末期医療における医療用大麻の使用は理にかなっていて支持したいところである。しかし、大麻合法化を求める人たちは、大麻がまるで「万能薬」であるかのような宣伝を行っている。
 はたして日本は大麻を合法化するべきなのか?

1. 大麻のイロハ

 大麻合法化について論じる前に、大麻にまつわる近年の事情について紹介したい。

 ①大麻の研究が進み、終末期医療に使えることが分かった。大麻の成分にはTHCとCBDがある。これこそ娯楽用と医療用を峻別する基準となる成分である。THCは人をハイにさせる成分であり、CBDは人をリラックスさせる成分である。近年の研究により、安全なCBDだけを抽出する技術が確立された。いわゆる医療用大麻とはCBDが多く含まれたものをいい、実際に痛みを軽減する作用や食欲を増進させる作用が報告されている。

 世界各国の大麻合法化について。オランダやカナダで大麻を使えるのは有名な話だが、アメリカや韓国でも大麻合法化の流れが始まっている。アメリカは、先の大統領選に併せて行われた住民投票で新たに4つの州で合法化が認められ、これで15州で認められることになった。韓国では「大麻特区」が設けられ、欧州で認可された医療用大麻が国の管理のもと輸入されるようになった。

2. 大麻合法化のムーブメントは、なぜ胡散臭いのか?

 まるで世界全体が大麻合法化に向かっているかのような風説を聞くことがあるだろう。しかし実際には全く違うのだ。EUはオランダを除き、大麻を厳しく規制している国が大半である。また、アメリカでの合法化はなにも大麻の効用が全面的に認められたからではない。アメリカでは既に、覚醒剤やLSDなどの危険性の高い薬物が蔓延していた。大麻の合法化はハームリダクション、つまり危険性の低い大麻を国家の統制のもと産業化することで、危険性の高い薬物の蔓延を食い止めるのが狙いだったとされている。

 大麻の悪影響について。大麻はまるで「悪いところのない薬」かのように言われているがそんなことはない。特に脳の発達が未熟な10代に対しては、学習能力の衰退などの悪影響が出ると言われている。脳の発達は25歳ごろまで続くと言われている。心臓や肺に対するダメージがあることも報告されている。薬物に最初に触れる年齢はおよそ10代、20代だろう。少なくとも大麻が「夢の薬」ではないことを認識する必要がある。

 大麻解禁を主張する人々が胡散臭い。確かに医療用大麻の解禁には意義があるが、彼らの主張には「合法的に大麻を吸いたい」という思いが見え隠れしている。純粋に善意の気持ちで活動している人も居るだろうが、邪な気持ちを持つフォロワーのせいで、大麻合法化そのものが胡散臭いものになってしまっている。本当に医療用大麻を合法化させたいのならば、邪なフォロワーを排斥する必要があるだろう。

3. 日本は大麻を合法化するべきなのか

 医療用大麻を真に求めている人が居るのは確かであり、彼らが大麻にアクセスすることは認められるべきだろう。大麻に関する研究は進められる必要がある。大麻取締法がその研究の妨げとなっているのなら法律は改正されるべきである。

 しかし、安易に解禁するべきではない。大麻が身近な存在になったとき、まず間違いなく若者たちの間で蔓延する。なぜなら大麻は反体制・レジスタンスの象徴であり、かっこいいからだ。果たして大麻は、酒やタバコほどに研究し尽くされているのか?安易な解禁ほどまずいことはない。

 大麻の合法化を求める人がやるべきことは、自分たちが純粋に医療用大麻の解禁を求めていることを主張すること、そして大麻の研究や啓発を促進するための仕組みを作ることだ。今のフォロワーは陰謀論者に似ていて、説明が合理的でない。まずは大麻の是非を国民全体の議論とするべく、正確な情報をわかりやすい形で発信するべきである。

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