ご飯は冷めた方が腸によい?【食物繊維が腸内環境を整える・前編】
食物繊維が腸内環境を改善して、健康にさまざまなよい影響を与えることは知られています。
今回はその中から、
発酵性食物繊維
短鎖脂肪酸
レジスタントスターチ
の3つのキーワードに焦点を当てて解説します。
(記事の文末に動画を添付しています)
食物繊維は“発酵性”こそが重要
早速、最初のキーワードである発酵性食物繊維から入ります。
以下は、雑誌「Tarzan」2022年9/8号からの抜粋です。
つまり、食物繊維のなかでも“発酵性”のものが腸内環境を整えるのにより重要だということです。
発酵性食物繊維は、その多くが水溶性食物繊維、一部に不溶性食物繊維が含まれています。
短鎖脂肪酸が腸に体によい働きをする
抜歯文の前半部分「腸内細菌が食物繊維を発酵して有益な物質を作るから」の有益な物質とは、おもに短鎖脂肪酸を指します。
短鎖脂肪酸は、
①腸内を理想的な弱酸性にする
②腸のエネルギーを作り出す材料となる
③腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進する(便通の促進)
これらの働きで腸内環境を整えます。
さらに短鎖脂肪酸は、大腸から吸収されて全身に運ばれ、さまざまな仕事をします。
近年とくに注目を集めているのがダイエット効果。
短鎖脂肪酸はエネルギー代謝に関わり、体脂肪量を一定に保つ働きがあるからです。
ダイエット効果以外にも、
・血糖値の調整に関わる
・血圧の調整に関わる
・免疫細胞の活性化
などの役割があります。
まずは水溶性食物繊維から
もう一度、先ほどの図に戻ります。
発酵性食物繊維の多くが水溶性食物繊維、不溶性食物繊維が一部含まれます。
水溶性食物繊維は、次のような食品に多く含まれています。
この中でも特に重要なのが海藻類です。
毎日の食事で海藻類を食べるだけでも、水溶性食物繊維が不足することはありません。
さらにプラスαしたい時にお薦めなのが、その上の大麦です。
ご飯を炊く時に一緒に混ぜてほしい食品です。
大麦および水溶性食物繊維の記事も公開していますので、お時間がありましたらお読みください。
今注目のレジスタントスターチ
不溶性食物繊維の中でも、今注目なのはレジスタントスターチです。
大腸に棲息する善玉菌のうち、絶対的なエースがビフィズス菌です。
そのビフィズス菌のエサになりやすいのが、レジスタントスターチです。
スターチはデンプンのこと。
デンプンのほとんどは消化されて小腸で吸収されますが、一部は消化されずに大腸まで届きます。
消化酵素の影響を受けないことから、レジスタントスターチ(難消化性デンプン)と呼ばれます。
レジスタントスターチは、
全粒穀物(玄米、全粒粉)、
ライ麦、豆類(とくにインゲン豆)、
パスタ、ポテトサラダ、
“冷えた”ジャガイモやサツマイモ、
“冷えた”ご飯
に多く含まれています。
“冷えた”芋やご飯は意外ですね。
一度温めたデンプンを冷やしていくと、その過程でデンプンの分子構造が微妙に変化し、周りに膜(のようなもの)ができます。
それが消化酵素の働きをブロックして、難消化性になります。
握り寿司や散らし寿司、“冷えた”おにぎりは、その点ではよいのです。
朝つくって昼に職場等で食べる弁当も、冷めているからと低いテンションで食べる必要はありません。
レジスタントスターチが豊富なご飯を食べているのです。
やむを得ずコンビニ弁当を食べる時には、温めずにそのまま食べてください。
レンジでチンをしてしまうと、ご飯のレジスタントスターチがなくなります。
また、おかずのタンパク質が強力な電磁波で変性してしまいます。
(これに関しては異論もあります。)
冷えたご飯や芋を積極的に食べて、レジスタントスターチでビフィズス菌を思い切り増やしてください。
ここまでが【前編】です。
【後編】では
・食物繊維の組み合わせによって腸内環境を最大限に整える方法
・食物繊維のサプリメントはどうなのか
といったテーマを解説します。
まとめ
食物繊維のなかでも、発酵性食物繊維が腸内環境を整えるのにより重要です。
その理由は、腸内細菌が食物繊維を発酵して、おもに短鎖脂肪酸を作るからです。
短鎖脂肪酸は、
①腸内を理想的な弱酸性にする
②腸のエネルギーを作り出す
③腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進する
これらの働きで腸内環境を整えます。
さらに短鎖脂肪酸は、
ダイエット効果、
血糖値や血圧の調整に関わる、
免疫細胞の活性化、
などの役割があります。
発酵性食物繊維は、その多くが水溶性食物繊維、一部に不溶性食物繊維が含まれます。
一部の不溶性食物繊維の中にレジスタントスターチがあります。
レジスタントスターチはビフィズス菌のエサになりやすいので、大腸にとって非常に大切です。
レジスタントスターチは全粒穀物(玄米、全粒粉)、豆類、ポテトサラダ、冷やた芋やご飯に多く含まれます。
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