カルシウムの「ダメな」摂り方があることを知ってましたか?
カルシウムが多く含まれる食品は何か。
そのうち好ましくない摂り方はどれか。
好ましくない摂り方をすると、体にどんな悪い影響があるのか。
そして、その理由に関して解説します。
(記事の文末に動画を添付しています)
カルシウムの役割と含まれる食品
言うまでもなくカルシウムは、骨や歯の材料です。
それ以外に、カルシウムは
・筋肉の収縮に働く(弛緩はマグネシウム)
・神経伝達に働く。
・イライラした気持ちを静めて、神経を安定させる役割がある。
・出血時にビタミンKと協調して血液凝固に働く。
などの役割を持ちます。
カルシウムが含まれる食品は下の図の通りです。
①魚介類
中でも小魚(ししゃも、煮干し、ワカサギ)
②大豆食品
納豆、豆腐、生揚げ(関東)は厚揚げ(関西)
③海藻類、野菜類
モロヘイヤ、ほうれん草、ケールなどの葉野菜
こういった食品を日頃から意識して食べることが大切です。
「あれ、もう一つあったでしょ」というかもしれません。
④牛乳、乳製品
これに関して今回は解説します。
牛乳・乳製品の特徴
牛乳・乳製品とくに牛乳はカルシウムが多く(図では220mg)、先ほどの生揚げ(厚揚げ)を除けば、牛乳がトップと言えるでしょう。
牛乳は吸収が早く、さらにカルシウムの吸収率が高い、という特徴もあります。
吸収率は概ね、乳製品50%、小魚30%、野菜20%です。
一見すると、牛乳(乳製品)はいいことづくめに思えます。
ところが、それが問題です。
カルシウムが多く、その吸収が早く、吸収率が高い。
それは、吸収されたあと、カルシウム血中濃度が一気に上がることを意味します。
そこに2つの問題が起こります。
骨がもろくなる
そのメカニズムを分かりやすく説明します。
カルシウム血中濃度が急上昇
➡️急激すぎる上昇は、体にとっては緊急事態
➡️慌てて、腎臓がカルシウムの排泄を始める
➡️緊急なので、とりあえず「出せるだけ出せ!」
➡️結果として、過剰に排泄してしまう
➡️今度は、カルシウム血中濃度が低くなる
➡️副甲状腺ホルモンの働きで、再び血中濃度を上げる
さて、ここで
「どうやって上げるのか」
「どこからカルシウムを持ってくるのか」
わかりますか?
答えは・・・
骨にあるカルシウムを溶かして、血中に流します。
➡️これを繰り返すと、次第に骨密度が低くなります。
このメカニズムから
「牛乳を飲めば飲むほど骨が弱くなる」
というワケです。
(異論もあります)
心筋梗塞や脳梗塞を発症する
カルシウム血中濃度が一気に上がると起こる問題、2つ目です。
心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが上がります。
カルシウム血中濃度が急激に上昇すると
➡️そのうちの一部が行き場を求めて、血管壁や関節に入り込んで沈着、石灰化します。
➡️関節(肩関節)が多いようですが、問題は血管壁への沈着です。
➡️血管壁にカルシウムが沈着、石灰化すると、動脈硬化を発症します。
➡️それが心臓を取り囲む冠状動脈に起こると心筋梗塞に、脳血管で起こると脳梗塞といった重大な病気につながります。
このような理由から、牛乳によるカルシウム摂取を私は薦めません。
サプリメントにも要注意!
牛乳のカルシウム吸収に近い、というよりも更にリスクが高いと思われるのが、サプリメントによるカルシウム摂取です。
数百mgという大量のカルシウムを一気に入れるので、当然、血中カルシウム濃度も一気に上がります。
とくに問題なのは、吸収率を高めたアメリカ産サプリです。
カルシウムを含めたミネラルは、総じて吸収がよくありません。
そこで、アミノ酸などでキレート(挟み込む)して吸収を高めるサプリが多いからです。
ただでさえ、アメリカのカルシウムサプリは、量が多いのが特徴です。
国産のカルシウムサプリは、1日の目安量400〜600mgが標準です。
それに対して、アメリカ産は1000mg、1gの商品も普通に存在します。
1000mgのカルシウムを、吸収率を高めて摂取したらどうなるか。
もう、説明しなくてもご理解できるかと思います。
カルシウムサプリの研究調査も
実際にカルシウムサプリを投与した研究調査は複数ありますが、いずれも由々しき結果が報告されています。
① アメリカの研究
45〜84歳5448人を対象に、単独カルシウムサプリメントを摂取
➡️冠動脈の石灰化のリスクが上昇した
② フィンランドの研究
52〜62歳女性10555人、7年間の追跡調査
➡️カルシウムサプリメントの使用者は、未使用者と比べて心血管疾患のリスクが24%上昇した。
③ ドイツの研究
35〜64歳、23980人、約11年の追跡調査
食事性のカルシウム摂取(820mg/日)では、
➡️心筋梗塞リスクが30%低くなった
カルシウムサプリメント摂取では、
➡️心筋梗塞リスクが86%増加した
細かな調査条件など、分からないこともあります。
が、サプリによるカルシウム摂取は、リスクを伴う可能性があることが感覚的に推測できます。
結論として
カルシウムの好ましくない摂り方は、
牛乳(乳製品)とサプリメントによるカルシウムの大量摂取です。
牛乳を除く食事からの摂取(魚介類、大豆食品、野菜、海藻類など)が望ましいと、私は考えます。
まとめ
カルシウムが多く含まれる食品には、
魚介類、大豆食品、海藻類、野菜類、牛乳・乳製品があります。
牛乳・乳製品、とくに牛乳はカルシウムが多く、吸収が早く、吸収率が高い食品です。
いいことづくめのようですが、吸収されたあと、カルシウム血中濃度が一気に上がることで問題が起こります。
骨がもろくなる
心筋梗塞や脳梗塞などの病気を発症する
牛乳のカルシウム吸収に近く、更にリスクが高いと思われるのが、サプリメントです。
なかでも、吸収率を高めたアメリカ産サプリは、非常にリスクを伴う可能性があります。
この記事の内容については動画もアップしています。
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