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赤ピーマンの栄養価はスゴい

夏野菜の赤ピーマンには、どんな栄養素が含まれているのか。
緑のピーマンと比べて、どれだけ優れているのか。

その効率的な摂取方法、逆に避けてほしい摂取方法について解説します。
(記事の文末に動画を貼っています)

緑ピーマンとどう違うのか

ピーマンは、ナス科トウガラシ属の品種に属しています。
緑のピーマンは、ピーマンの花が開いてから約3週間後に収穫されます。
まだ熟していない状態の実で、苦味が特徴的です。

それに対して赤ピーマンは、ピーマンの花が開いてから約8週間後に収穫されます。
完全に熟した状態の実で、甘みがあり栄養が豊富に含まれています。

収穫まで時間がかかることから、緑ピーマンより価格は高くなります。
しかし、赤ピーマンの方が、断然に豊富な栄養素が含まれています。

今回は、赤ピーマンに含まれる栄養素を、5つに絞って説明します。

ビタミンC、ビタミンE、βカロテン

まずは、ビタミンC、ビタミンE、βカロテンの3つの含有量を緑のピーマンと比較してみます。
下の図では、おもにビタミンC、ビタミンEの含有量の違いが分かります。

この図は、100g当たりの含有量です。
パッと見て赤の圧勝であることが分かります。

ビタミンCは2倍以上、ビタミンEは約5倍も含まれています。
とくにビタミンCは、赤ピーマン一つ食べるだけで、厚生労働省が示す1日の推奨量(100mg)をはるかに上回ります。

ちなみに、ピーマンのビタミンC含有量は、赤⇨黄⇨緑の順です。
価格は緑よりも高くなりますが、調理の手間ひまは赤も緑も変わらないので、できれば赤ピーマンを選んでください。

下のグラフは、ベータカロテンの含有量の違いです。

ここでも、赤ピーマンがダントツです。

ビタミンCとの相性が抜群のルチン

4つ目の栄養素は、ルチンです。 
 
ルチンはポリフェノールの1種です。
よく知られている所では、ミカンの皮や筋に多く含まれます。

ルチンの働きは2つあります。

一つは毛細血管を強化するということ。
それによって、毛細血管の弾力性が維持されて血流がよくなり、高血圧などの予防につながります。

もう一つは、赤ピーマンにたっぷり含まれるビタミンCの吸収を高めることです。赤ピーマンのビタミンCとルチンの組み合わせは、ベストタッグと言えるでしょう。

リコピンにも伍するカプサイシン

5つ目の栄養素は、赤ピーマンにのみ含まれる強力な抗酸化物質、カプサイシンです。

カプサイシンとは、赤ピーマンやトウガラシに含まれる赤色色素のことです(ピーマン=とうがらし属)。
βカロテンやトマトに多いリコピンと同じ、カロテノイドの一つです。

カプサイシンには強力な抗酸化作用(活性酸素除去)があります。
その抗酸化力は、ベータカロテンの約2倍で、リコピンと同じぐらいだといわれています。

リコピンの抗酸化力がどれだけスゴいのかは【トマトの栄養価はスゴい】という記事で解説していますので、ぜひお読み下さい。

カプサイシンの抗酸化力から、生活習慣病の予防や老化の予防に効果的であると期待されます。

また、カプサイシンには、HDL(善玉)コレステロールを上昇させることで、動脈硬化を予防する働きがあります。
HDLコレステロールは、体内に溜まった余分なLDL(悪玉)コレステロールを肝臓に回収してくれます。
これにより動脈硬化の予防につながります。

緑ピーマンのアドバンテージも

ここまで、赤ピーマンの優れた点ばかりを説明しましたが、一つだけ緑ピーマンの方が多い栄養素を紹介します。

緑ピーマンの、とくに綿の部分に多いピラジンという苦味成分です。
このピラジンには、血液をサラサラにする作用があるため、心筋梗塞などの病気の予防に役立ちます。

ピラジンは熟していくと同時に失われてしまうので、赤よりも緑ピーマンに多く含まれているわけです。
苦いのが苦手でない方は、綿ごと調理して方がよい、ということです。

栄養素の効率的な摂り方

今回記した栄養素の内、ビタミンE、βカロテン、カプサンチンの3つは、油に馴染む脂溶性です。
したがって、炒め物など油と一緒に摂る方が吸収率が高くなります。

一方で、ビタミンCとルチンは水溶性ですので、調理前にあまりジャブジャブ水で洗うと流れ落ちてしまいます

農薬が気になるあまり、とにかく徹底的に洗う人がいます。
しかし、ビタミンCが多いピーマンやブロッコリー、パセリ、ゴーヤ、イチゴなどはほどほどにした方がよいのでは、と私は思います。

ビタミンCと関連して、赤ピーマンと一緒に摂りたくない野菜を一つ挙げます。
それはキュウリです。

キュウリの中に含まれるアスコルビナーゼという酵素が、ビタミンCの吸収を妨げるからです。
アスコルビナーゼという語句は、ビタミンCの化学名であるアスコルビン酸と、酵素名の後ろに付くアーゼが合体したものです。

ただし、酵素は加熱すると活性を失います
ネットで[ピーマン キュウリ レシピ]と検索すると、炒め物や和え物が表示されます。
炒め物は問題ないですが、和え物はビタミンC的にはもったいないと思います。

このキュウリとの組み合わせで思い浮かぶのは、トマトとキュウリが入ったサラダではないでしょうか。
けれども、トマトのビタミンCは100mg当たり15mg なので、そこまで神経質になることもないと思います。
一方で赤ピーマンは、その10倍以上の170mg ですので、これは失いたくないものです。

ピーマンの選び方

おまけです。
意外と知られていないピーマン選び方をお伝えします。

ほとんどのピーマンはヘタの部分が五角形ですが、時々六角形や七角形のものがあります。

ヘタの数は、たくさん栄養を吸収して育つと増える傾向があります。
五角形より六角形のものを選んでください。

まとめ

今回は、赤ピーマンに含まれる5つの栄養素を解説しました。

ビタミンC、ビタミンE、βカロテン。
この3つの含有量を緑のピーマンと比較してみると、赤が断然多いことが分かります。 

ルチンは、赤ピーマンにたっぷり含まれるビタミンCの吸収を高めます。

赤ピーマンにのみ含まれるカプサイシンが持つ強力な抗酸化作用は、トマトに含まれるリコピンと同じぐらいだといわれています。

5つの栄養素の内、ビタミンE、βカロテン、カプサンチンの3つは、油に馴染む脂溶性です。
炒め物など油と一緒に摂る方が、吸収率が高くなります。

ビタミンCとルチンは水溶性ですので、水で洗いすぎると流れ落ちてしまいます。

またキュウリの中に含まれるアスコルビナーゼという酵素は、ビタミンCの吸収を妨げます。
できれば、赤ピーマンと一緒に摂りたくない野菜です。

この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。


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