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予防できない“遺伝性”のガンは、わずか5%です。

今回は【ガンは95%予防できる】というテーマです。

日本人の2人に1人が罹患し、3人に1人の死因になっているのがガンです。「だからガン保険に入って備えましょう」みたいな宣伝をしばしば見かけます。

しかし、ガン保険はあくまでも「ガンになった時の経済的負担に備えましょう」と言っているだけであって、ガンそのものに備えているワケでは全くありません。

真の備えはガンを予防することに他なりません。
今回は、ガン予防に関して鋭く切り込んでみたいと思います。

遺伝性ガンは5%

まず、このグラフをご覧ください。これは、1996年、アメリカ・ハーバード大学が疫学研究に基づいて推定した分析結果です。

これを見ると、どうしても予防できないと考えられるのは、5つ目の[遺伝5%]です。
多くの人が思っているほどの数ではありません。

その上の[ウイルス・細菌5%]も完全に予防できるとは言いませんが、別記事【日頃からウイルスと対抗する栄養素を摂っていれば〜】でお伝えした栄養素をしっかり摂取していれば、一定レベルでの予防は可能です。

ということで、ザックリとではありますが、遺伝5%を除いた95%のガンは予防できるものだ、と私は考えました。

2012年のメッセージ

さて、タイトル画像の下の方に[2012年のメッセージ]と書いてあります。「2022年の間違いではないか」と思われたかもしれませんが、間違いではありません。

ちょうど10年前の3月に、私は1冊の本を出版しました。
タイトルは『40代からのガン予防法』です。

その前後にもサブタイトルのようなものが付いていますが、私まったく覚えていません。
というのも、このタイトル私が考えたものではないからです。

じつは、私も希望するタイトルはありました。
それがこの記事のタイトル『ガンは95%予防できる』でした。

けれども、本の売れ行きはタイトル命ということで、出版社の方に編集者会議で決めていただきました。
向こうはプロ、こっちは素人ですから。

ただ、私がこの本で伝えたかったのは、ガンの“予防法”というよりは、ガンは“予防できる”という事実です。
予防できるのであれば「皆さん予防しましょう」というメッセージでした。

「自分だけはならない」はない

40歳も過ぎれば多くの人は、自分と同世代、または自分よりも若い世代の人をガンで失ってしまった、という経験が一例か二例はあると思います。
私は一例や二例ではありませんが。

問題は、その時に弔い、悲しみに浸ったあと、そのまま日常に戻っていませんか?
もちろん、日常に戻ることは大切です。

が、その前に「自分も、いつ同じことになってもおかしくない」と、少し考えていただきたいのです。

「あの人は可哀想だったけど、自分はガンにならないだろう」「あの人はあの人、私は私」なんてことは絶対にありません。

だから、そうならないようにするためには何をしたらいいのかを考える、学ぶことが大切です。
しかし、多くの人はそういうこと、ガンの予防を考えません。

理由はよくわかりません。
単に避けている。ガンは怖い、ガン=死というイメージが強くて、ガンを直視しない、したくない、ということかもしれません。

しかし、それ以外にガン予防を阻む3つの理由があると、私は考えています。

遺伝に関する誤解

1つ目の理由は、遺伝に関する誤解です。
冒頭で話した通り、アメリカのデータではありますが、ガンの原因で遺伝と考えられるのは5%です。

けれど、その割には「自分はガン家系だ」と思っている人が結構いるようです。
また、実際にそういう声もしばしば聞きます。

しかし、例えば「おじいちゃんは胃がん、お母さんは乳がん。だから、ウチはガン家系」というのであれば、それは誤りです。
同じ部位のガンの場合に、はじめて遺伝性ガンが疑われます。

ちなみに、遺伝性ガンで多いのは、乳ガン、大腸ガン、卵巣ガン、(これ以降は少なくなるが)皮膚ガン、脳腫瘍、泌尿器系ガン、骨軟部肉腫、内分泌系腫瘍、などがあります。

ただ、同じ家で家族が同居していれば、同じ食事をするでしょうから、その内容が悪ければ親も子も健康を害します。
誰かが喫煙していれば、周りの家族が受動喫煙で害を被ることもあります。

さらに、自宅周辺の騒音や近隣住民とのトラブル、経済的な問題など、家族で共有するストレスが元でガンになってしまう可能性はあります。

しかし、これらは全て遺伝とは直接関係ありませんので、解決するのは簡単ではないですが、予防の範疇に入ります。

ガンは治る病気になった?

ガン予防を阻む2つ目の理由は、「ガンは治る病気になった」という事実のカラクリです。

テレビや雑誌、ネット等の医療健康関連情報で「ガンも今では治る病気になった」というコメントをしばしば見聞きします。

ガンが「治った」ことの目安として、5年生存率があります。

上のグラフは、5年生存率の年代別推移を表したものです。
国立ガン研究センターの資料です。

間違いなく、5年生存率は年々高くなっています。
ちなみに10年生存率のグラフもあります。

やはり、同様の結果です。

にもかかわらず、ガンによる死亡者は毎年増え続けています。
この矛盾をどう説明したらいいのでしょうか。

ここからはさまざまな見解がありますが、私の仮説をお話しします。

検査技術の進化、最先端装置が普及した結果、「微に入り細に入り」の精密な検査が可能になり、早期ガン、超早期ガン(ステージ0)が多く見つかるようになりました。
それらが分母(ガン罹患者)に加われば、相対的に5年生存率は上がります。

また、日本で推奨されているガン検診は、胃ガン、子宮頚ガン、大腸ガン、乳ガン、肺ガンの5つです。

上のグラフを見ると肺ガンを除く4つのガンは、比較的5年生存率が高いことが分かります。

これも5年生存率を押し上げる一因と考えられます。
一方で、その肺ガン、膵臓ガン、肝臓ガン、胆管ガンの生存率は、依然としてこの水準に留まっていることも厳然たる事実です。

平均寿命は本当に伸びている?

ガン予防を阻む3つ目の理由は、「平均寿命が伸びている」という妙な安心感です。

日本人の平均寿命は、今や女性が87歳、男性も82歳まで伸びています。
この数字を考えれば、誰しもが「自分も長生きできそうだ」と思って不思議ではありません。

しかし、戦後70年余り、日本人の平均寿命が伸び続けた大きな要因は、
①結核やコレラなどの感染症がワクチン開発により激減したこと
②医療技術の進歩で新生児、乳児の死亡率も激減したこと、
③衛生環境の改善によりピロリ菌が減って、胃ガンも大幅に減少したこと
が挙げられます(50〜60年前は、ガンの代名詞は胃ガンでした)。

中高年の人が乱れた食生活やライフスタイルを続けていると、やはりガンをはじめとした生活習慣病に罹って、死亡リスクが高くなることは、現代でも何ら変わりません。

平均寿命が伸びても、ガン予防の意識は間違いなく必要です。

まとめ

アメリカのデータではありますが、ガン全体の原因の内、遺伝が占めるのは5%です。
そのことから、遺伝5%を除いた95%のガンは予防できるものだ、と私は考えました。

にもかかわらず、ガン予防の意識が広がらない理由として、

①遺伝性ガンに関する誤解 
②「ガンは治る病気になった」という事実のカラクリ 
③「平均寿命が伸びている」という妙な安心感、
といったことが考えられます。

最後にもう一度グラフをご覧ください。

食事30%の部分については、これからもnote およびYouTubeで、役に立つ情報をどんどん発信していきます。
タバコ、運動、職業(ストレス)、睡眠などライフスタイルについては、拙書にも書いてありますので、よろしければお読みください。

この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。


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