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牛乳は乳がんと前立腺がんのリスクを上げるかもしれない?

一昨日の記事では、牛乳が体にマイナスだと疑われている事実のうち、「牛乳は骨を強くするどころか弱くする」ということを記しました。

今回は「牛乳は乳がんと前立腺がんのリスクを上げるかもしれない」という理由を2つ解説します。
(記事の文末に動画を貼っています)

データが示す事実

まずは、下のグラフをご覧ください。

乳製品の消費量が多いほど乳がん発生率が高いことが一目瞭然です。

それでも日本は、上位の酪農国に比べるとマシなように思えます。
けれども、日本だって半世紀前後の推移を見ると、こうです。

そして、牛乳乳製品の消費量の推移は、以下の通りです。
※上のグラフとは時間軸(年代)のズレがあります。

こういった事実関係を踏まえて、本論に入ります。

牛乳は高濃度ホルモン飲料

乳がんと前立腺がんはホルモン依存性ガンと言われます。
ホルモン依存性ガンとは、ホルモン濃度がガン細胞の増殖に影響を与えるガンのことです。

乳がんの6〜7割、前立腺がんのほぼすべてがホルモン依存性ガンだと思われます。
それ以外では、子宮体がん、卵巣がん、大腸がんの一部が、ホルモンの影響を受けると考えられます。

では、なぜ牛乳がホルモン依存性ガンを助長するのか。
それは、現代の酪農が、妊娠している牛からも搾乳するという、大きな問題があるからです。

人間でもそうですが、妊娠中の牛のホルモン濃度は高く、とくに妊娠後期の牛から搾乳した牛乳には、妊娠していない牛と比べて数十倍のホルモンが含まれています。

恐るべし乳牛の実態

そんな牛乳がどうして市場に出回るのかと言うと、牧場だって経営があるからです。

酪農は、乳牛に毎年1頭の子牛を産ませながら搾乳し続けることで成り立ちます。
そのためには、出産後2〜3か月で人工授精により妊娠させる必要があります。

妊娠期間は約280日。1年の約4分の3は妊娠中です。
妊娠最後の60日間は搾乳しませんが、残り220日間は搾乳され続けます。

計算すると、1年365日のうち、妊娠最後の60日間と初乳5日間を除く約300日が搾乳期間。
そのうち220日が妊娠中ということになると、220÷300=0,7333 。

あくまでも単純計算ですが、市場に出回っている73%、4分の3近くが妊娠牛から搾乳した牛乳です。
このことから、牛乳は高濃度のホルモン飲料だと推測できます。

『乳がんと牛乳』

このような話は、かなり以前から指摘されていたのですが、牛乳と発がんに関して大きな問題提起、そして分岐点となったのは、やはりこの本ではないかと思います。

jこの本の日本語出版は2008年。
私はすぐに取り寄せましたが、その時点で、世界16ヵ国400万部読まれていたベストセラーでした。

著者のジェイン・プラント氏は、1945年生まれのイギリス人女性。応用地球化学の研究者です。
42歳のときに乳がんを発症、左乳房の全摘出手術を受けたが、再発を4回も繰り返します。

絶望のなかで、それでも研究者として乳がんの原因を追究していくノンフィクションです。

解決のカギは、「中国では乳がんになる人がほとんどいない」という事実でした。
そこで、中国人の食文化や生活習慣などを徹底的に調べたところ、「中国人は牛乳、乳製品をほとんど口にしない」ことが分かりました。

IGF-1(インスリン様成長因子)

そこから、著者は牛乳に含まれるある種の物質が乳がんを増殖させることを突き止めました。
その物質とはIGF-1(インスリン様成長因子)と呼ばれるものです。

IGF-1とは、インスリンと同じような働きを持つ成長因子という意味で細胞を大きくする作用があります。
インスリンは、糖を細胞に押し込んで細胞を太らせることで血糖値を下げるホルモンです。

牛乳という食品は、元はと言えば生まれたばかりの子牛の成長を支えるための液体です。
子牛は、成長期に1日に1kgも体重が増えるほどに成長が速い動物です。

つまり、細胞分裂が異常なくらい速いことを意味します。
これだけの急速な細胞分裂を可能にしているのがIGF-1だということです。

じつは、同じ哺乳類である人間もIGF-1を有しています。
人間がIGF-1を必要とする時期は、細胞の分裂と増殖がもっとも盛んな乳児期と思春期です。

その時期を過ぎると、血中のIGF-1濃度は緩やかに低下していきます。
役目を果たしたのだから、当然と言えば当然です。

ところが、多くの人が牛乳という形を変えてIGF-1を補充し続けます。
思春期を終えた成人がIGF-1を体に入れても、本来の行き場はありません。

そこで、行き場を失ったIGF-1が、細胞の分裂と増殖を発揮するために求めた場がガン細胞で、乳房や前立腺だということです。

今の最後の箇所、IGF-1が乳がんや前立腺がんに向かう、という部分のエビデンス(科学的根拠)が乏しい感じがしますが、このIGF-1についての解明は今後に期待したいと思います。

なお、子どもが飲む給食の牛乳は大丈夫なのか、と心配される方もいるかも知れません。

先ほど説明したように、思春期まではIGF-1が持つ細胞増殖機能が、自身の体を大きくするために使われますので、それによる発がんの可能性はほぼないと考えます。

じつは国も分かっている

最後になりますが、じつは、牛乳と発がんに関しては国もある程度は分かっているという話をします。

2008年、厚生労働省の研究班が日本人が牛乳、乳製品を多く摂取すると前立腺がんが増えるという調査研究を、アメリカの疫学専門紙に発表していました。

その調査は1995年と1998年、全国各地に住む45〜74歳の男性4万3千人に食習慣などを尋ねて2004年まで追跡したものです。

牛乳の摂取量によって4つのグループに分けて、前立腺がんとの関係を調べました。

摂取量がもっとも多かったグループは、もっとも少なかったグループ比べて、前立腺がんと診断されるリスクが1、5倍だったという結果が出たということです。

しかし、その結果を国民に広く知らせて警鐘を鳴らしたという形跡は全くありません。
大事な情報は受け身で待っていても入ってきません。

テレビや新聞、またはネットニュース等でも、大人の事情で報道されないものは多いです。
ですから、利権やスポンサーなどの絡みがない媒体にも積極的にアクセスして、自分から情報を取りに行くことも重要だと、私は考えます。

まとめ

牛乳を飲むと、ホルモン依存性がんである乳がんと前立腺がんのリスクが上がるということが巷間よく言われます。

ホルモン依存性ガンとは、ホルモン濃度がガン細胞の増殖に影響を与えるガンのことです。

牛乳がホルモン依存性ガンを助長すると考えられる理由は、現代の酪農が、経営的な事情から、妊娠している牛からも搾乳するからです。

妊娠中の牛のホルモン濃度は高く、とくに妊娠後期の牛から搾乳した牛乳には、妊娠していない牛と比べて数十倍のホルモンが含まれています。

ベストセラー『乳がんと牛乳』で注目されたのが、IGF-1(インスリン様成長因子)と呼ばれる物質です。

子牛が成長期に1日1kgも体重が増えるほどに成長が速いのは、IGF-1が持つ急速な細胞分裂能力によります。

人間も、細胞の分裂と増殖がもっとも盛んな乳児期と思春期にはIGF-1を必要とします。

しかし、思春期を終えた成人がIGF-1を体に入れても行き場はなく、IGF-1が細胞の分裂と増殖を発揮するために求めた場が、ガン細胞であり乳房や前立腺だということです。

こういった学説もあることを承知の上で、牛乳を飲む飲まないの判断をされてください。

この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。


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