見出し画像

「愉快」「明解」に学びが積み上がる、素晴らしき“研究志向”よ(inquire編集ライティング研究・進捗報告01)

4月よりノリ(とか言いながらちゃんと狙いはあるよ!)で始めた、inqurireでの研究活動。

まずは1カ月間のお試し感覚で現在進捗中です、その活動報告をば。

研究フローはこんな感じ

先月中はざっくりこんなフローで研究に取り組みました。

1週目:テーマ設定&研究計画書の作成
2週目:調査方法の精査&実施
3週目:調査結果の整理&再調査
4週目:調査結果の整理&体系化
(5月現在、発表用のまとめ作業&発表会が進行中(´っ・ω・)っ)

最初に取り組むテーマと目的、現状で持っている仮説などを言語化して、そこからは「調査→整理→仮説検証→再調査…」を繰り返していくイメージです。今回はトライアルなのでミニマムに。

各自研究テーマの設定、研究計画書の作成方法

まず研究活動を始める前に、前提や方法の整理をするために、簡単な「研究企画書」を作成しました。企画書の作成は、下記項目を埋める形で行ないました。

①研究のタイトル(題目、テーマ。自分のテンションが上がるプレイフルな感じで)
②研究の目的(何を明らかにするための研究か)
③研究の背景(なぜそれをやろうと思ったのか、当事者としての動機)
④研究で採用する方法(どんな方法で研究するのか)
⑤研究スケジュール(1週間ごとのスケジュール)
⑥研究から予想される成果(どんな学びがありそうか)
+α:みんなに協力してほしいことの呼びかけ

研究テーマの整理の仕方は、以下の記事の内容を大いに参考にさせていただきました。

http://www.jaist.ac.jp/~as-asami/exam_research_plan/exam_research_plan.html

そして下記、各メンバーが立てた研究企画(一部抜粋)になります。

「良記事を沈黙させる」リバースエンジニアリング的研究

こちらは相当プレイフルな仕上がりになった研究企画です。

①研究のタイトル
圧倒的ストーリー力研究
②研究の目的
情報としては間違ってない、ロジックとしてはOKだけど面白くない原稿をぶっ〇すための研究。逆に言えば「情報漏れてるし、ロジック甘いけどおもしろいやん・・・」ってなる原稿がどう生まれるのか野研究でもある。つまるところ「面白い」となるのは何故なのか…という研究なのかも知れないが、めっちゃスケールがでかくなりそうなので、とりあえずそれを実現している「ストーリー性」に着目し、分析していく。
③研究の背景
ロジックとしてはOKだけど面白くない原稿が生まれてしまう病と上手に付き合いたい
④研究で採用する方法
ストーリーが良い感じの原稿をイケてない原稿に改造する中でのリバースエンジニアリング
⑤研究スケジュール
1週目:素材あつめ
2週目:解体(面白くなくする①:表現)
3週目:解体(面白くなくする②:構成)
4週目:面白く無さの正体の分析
⑥研究から予想される成果
「面白くなさが何故生まれるのか」の言語化。それによって「面白さ」のカギを抽出する。
+α:みんなに協力してほしいことの呼びかけ
みんなが思うストーリーテリング的に面白い原稿を教えてください!

これ、絶賛研究進捗中なんですけど、「いい文章を面白くなくする解体研究」が楽しすぎてヤバい。「もはやワークショップ化して特許を取ろう」という話まで出てきています(笑)。

「いい文章の書き方」のハウツーって、本でもウェブでもいっぱい溢れていますよね。ただ、それらをなんとなく眺めていても、なかなか文章力はついてこない。ある程度の技術がついてくると「間違いのない文章」は書けるようになってくるけど、その先の「いい文章」までの道のりが遠いというか、見えない壁に阻まれているような感覚がある…。この研究が、そんな見えない壁に風穴を開けてくれるのでは……という期待感に、メンバーみんな心が躍っています(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

「『何か言ってそうで実は何も言えていないタイトル』はなぜ爆誕してしまうのか…」研究

こちらはタイトル見ただけで「ウッ……」と古傷が痛むメンバー続出。

①研究のタイトル
『何も言っていないタイトル』をつけてしまうメカニズムとは?
②研究の目的
「何か言っているようで何も言っていないタイトル」はダメだ。ダメなんだ。そう、みんなわかっているはずなのに、何も言っていないタイトルをつけてしまう編集者やライターが後を絶たない。それをどうすれば回避できるのかを探る。
③研究の背景
自分がタイトルを付けるのがニガテだという自覚もあるし、ライターさんの原稿を直していても、タイトルで「もう少し頑張ってほしい」とコメントを入れることが多いから。
タイトルづけのハウツーはあるが、「伝えたいこと」がちゃんと定まっているという前提で書かれたものが多い気がする。表現を考える前の前段階の「伝えたいこと」の整理方法を考えられるとよいのでは?
④研究で採用する方法
インタビュー
⑤研究スケジュール
<フェーズ1>
・記事や書籍参考に「何も言っていない」の定義を定める
・過去に自分の書いた記事から「何も言っていない」タイトル探す
・「なぜそうなったのか?」をセルフインタビュー
<フェーズ2>
協力者へのインタビューの実施&情報整理
<フェーズ3>
インタビュー結果の分析
⑥研究から予想される成果(どんな学びがありそうか)
「何も言っていないタイトル」を回避するために、取材〜初稿までのプロセスにおいて気をつけるべきポイントがみえてきそう。
+α:みんなに協力してほしいことの呼びかけ
恐らくインタビューでご協力いただくと思います!

目的のテキスト部分に思いが溢れていますね、素敵。こちらも調査インタビューが「うわーホントにこのタイトル何も言ってないね!!」みたいな感じで、めちゃくちゃプレイフルに盛り上がった模様です。どんな発表になるか楽しみー(●´ω`●)

ナルシスト文体研究…からのピポッドで「ヨイショ相づち撲滅」研究

①研究タイトル
ナルシストに…なりたくないよう…。
〜ナルシスト文体の研究〜
②研究の目的
かっこよく書こうと思ったら、自分に酔ったような文章になってしまうことが、皆さんもありませんか…。「かっこいい文章」と、「ナルシストっぽく感じてしまう文章」にはどんな違いがあるかを研究することにより、ナルシスト的な文章にならないコツを会得していきたい。
③研究の背景
「これはかっこいい!」と思って、提出し、数日経って見直すと「これはヤバいのでは…」と青ざめるときがたまにある。。。涙 そういう事態を避けるにはどうすべきかが少しでも言語化されるとライターさんが赤面することがなくなるのでは…と思い、この研究テーマにした。
④研究で採用する方法
ナルシストっぽい文章を探して、「なぜそう思ったのか」を言語化していく。
⑤研究スケジュール
・研究素材の収集。
・研究素材の要素分析。
・分析結果から法則性を見出す。
〜以降考え中
⑥研究から予想される成果+αみんなに協力してほしいことの呼びかけ
ナルシストっぽい文書があったらください…!

このテーマもとっても示唆に富んでてよかったのですが、メンバー自身が研究に取りかかってみると、研究素材がうまく集まらないことから、「いまの自分の課題感とこのテーマはちょっとずれているかも…?」と気づきはじめ、半ばでテーマ変更をするという英断!

「結果的に違ったな」という事実も糧にしつつ、「やり直し」 を恐れない気持ちを持つこと。これは今後の研究活動でも、大事にしたい姿勢だなと思いました。そして、再度テーマを練り直して決まったのがこちら↓

①研究のタイトル
「ヨイショ」に見えてしまう合いの手の徹底分析
②研究の目的
相手を過度に持ち上げることのない「心地よい合いの手」とはどういったものかを明らかにし、原稿に反映するための研究
③研究の背景
自分の書いた過去の記事を見返して「合いの手でヨイショしすぎたな」と感じたため、どこで「ヨイショしている感」が出てきてしまうのかを言語化したい。
④研究で採用する方法
・自分の過去記事で「ヨイショ感」のある箇所を見つけ、要素の言語化。
・他の人の書いた記事で「合いの手がうまくいっているもの」をピックアップ。比較してさらに「ヨイショ感」のある合いの手の言語化を深める。

最初のよりも自分の課題感、当事者としての悩みにしっかりとひもづいたテーマになったようで、現在はいい感じに進捗しています。

…まだまだほかにもテーマがあるのですが、とりあえずチラ見せとして、今回はこのあたりで。

次回、編集ライティング研究の進捗報告をする際には、研究成果としてどんなものが生まれたのか、皆さんにシェアできるかなと思ってます! お楽しみに\(^o^)/

推して参ろう、“研究志向”

ちなみに、この研究活動を始めるにあたって、多大に影響を受けた取材記事が、先日公開されました。ぜひ読んでいただきたく候。

ちょっと長めになるのですが、大事な箇所なので引用させてください↓

向谷地:…当事者研究のルーツは企業にあるんです。だから皆さんも、あまり難しいこと考えないで、まずは「一人一研究」をやってみたらいいですよ。二人でも、三人でも構わないと思います。

鈴木:そうですね、やってみてわかることもたくさんありますし。

向谷地:それをきっかけに職場の中から「研究的な対話」を起こしていくことが大事なんです。テーマはなんでもよくて、たとえば「どうやってもっと儲けるか?」「売り上げトップになるためにはどうするか?」という研究でもいいと思うんです。
それをやった結果、売り上げは伸びたけど、周りの人がみんな去っていったとかね(笑)。そういうこともまた一つの研究成果として、みんなで共有しながらやっていけばいい。

鈴木:やってみた結果が良かろうと悪かろうと、そこで得られたデータはすべて財産になると。研究志向で物事を捉えられると、「失敗」が存在しなくなる。そこがすごく素敵ですね。

向谷地:結果を良し悪しではなく、すべて大事な成果のひとつとして共有すること――この前提さえ押さえられれば、研究活動は実りの多いものになると思います。その中でいろんな研究が立ち上がってきて、それを受け入れられる土壌が育っていくと、多様性のある組織文化ができていくんじゃないかな。あんまり研究の進め方やセオリーにこだわらないで、楽しく雑談する気分で始められたらいいですね。

鈴木:最初から自分たちのハードルを上げすぎず「まずは最近気になること、ちょっと研究してみようぜ」くらいから始めるのがいいのかもしれませんね。

向谷地:そうそう。テーマがお金儲けに向かっていようが、個人の心や人との関係性の問題に向かっていようが、「研究してみる」という姿勢から、いろんな対話が新たに生まれてきますから。

”研究志向”によって、すべての出来事を糧にして、なるべく楽しげに歩いていく。この編集ライティング研究の取り組みでは、もちろん直接的な研究成果も大事にしていきます。けれどもその一方で、活動の中で“研究志向”をインストールして、それを日常の仕事や生活、営みのすべてに生かしていけるようなグルーヴを、つくっていけたら最高だな~と思っています。

最後にちょっと推しらせ

こちらの編集ライティング研究活動は現状クローズドでやっていますが、僕も参加している“書くひとたち”向けのコミュニティ「sentence」では、お互いの書いた記事をフィードバックし合ったり、気になっている本を読み合ったりという、“研究志向”にあふれた活動を日々行なっています。

このコミュニティ内で、とある読書会をやったのですが、それが尊み秀吉すぎてもうって感じで、もう家康でしたね…(語彙)

その時の感想が書かれたnoteがいくつかアップされていますので、よかったら触れてみてください(´っ・ω・)っ

時間がかかってもいい。良い文章を作っていく様を、”自分にしか書けないこと”を見つけるプロセスを、こうやって外に出していくことを恥じる必要はないし、むしろとても価値のある尊いことなんじゃないだろうか。

だから僕は”自分にしか書けないこと”を見つけるために文章を書いていく、サグラダ・ファミリアをここnoteで建てていくことにした。という決意で締める。
この数年間で私はどれだけ「書きたい」という気持ちを持つことができていただろう。何か書きたいと思いながらも、何を書きたいか見つけられずここまで来てしまった。

表現のタネを生み、自分にしか書けない文章を書くためにはどういうプロセスが必要なのか。文章読本に書かれていることや読書会での意見交換をもとに自分なりに整理してみた。
人間の心は、人それぞれの経験や環境、感情等によって形成されるものだ。表現というものが、否が応でも、この心を通過して生まれると言うのならば、それはすでに「自分にしか書けないこと」になっているのではないか。

小学生のときに書いた「運動会」の作文。全国の子どもたちが一生に一度は扱いそうな、ありきたりなテーマではあるが、私のクラスメイトが書いた作文は、そのどれもが個性的なものであったように記憶している。

かけっこで2位を獲って悔しい思いをした者、3位でも喜んでいる者。個人競技に燃えた者、チーム対抗のリレーに全力を尽くした者。競技そのものより、青空の下で食べたお弁当のおいしさが印象に残っている者。

ほかのだれでもない「私」という人間のフィルターを通って生まれた言葉は、どう拒んでも「自分にしか書けないこと」になってしまうのではないだろうか。


「書く同志というか、横のゆるやかなつながりがほしいなあ」などと最近感じてたりする方、ぜひチェックしてみてくださいね。

編集ライティング研究を進めてる大元(?)、inquireのHPはこちら↓

よーし今後とも楽しく研究するぞー\(^o^)/

より佳く生きていこうと思います(・ω・)