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ガンバ大阪vsアビスパ福岡 マッチレビュー

はじめに

どうも僕です。
まさか新年一発目が3月の下旬まで投稿出来ないなんて自分でも思ってませんでした。ボツにしてきた記事はそれなりにありますが、なんと言っても1本目なので、自身の仕事の出来なさを悔やむばかりです。
そんな今日は私のホームタウンでもある福岡のチーム、アビスパ福岡 vs 監督交代で心機一転スタートを切ったガンバ大阪のマッチレビューやっていきます。

フォーメーション

両チームのフォーメーションは4バック。
ガンバ大阪は慣れ親しんだ4-4-2に別れを告げたあとのフォーメーション探しに苦労していそう。
それに加えてチームの要でもある東口と宇佐美を負傷で欠くガンバ大阪。
対するアビスパはリーグ戦勝ちなしという結果に、さっそく心配でぶっ倒れるのか!?と言わんばかりのサポーターも見られる中迎えるアウェイ戦。
まずはそんな両チームの序盤の攻防から、試合全体を見ていきましょう。

ロングボールと、リカバリーと、時々エリア管理

試合開始直後は落ち着きにくく、お互いにボールを持て余す展開が起こることも珍しくないサッカーですが、ガンバもアビスパも、その落ち着かなさを逆手にとって攻めるリソースと作戦を持っていました。

まずはガンバ大阪側から見ていきます。
ガンバはゴールキック含め、GKがボールを保持すると、真っ先にパトリック目掛けロングボールを届けていました。
パトリックの標的はアビスパの左SBである志知です。
身体的ミスマッチから、ボールを収めるorセカンドボールの回収を序盤のガンバは非常に意識していました。

この様に4-D-2(4-3-1-2)の利点である中盤4枚を活かすように、5階層で構成されるフォーメーションで、3階層しか無いアビスパの4-4-2ブロックの中盤を制圧しようと、全体を大きくサイドに寄せていきます。
主にパトリックへのロングボールや、そのロングボールで二次的に生まれたスローイングの際に、この陣形を構築することによって、ロングボールをパトリックに当てた後のセカンドボールを回収しつつ、一気にアビスパゴールを陥れようという作戦です。
パトリックがロングボールを競り勝てる限り、ビルドアップ等の工程をすっ飛ばして攻撃を行えるチャンスを増やせるので、非常に合理的かつ厄介な策であると言えるでしょう。

しかしそうは問屋が卸さないのがサッカーというスポーツです。
アビスパはCBの宮と志知のポジションを入れ替える事で、パトリック-志知の競り合いをパトリック-宮の構図に変えて、ロングボールを簡単にガンバの中盤4枚が待つエリアに落とさせないように弾き返していきます。

それによりボールの落ちる位置はどんどんパトリックの周辺を離れ、アンカーの位置に入る奥野の周辺に落ちるようになっていきます。
これにより、元々パトリックの周辺に人を多く配置してボールを回収するのが目的だったのに、ボールが弾き返されて回収出来る範囲を越えてしまうという問題が発生します。

奥野の周辺までロングボールを弾き返せれば今度はアビスパ福岡のターンです。
奥野の周辺に2トップ、その2トップを補佐するように配置されたSH、そしてボールを弾き返すと同時にポジションを上げるCHによって、ガンバは奥野の周辺で逆にロングボールを握られてしまうという悲劇。
挙句の果てにアビスパの先制点は、パトリックへのロングボールから生まれたという何とも辛すぎる形でした。
全体を圧縮させると言う事は、複数存在するフェーズをぶっ飛ばして、一瞬のうちに攻撃を完結出来る事に繋がりますが、それは仕掛ける自分たちも同じ危険に晒されているという事。フィジカルエリートの多いアビスパに使うには、少々早すぎたのかもしれません。

空中(ロングボール)で戦うと言ったな、あれは嘘だ。

前半15分ほどで当初の思惑が完全に裏目ってしまったぜえ...となった片野坂ガンバは、フォーメーションをフラットな4-4-2に戻しつつ、今度は中盤のテクニシャンを活かす地上戦を仕掛けます。次はそんな両チームの地上戦を見ていきましょう。

元々この可変は4-D-2時にも見られた可変ですが、圧倒的に4-4-2から可変した時間が長かったので、ここから書かせていただきます。

奥野をCBの間に落とし、SHの倉田と小野瀬がIHの様に中央にスライドして3-5-2を形成します。
相手のアビスパは4-4-2なので、基本的には2トップの脇からCBが持ち上がりつつ、WBや中央から降りてくる選手を使ってボール運んでいきます。

主に幅広く動いてボールを引き出す石毛の居る左サイドからボールを前進させていくガンバは、黒川や外に流れた石毛でクルークスを押し込みつつ、5-3-2の様に押し下げた所から、前の脇に顔を出す倉田や昌子がパトリックへクロスやロングボールを当てていきます。

しかしここでまたもガンバに問題発生。
アビスパ福岡の守備視点から、ガンバがイマイチ攻撃を完結させられなかった理由を探っていきましょう。

第一に挙げられる原因はアビスパのSHが我慢しまくったから。だと思われます。
元々ガンバは3バックに可変して、CBから持ち上がりつつ相手を引き出して階層のズレを生み出したかったはずです。
それは高い位置でSBとCBの間へランニングを入れる石毛や齊藤、小野瀬を見れば分かると思いますが、その形から抜け出した選手がフリーの割合を高められなかったため、直接的にゴールを脅かす決定機が増えなかった事に繋がります。
具体的な動きを図でも表していきましょう。

これにより、高い位置からDFラインの裏へ抜け出せてはいるものの、肝心のみんな大好きハーフスペースからクロスが出てこない。これがガンバの攻撃がイマイチパッとしない理由なのだと私は考えました。
そしてマークが付いた状態で、クロスが上げられない場合にどうなるかと言うと、DFを背負いながら、ボールを下げる事になりますね?
それによって、5-3-2に変化したアビスパのCH脇からのロングボールが増えた事に繋がる訳です。
ガンバの配置から予想される理想ムーブ一応置いておきます。

次に段々と減っていく攻撃のチャンスの中でも、しっかりと形を持って攻めていたアビスパの攻撃を見ていきましょう。
今回のアビスパの攻撃は、左右で違いを持たせるものでした。クルークスが大外に張ってカットインという形を持っている事もあり、左サイドには選手を集めて崩していくor手薄になった逆サイドへ展開するというものです。
そんな左サイドの攻撃は、SB志知のスタートポジションを低めに設定して、相手守備者を引き出す所から始まります。

この試合右SHに回った小野瀬は、頻繁に志知へとボールが渡った瞬間寄せていく場面が見られました。
これは4-D-2の時にも見られ、右サイドのIHを担当していた齊藤も、低めにポジションを置いた志知へとプレッシャーをかけている場面がありました。
見事に長谷部監督の術中にハマったガンバは、志知をプレッシングのスイッチに設定するも、巧みにボディアングルを変えて、小野瀬が空けたスペースへと人を潜り込ませ、そこにボールを供給していきました。
先程述べた片野坂ガンバがやりたかった事を、アビスパ側にしてやられた格好です。
そこから奥野の周辺を使い、左サイドに寄ってきた山岸やフアンマ、田中、中村を使いつつゴールに迫るプレーを見せました。(ゴールを決めてくれたら紹介しやすかったのに)

次に左サイドから展開されたボールを使った右サイドの攻撃を見ていきます。

大外に張ったクルークスは基本的にカットインからクロスorミドルシュートを持ち味としています。
そんなクルークスも、相手守備者に近くで構えられると満足なプレーは出来ません。
そこで現れるのが低めに配置したもう1人のSBである湯澤です。
彼が低めからクルークスをオーバーラップとインナーラップでサポートしつつ、相手守備者に的を絞らせない様に動いていきます。基本的に左サイドから届けられたボールでプレーが始まるので、特に相手SHが間に合わない位置にボールを届けられると、その時点で2対1が出来上がり、クルークスのカットインを抑えられなくなるという仕組みです。
クルークスのカットインに合わせて、左サイドに寄ったFW2枚とSHが、相手DFラインの裏に1人ずつポジショニングする事で、大外で余ったSHや大柄のFWがヘディングで仕留めていきます。
試合ではこの形から田中のゴールとオウンゴール誘発に成功していますね。
この様に少ないチャンスを活かすため、プレーの再現性を突き詰めたアビスパは、一応ゴール期待値でリーグトップクラスの数値を叩き出しています。(ちなみに4得点)

試合はその後両者乱打戦の中2-3でアビスパがリーグ初勝利を挙げ、ガンバ惜しくも勝ち点を逃す試合となりました。

まとめ

両者リーグの成績に見合わず、チームとしてどういう風にやっていきたいという部分が、ある程度の領域で纏まっていたので、後は上がっていくだけだなという感じでした。
特にガンバは、4-3-3に出来ればサイドでズレを作り出す動きだったり、効果的なランニングから相手を陥れる動きを落とし込める段階にいるなと感じます。
(この記事の編集後に過去の試合を観ていると、4-3-3を既にやっているので、宇佐美が帰ってくるか、新たなWGを獲得するかでいくらでも変わるチームだなと思いました。)

3-5-2への可変に関しても、後半はIHがアビスパのCHを広げる意識を持って、最終ライン付近まで降りることを我慢していましたし、試合の中で変わっていく適応力の高さはさすがだなと感じました。
これを偶発的にでは無く、狙って70分くらい続けられたら、アビスパの様な堅い4バック相手でも十分脅威になれるかなと。
ガンバのこれからの課題はIHの位置にくる選手の動きの質向上と、守備の練度向上でしょうか。
特に守備はい3センターの押し込まれた時の高さ、4-4-2ではSHの特攻癖を改善しないと、今回の様な形でやられる試合は増えてくるでしょう。攻守にわたって優秀なDF陣を助けられるように頑張って欲しいです。

アビスパはセオリー通りに試合を進めたものの、継続して弱点である動き過ぎるCHを狙われて、DFライン前で前を向かれる展開があったのが、これからの課題かなと感じました。
特にミドルゾーンでのSHとCHのハーフレーン共有がチグハグなチームは、前述の様なやられ方をします。

こうなった場合にIHをどちらが処理するか問題は根深いですが、WB役をSHで絶対に見たいアビスパは、SHがIHをマークする事が出来ません。
でもCHが横にずれたら中央やられちゃうじゃないか!エアプか?
というチームにオススメなのが、ボールサイドCHがSBとCBの間の手前にポジションを下げ、逆サイドのCHとSHを絞らせて中央を消すという作戦です。

これだとブロックの間やトラップで一気に門を通過されるリスクは減らせて、逆にポジションを下げた分、手前側のスペースに降りていく相手選手を狩る事が出来ます。
トップレベルでは、一度食いつかせつつ横に逃げられて、中央を切り裂かれるという地獄みたいなチームも居ますが、逆にそれでやられるなら間違いなくリーグ取れるんで、大歓迎と言った所 ジョージさんです。
アビスパは堅守だ堅守だと言われていますが、数年前から動き過ぎるCHの周辺を、偶発的にやられている場面を度々見かけるので、アビスパと戦う事あるよー🙋‍♂️って方は一度やってみることをオススメします。秘密ですよ。

それにプラスして、アビスパはクロス対応の準備が早いため、よく外側CBの手前が空きます。
ボールサイドSBとCBの間でランニングプレーを狙ったり、ニアで浮き玉を逸らして見るのもオススメです。これも秘密です。

さいごに

5,000字を越えてしまった事は反省しておりますが、それなりに両チーム何がしたいのかを、分かりやすくお伝え出来たのではないかなと思っております。分からなかったら分からない所を聞いてくれたら、頑張ってお伝えします。

ガンバは東口と宇佐美を欠く試合ではあったものの、普通にみんな上手いので、アビスパよりも強そうなのが羨ましいです。
特に奥野はミスも見られるものの、自信持ってプレーしてるので、3バックの真ん中に落とすの勿体ないなって思ったくらい。あれやるとプレッシャーから逃げるように降りちゃうので、海外行くと100%詰みます。
遠藤とか代表の試合中全然落ちないでしょ?落ちるとアビスパみたいなチームに狩られるから降りられないんですよね。
他にも小野瀬や齊藤は運動量もあって上手く、石毛はめちゃくちゃ気が利くので、フォーメーション変えた後にトップで使われるのも分かるなって思いました。あとCB上手すぎです。もう少しプレッシャーにビビって蹴って欲しかったです。

筆者アビスパサポーターです。

                                   終わり

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