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【満身創痍】Jリーグ第16節 大分トリニータvs.横浜Fマリノス

中3日で怪我人も多く満身創痍の状態の中で、現在4位と好調の横浜FMをホームに迎えたが、試合内容はお世辞にも褒めるべきところはなく、まさに完敗という2文字が重くのしかかるそんな試合だった。

立ち上がりから、横浜FMがボールを握る。大分は、攻撃時は3-4-3だが、守備時に4-4-2という可変システムを採用したが、横浜FMのロンドに翻弄され、結果、従来通りの5バックへと戻した。

横浜FMのボール保持は選手が流動的に動いて三角形をつくるサポートがはやく、大分は序盤からプレスをかける意図が感じられたがズレを生み出されてしまい、結果自陣低い位置でブロックを形成し、1発逆転のカウンターを狙うそんな展開が終始続いた。
試合のスタッツにもそれはあらわれていて、大分のボール支配率は31%で、シュートは僅か3本。枠内に飛んだのはそのうちの1発のみだ。

大分はボールを奪っても、横浜FMの素早いチェイスに奪い返される。横浜FMのプレスに対して、繋ぐことができずに、苦し紛れに蹴っては回収される。
たとえ、中盤の網をくぐり抜けても、砦にはチアゴマルチンスというモンスターがいる。チートだ。

フットボールには4局面あると言われていて、横浜FMは「ボール保持」の局面と「ネガティブトランジション(攻撃から守備の切り替え)」の局面の2つを徹底的に極めているようように思えた。ただ、上記以外のポジティブトランジション(守備から攻撃の切り替え)でも、ボール非保持の局面でも、横浜FMはハイレベルであることは言わずもがな。結局は、強いチームって4局面全てがハイクオリティで。

大分は、その中でも「ボール保持」の局面が秀逸でJ1でも通用することを証明してみせたし、チームのアイデンティティであったがそれは過去のものとなりつつある。チーム自体がうまくいっていないので、その優位性は現在は失っているように思えるし、低迷している要因のひとつであると考える。

大分は、全ての局面で横浜FMに上回れてしまい、手も足も出ない状態だったが、前半は人海戦術を敷いて何とか凌くことができた。前半耐え凌げたのは、とても大きいことで、大分トリニータとしては、片野坂監督の頭の中には、上位の横浜FMに対して、スコアレスのままで勝ち点1でもとれれば御の字だったかもしれない。あわよくば、勝ち点3を取れればラッキー的な。

一見、腰の引けた戦い方に思えるかもしれない。ただ、現在、降格圏内の大分トリニータの立ち位置をみれば、勝ち点1でも喉から手がてるほど欲しいわけで。当然、スポーツなので、勝ちにこだわることはとても大切な当たり前のこと。ただ、生き残るためには仕方のないことだと思っているし、リーグ戦という38試合の中で勝ち点をどれだけ積み上げることのできる勝負をしているわけなので。

終始、横浜FMがボールを握り、大分はゴール前にバスを止める展開が続いた。このままスコアレスで終わる、終わってくれと願ったが、そんな思いは左利きのマジシャンによって、容易く打ちひしがれてしまった。

80分、右サイドで高卒ルーキーの樺山が中に持ち出して、ボランチ起用の岩田へ渡すと、岩田がもう一度右サイドへ振り、ボールを受けた天野が左足でボールに魔法をかけたような、ピンポイントクロスをおくると、前田大然が頭で合わせて、ゴールネットを揺らした。樺山の中への持ちだしにより、大分DF陣の目線を中へと誘導して、天野がフリーで余裕をもってボールを受けることができた。あとは、ボールに魔法をかければ、あら不思議。ボールが前田の頭へと吸い込まれるようなビューティフルなゴールであった。

そして、その得点が決勝点となり、勝ち点3を手にしたのは横浜FM。大分は、2連敗を喫してしまい、長い長いトンネルへの入り口に立たされてしまった。

次節は、中3日でアビスパ福岡をむかえる九州ダービーだ。福岡は現在好調だが、勝てることができれば、満身創痍のチームにとっては大きな起爆剤となるだろう。


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