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【一致団結して掴んだ勝利】Jリーグ第12節 大分トリニータvs.清水エスパルス

大分トリニータは現在リーグ戦7連敗中。水曜に行われたルヴァンカップ神戸戦で久しぶりに勝点1を得ることができたが、スコアレスドローでまだまだ課題は山積みである。
ただ、ルヴァンカップでは主力は温存し、清水戦へは相当な準備をしてきたことは間違いない。また、先般から行なっていたクラウドファンティング〜一致団結プロジェクトでは、寄付金額が目標の5000万円に到達した。あとは、ピッチで結果を残すだけとなった。今節の大分は、まさに一致団結して、前半に先取した1点を粘り強く闘い守り抜いた。片野坂監督は遂に因縁のロティーナ監督から初勝利。ホームで塩漬けにしてみせた。降格圏であることに変わりないが、第2節の横浜戦以来の勝利の味は、空きっ腹のチームにパワーを与えてくれることは間違いない。
対する、清水も大分同様うまくいってるとは言えず、5試合で勝利はなし。清水は今シーズンからロティーナ監督を招聘し、オイルマネーならぬ、鈴与マネーで鈴木をはじめとするトップクラスの選手を補強したにかかわらずここまでリーグ戦11試合消化して、勝ち点11しか積み上げることができずに、順位は大分の1つ上の16位と低迷している。お金をかけたからといって強くならないのはサッカー七不思議の1つである。

試合結果

大分トリニータ1−0清水エスパルス

【得点者】
38‘町田

【選手交代】
大分トリニータ
68‘小林成→渡邊
74‘松本→福森
89‘小出→エンリケ

清水エスパルス
61‘河井→西澤
61‘鈴木唯→後藤
71‘中山→指宿
87‘中村→ヴァウド
87‘奥井→福森

スタメン

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スタメンは上図の通り。大分は前節から1人変更。伊佐にかわって長沢がワントップを務める、現状のベストメンバー。対する清水も変更は1人で、西澤にかわって中村が入った。

先手

ロティーナ監督のチームといえばJリーグ屈指の堅守を誇ることは周知の事実だろう。J2時代から対戦を重ねてきた片野坂監督は誰よりも、ロティーナ監督の恐ろしさを知っていることであろう。ここまで8試合戦ってきて、未だに勝利なし!得点もなし!結果を見れば一目瞭然だ。
中から攻めることができるのがベストだが、中はガチガチに堅くサイドからの攻撃を余儀なくされ、大分は、序盤からサイドからクロスを放り込む。主に右サイドからで、小出、松本、町田の3人の関係性で右サイドで崩しにかかる。
ただ、流石はロティーナ監督のチームで、深い位置までは侵入させてくれず、遠い位置からのクロスになってしまい、清水の門番にはあの鈴木義宜が立ちはだかる。長沢がいても、当然深くまで侵入しなければ、対策は容易いだろう。
清水のボール非保持は4−4−2でプレスは行わずミドルゾーンで構える形。時折、サイドハーフが睨みをきかせ、ビルドアップを阻害するも、大分は、3バック数的優位を得ながら前進を目指していた。パスコースがなければ、長沢が清水のボランチの位置まで降りてポストするパターンも織り交ぜながら、清水に対して常に後出しジャンケンができていたように思える。
また、三竿は言わずもがな、坂の存在が大きいなと。坂は相手の出方によって判断を変えることができるので、来なければフィードがあるし、来れば縦につけるよ!的な具合で、坂が大分の戦術兵器になっていることで、ボランチが不用意におちることもなくなり、小林裕、下田が高い位置で絡むことが可能になっている。

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ただ、大分はボールは保持してはいるけれど、ラスト30mでの崩しは相変わらずで、ゴールを脅かすまでには至らない。町田が浮いた位置で受けても、すぐに清水にセットされてしまう。流石はロティーナ監督のチームだなと。ただ、清水も攻撃に関してはアイディアが乏しく、大分同様ラスト30mで怖さがない。清水も芳しくなかったが、大分の守備は素晴らしかったなと。中へ入った時の寄せが相当タイトで、絶対に中からは通させません!という気迫が伝わってくるほど。また、清水の右サイドの中山とエウシーニョには自由にやらせず、香川と三竿は素晴らしかった。特に三竿の読みのはやさがここ最近えぐい。フィジカルに恵まれていない分を読みのはやさでカバーする様は職人のよう。
互いに攻めのアイディアに欠ける中、先制点をとった方が試合を制する渋い試合になるなと思っていたら、思いもしない形から大分が先制する。
36分に、小出のロングボールを長沢がフリックすると、長沢のあけたスペースに走り込んでいた、小林成がうけると右サイド方向へそのまま持ち運び、中央の長沢へおくり、長沢が左足で合わせるも、権田のビックセーブに阻まれてしまう。そして、直後の下田のインスイングのCKをニヤで長沢が競るも、ボールは流れ鈴木に当たるとこぼれたボールを最後は町田が押し込み先制。町田は2試合連続のゴールで、大分は思ってもいない形からあっさりと先制した。セットプレーから大分が得点する確率なんてシーズンに1回あるかないかぐらいのもの。また、この試合は長沢のポストが絶妙で少し降りた位置で浮き球のボールをマイボールにする質的優位性は流石だなと。長沢というオプションがあることで、清水の選手に迷いを与えていた。大分は1点のアドバンテージを得た状態で前半を終える。
後半、追加点を狙う大分と、追う立場になった清水。先行して塩漬けにするのが得意なロティーナ監督が追う立場となって後半どう動くのかだが、解決の糸口は見つけられていないのか、指示は出してはいるけど選手の問題なのかどちらなのかは分からなかった。ただ、大分は追われる立場になるとどうしても重心が低くなってしまいがちで、後半は清水の勢いに押されて守る時間帯が増えてしまう。やはり、ここまで勝てていないので、どうしても守りに入ってしまうのかもしれない。大分は、5-4-1でブロックをつくり、自陣で構え清水の攻撃を耐え凌ぐ。清水は、5レーンに人を敷くポジショナルな攻め筋から崩しにかかるも、大分と同じでとりあえず5レーン埋めてます!的な状態で、大分のブロックを崩すまでには至らずラスト30mを超えることができない。清水は選手交代で変化を加え、得点を狙う。61分に河井と鈴木唯を下げて、後藤と西澤を投入しアタッカーを増やした。左SHの中村をボランチに、中山を左SH、右SHに西澤、2トップの一角に後藤が入る。清水は圧をあげ、63分にエウシーニョが右サイドから中央へ運び、奥井とのワンツーからボックス内へ侵入しグランダーで折り返しすと後藤がフリックし、右サイド西澤が右足を振り抜きサイドネットへゴールイン!実況の田辺さんはゴールと思い違い決まったぁぁぁ!!と(笑)
エウシーニョの個人戦術からの打開は、脅威で。エウシーニョの個人技と中央に入った中村慶太が独特のリズムでゲームメイクしながら幅を使った攻撃で勢いを増すも、最後のクオリティ不足で、71分に長身ストライカーの指宿を投入。チアゴサンタナと2トップに並べツインタワーを形成。清水は、2トップの高さをいかしながらパワープレーにでる。終いにはヴァウドを前線で起用し、高さで殴る清水。大分も高さには高さを!ということでエンヒケを投入。エンヒケはファーストプレイでいきなり指宿に競り勝ち、大分にパワーをもたらし試合を締めた。エンヒケは大分のサポのハートまでガッチリとキャッチ!

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大分は一致団結し最後まで諦めずに全員で闘ってホームで初の勝利を掴んだ。7連敗という長い長いトンネルからようやく抜け出した。中々結果が出ずに責任を感じていた片野坂監督の試合後の涙は美しく、この1勝は順位表をみれば小さな一歩かもしれないが、選手、監督、サポーターにとってはとても価値ある大きな大きな1勝だった。


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