見出し画像

【堅守遅行】Jリーグ第19節 大分トリニータvs.鹿島アントラーズ

代表ウィーク明けの札幌戦では、完敗という形に終わってしまい、再開後直後の重要な一戦を落としてしまい、もうあとがなくなってきた大分。
シーズンも半ばに差し掛かろうというところで大分は、前回の反省を踏まえ何かをみせなければならない。そういう意味では、今回の試合は試金石となると、前回のNOTEでも書いたが、大分は前回から守備の部分は再構築され、アグレッシブに闘い鹿島から勝ち点1を何とか掴み取る形で試合を終えた。

試合結果

大分トリニータ0-0鹿島アントラーズ
選手交代
大分トリニータ
23’坂→刀根
63’町田→小林成
63’小林裕→羽田
83’香川→福森
83’井上→藤本

鹿島アントラーズ
67’永木→ピトゥカ
67’エヴェラウド→染野
75’白崎→土居
75’ファンアラーノ→和泉
88’松村→小泉

スタメン

画像1

スタメンは上図の通り。
大分は、前節から4人入れ替え。前節トップで起用された井上は、右WGでの起用となり、長沢をトップに戻し、ボランチには、羽田ではなく長谷川をスタートから起用。長谷川は、今シーズンスタートから起用されたのは5回目。今節は良いフィード何本か通してましたし、彼ならもっとやれるはず。

対する鹿島は、前節から8人とカップ戦並みにターンオーバー。それでも、錚々たるメンバーで層の厚さは流石だなと。8人も入れ替えているのに、落とした感があまりないっていうか、そう感じさせない鹿島の、ミルフィーユばりに何層にも重なった選手層の厚さが羨ましい。

泥臭くアグレッシブに

両者、立ち上がりからアグレッシブに球際に強く、目まぐるしく展開が変わる試合展開となった。試合が終わって、両チームのシュート本数はたったの4本。内訳は、鹿島が3本、大分が1本という一見激渋い塩試合のように思えるが、それは、両チームともに相手に思うようにやらせない守備が光ったゲームになったとも捉えることができるだろう。数字が物語るように、両チームともに切り替えがはやく、球際に激しく、みていて手に汗握るそんな試合だった。

大分は、前節の札幌戦での反省を踏まえ、中3日という短い準備期間の中で狙いを共有し、ピッチの中で体現できていたように思える。
まず、前節は守備の局面で受け身になり、重心が低くなりすぎてしまい、札幌のポゼッションサッカーに翻弄されてしまったが、今節は激しく人にガチッとつくような守備で、奪われてからの切り替えがはやく絶対にやらせないぞという闘志すら感じさせた。

1人1人が最後まで粘り強く闘いコンパクトにハイラインを保ったオーガナイズされた守備は、鹿島を苦しめ自由を与えず、結果シュート3本で抑え、枠内シュートはゼロだ。

エンリケを中心とし、強力な鹿島の攻撃陣を抑えたことは自信にもなるだろうし、やはりエンリケがえぐいなと。エンリケの出足のはやい守備は、外されればジ・エンドで、合流当初は危なっかしいシーンも何度かみられたが、今節の鹿島戦に至っては、鹿島の攻撃の芽を何度も潰し、エヴェラウド相手に完封。
エンリケの危機察知能力の高さと、しっかりと潰せる守備能力の高さは何度も大分を救い、合流からまだ2ヶ月ほどだが、試合を重ねる毎によくなっているし、既に大分の中心だ。

また、大分は攻撃の局面でも全体で同じ絵を共有しながら、チャレンジできていたように思える。鹿島が442でハイプレスをかけてきた時に、引きつけてシンプルに背後を狙うという攻め筋で、セカンドボールにもしっかりと反応できていたし、前節は風の影響と、ミラーゲームでズレを生み出すことに、苦労していたが、今節は狙い通りできていたように思える。

やはり、鹿島の守備が442であることは、配置的に優位性をつくりやすいこともあっただろう。
鹿島のハイプレスは、大分の3CBに対し、2トップ+SHを1列押し上げる形でおこなっていて、必然的にボールサイドのサイドは手薄になっていて、プレスを外せば、一気にチャンス!というシーンを作ることができていた。ただ、鹿島もSHが出た後のスペースのケアは、分かってるよと言わんばかりにSBとCBが素早くスライドする形でしっかりとケアされていて、大分の難関はむしろプレスを超えた後にあった。
後方で、数的優位をつくって鹿島のプレスを超えても、鹿島のスライドが尋常じゃないほどはやく、あっという間に2人、3人に囲まれてしまい、結局バックパスを選択するというシーンは何度か見られた。
三竿は、試合後に以下のようにコメントした。

三竿「1人が3タッチ以上すると相手も戻りが早く囲まれてボールを奪われてしまうので、もっと1タッチ2タッチ、多くても3タッチ以内でテンポ良くボールを動かし、ワンツーなどのコンビネーションを駆使してゴール前まで行きたかった。」

三竿がコメントしたように、少ないタッチとはやい判断で攻め込むことができなければ、ゴール前まで侵入することは不可能だろう。
ただでさえ、大分のサッカーは、後方に数的優位を生み出すために人数をかけるため、プレスを超えた後、ラスト30メートルのところのクオリティの部分は、まだまだ課題が残る。連携面のところはまだまだ良くしていかなければならないし、後ろに人数をかけているため、リスクをかけてでも後方からのサポートも必要だろう。

前節の反省を踏まえ、守備の部分は短い期間で再構築ができた。
ただ、点をとらなければ上には上がれない。選手の質のところはある程度は、目を瞑らなければ仕方のないことかもしれないが、やはり個で違いを生み出せる選手がやはり欲しいなと。スリートップに限って言えば、長沢、町田は抜群の存在感を見せつけているが、左シャドーのポジションには片野坂監督のリクエストに応えることのできる選手は現状いないだろう。野村が復帰してくれれば早い話だが。

大分は、鹿島相手に最後まで臆することなく闘い、喉から手が出るほど欲しかった勝ち点1を手にすることができた。攻撃の部分には、まだまだ課題は残るが、ボロボロだった札幌戦から中3日での修正は流石だなと。
エンリケがフィットしてきたことにより、堅守さは取り戻しつつある。坂の怪我は、想定外だったが、途中から代わって入った刀根は流石の安定感を見せつけた。
ただ、先述してきたように攻撃は明確にクオリティ不足だ。それは、新たに獲得する選手が解決するのか既存の選手の成長を待つのかどうかは、分からない。
何れにせよ、今の大分トリニータは、勝ち点1でも落とせないところまできている。時間はないし、ここからの戦いぶりには監督の手腕が問われることだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?