【救世主】 ルヴァン杯　GS第４節　大分トリニータvs.徳島ヴォルティス

ホームで清水エスパルスに勝利し、７連敗という長い長いトンネルを抜けた大分トリニータ。久しぶりの勝利は、チームにきっとパワーを与えてくれるはずで、まだまだ長い戦いは待っている。まずは、ルヴァンカップで徳島をホームに迎え、勝利してGS突破へ可能性を残したいところだが、試合は高澤の今シーズン初ゴールで先制するも試合終了間際に追い付かれてしまった。ただ、リーグ戦で中々出場機会の少ない選手たちの活躍はポジティブに捉えられる。ゴールに飢えていたストライカーにもようやくゴールという結果がついたし、弓馬、屋敷もリーグ戦で起用できるレベルであることを証明した。エンリケも初スタメンでチームに安定とパワーをもたらした。ここにきて控えのメンバーが猛烈にアピールし、片野坂監督には嬉しい悩みができたことであろう。

エンリケトレヴィザンがもたらしたもの

大分は、開始から前線からのプレスで徳島に圧をかける。大分のプレスは徳島に時間とスペースを与えず、大分が序盤から主導権を握る展開にとなった。徳島のビルドアップは2CB+小西or藤田or吹ケがおりる形の最終ライン3枚でビルドアップする形が基本。徳島の3枚に対し、大分は3-4-3でマンツー気味でプレスを行い、徳島のミスを誘いながら、高い位置で奪ってからショートカウンターを仕掛けられていた。
大分は、14分にプレスから攻撃につなげて得たCKから、幸先よく先制点をゲット。右CKのキッカーを務めた長谷川が、左足でニヤへボールを送ると、エンリケがニヤで潰れ、流れたボールを高澤が右足で合わせてゴールネットを揺らした。大分は、2試合連続でセットプレーから得点で、今シーズン初ゴールのNo.9。まだまだポストプレーの精度の上げなくてはならないが、得点に飢えていた男の爆発に期待したい。

前回は、長沢が今回はエンリケが囮として機能し、大分は苦手としていたセットプレーから2試合連続で得点を得ることに成功した。やはり、ターゲットとなる選手がいるのは大きいなと。エンリケがニヤに入ったことにより、徳島の選手を2人引き連れた。大分は、これまでセットプレーからの得点はほとんどなく、失点は多くで、軽視しているのではと言われるほどセットプレーを苦手としていた。今シーズンは、外国籍の選手を2人獲得と長沢を獲得し、セットプレーに力を入れていたのはもはや言うまでもない。その結果がようやく功を奏した形で、2試合連続で得点したことは、自信になるだろうと思う。
前節の清水戦で、締めの役割で出場したエンリケは、圧倒的な空中戦の強さを発揮し、チームの勝利に貢献した。初スタメンとなったこの試合では、空中戦の強さは勿論のこと、非凡な守備センスでチームに安定感をもたらし、ビルドアップの面でもチームに貢献した。加入してまだ1ヶ月といったところで、チームに何年も在籍していたかのような、戦術理解度ももち合わせ、90分には垣田のシュートをブロックしチームを救った。まさにエンリケ・トレヴィザンは大分の救世主のようだ。

ティーンエイジャーの躍動

この試合特に素晴らしかった弓馬と屋敷。弓馬は今シーズンユースから昇格した選手で、屋敷はまだ2種登録の高校3年生だ。ともに将来を渇望されている選手で世代別の代表歴もあり、大分の未来だ。
屋敷は、リーグ戦でも起用されていて、片野坂監督からも相当期待されていることが窺える。弓馬は、リーグ戦の出場こそないものの、ルヴァン杯でのプレーぶりをみるとリーグ戦での起用も大いにあり得るだろう。
弓馬は、この試合で、徳島の攻撃の芽を幾度となく潰し、左足でピッチを広く使いゲームメイク。特に相手の攻撃の芽を幾度も潰す姿は、鳥栖へ移籍した島川を彷彿とさせる。下田と小林裕の壁はとてつもなく大きいが、過密日程の中で出場機会は間違いなくあるし、リーグ戦でもみてみたいなと。
屋敷は、リーグ戦でも出場していて、すでに片野坂監督からの信頼されているのは言うまでもないが、リーグ戦ではジョーカー的な起用がおもである。スタメンで出場したこの試合では、攻守に貢献し、屋敷はボールを持った時の前への推進力が素晴らしいなと。狭いスペースでも前を向いてくれるので、攻撃が停滞することがない。65分のシーンでは、徳島の選手を2人を相手に、個人で打開した。守備に定評のある藤田譲瑠チマさえも吹き飛ばし、フィジカル的にも問題ないことを証明した。あとは結果を出すことができればリーグ戦スタメンもあり得るなと。

秘密兵器

出場時間こそ少なかったが、合流して間もないペレイラと特別指定選手の宮崎産業大学の宇津元も出場した。ペレイラはまだ、コンディションは万全にないように思えるが、万全になれば、大分に新たなものをもたらしてくれることは間違いない。秘密兵器として期待したい。