サザンに会える
サザンとの出会いは小学生の頃だっただろうか。
元々親父が好きで、家族でドライブとなると必ずと言っていいほどサザンが流れていた。その行き先が湘南や茅ヶ崎とは真逆でも。
その頃から漠然と「サザンいいなぁ〜、好きだなぁ〜」と思ってはいたのだが、どちらかというと歌詞というよりメロディーが聴き心地が良く気に入っていたのだと思う。
高校時代には音楽の授業で、自分が好きな歌を歌うor演奏するという課題があり、なぜか当時ハマっていた「涙のキッス」をピアノで演奏したこともあった。個人的には割と頑張って練習したのだが、本番少しモタついて評定も5が取れずに4だった覚えがある。
男友達たちとのカラオケでも周りがRADWIMPSやONE OK ROCKなどをシャウト混じりに歌う中、いとしのエリーなどをしっとりと歌い上げて変な空気になることも度々あった。
大学に入って軽音サークルでもサザンのコピーバンドをやった。もちろんボーカルで。
桑田節の足元にも及ばないモノマネに毛の生えたようなクオリティの歌だったが、フロアはかなり盛り上がってくれた。サザンの楽曲の偉大さを感じた瞬間だった。
・・・
時が流れて去年、サザンが久しぶりに故郷・茅ヶ崎でライブを行うというのでこれはもう行くしかない!という思いに駆られて友人と応募した。
しかし結果は勿論落選…。やはりサザンとの邂逅は夢のまた夢なのかと落胆してから早半年。
2回目のチャンスが来た。
ロッキンジャパンフェス。
それは日本の現在のロックシーンを象徴する若手のバンドが中心のロックフェス。そこにサザンが大トリで出演するというのだ。
サザンとしては2018年以来のロッキンだが、バンドメンバーの高齢化なども加味して今年で夏フェスに出演するのは最後とのこと。
サザンに本気で会いたいならここしかない。
本能的にそう思った。
(学生時代、好きな人と結ばれてカラオケでエリーを彼女の名前に変えて歌えたら幸せだなぁ)
(男と女の色恋をあんなに妖艶かつ巧みな言葉遣いで表現できるなんて凄すぎる!!!)
(痛烈な社会風刺を交えつつ社会で頑張る人へのエールソングを高らかに歌い上げるのカッコいいなぁ)
そんないろんな感情を抱きながら聴いていたあのサザンが生で見れたらこんなに幸せなことはない!当落発表まで祈るような気持ちで過ごした。
・・・
そして、当落発表日。
その日は仕事が早く終わり、家へと向かう帰路の途中で運命のメールが届いた。
そこには「チケットのご準備ができました。」の文字が。
やった、、!!
ついにこの時が来た。
念願のサザンである。あの国民的ロックバンド、サザンオールスターズのライブである。
さすがに想いの強さが届いたと言わざるを得ない。執念とも言えようか。
素でスキップが出そうなのを何とか堪えて電車を降りる。
友人たちとLINEで喜びを分かち合いつつ、サザンのプレイリストの再生ボタンを押す。
小気味よく軽快に流れるサンバチックなリズム。
彼らのデビュー曲であり、言わずと知れたロックナンバー。勝手にシンドバッド。
(サザンに会える!サザンに会える!)と高鳴る俺の胸を押さえつけるかのようにイヤホンの中の若き日の桑田佳祐が一言。
まだ早い〜♪
思わず笑みが溢れた、そんな1日だった。
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