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不登校だった2人の「こんな学校がいい!」<TK×吉藤オリィ対談レポート【2】>

複雑心奇形という先天性の心疾患で平均寿命は15歳と言われているTKことミウラタケヒロ。TKは外出困難な方のもう一つの体となる分身ロボットOriHimeを使い、自身の世界を広げてきた。体は動かなかったとしても、OriHimeで会いたい人に会い、行きたい場所に行ける。そのOriHimeを開発した吉藤オリィさんはTKに大きな影響を与えた一人だ。第2回OriHime対談では、二人の学校への思いを語ってもらった。

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学校で使用できなかったOriHime

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ーーTKは「OriHimeの開発者」ということでオリィさんに興味を持ったんですか?

TK:それもあります。最初はOriHimeの仕組みが理解できなくて、みんなが思うようにAIで動いているんじゃないかと思っていました。ロボットの仕組みが気になったんです。

オリィ:TKはどこでOriHimeのことを知ったの?

TK:「不登校の突破口を見つける」といった投稿でOriHimeが出ていたんです。そこで、「体は学校に行かない」という選択肢に気づくことができて、興味を持ちました。

オリィ「OriHimeを使って学校に行きたい」と思って興味をもったわけだね。

TK:はい。体がしんどいから、「もしOriHimeで学校に行けるんだったら頑張ろうかな」と考えていたんです。でも、学校側からは「僕の顔が見られないからOriHime登校はちょっと……」と言われてしまって。OriHimeは、顔が見えないことこそが良さだと思うのだけれど。

オリィ:顔が見られたら良いという意味では、ZOOMやSkypeがあるとけれど、それでも学校はダメだったんだよね?

TK:うちの学校は、通信機器があること自体がNGでした。

オリィ:今、国会でOriHimeが使われるか否かが議論になっている。その論点は、セキュリティの問題なんだよね。議会では公にできないようなことも話すだろうから、外に出るリスクをなくしたいということはまだ理解できる。でも、学校においていったい何が秘密なんだろうね。
 OriHime を作った2010年の頃から、病気で学校に通えない人たちが使って、友達と遊んだり、思い出を作ったりしてもらえたたらいいなと思ったんですよ。でも、学校で導入が許可されるようになるまで本当に時間がかかっている。その間に、アメリカとか北欧では、テレビ電話での出席を認めたり、同じようなコンセプトの顔が見えるタイプのロボットが学校で使われるようになったりしている。私はそれを見てすごく悔しかった。

選択肢の多い学校へ

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ーーお二人には、「不登校」という共通項がありますよね。「こんな学校になったらいいのに」という要望はありますか?

TK選択できるようになればいいなと思います。登校については、生身でもロボットでもどっちでもいいということになるといいな。
 あと、自分に合う先生が選べるといいなと思います。ちょっとワガママかもしれませんが、そうしたほうが脱不登校できる子が増えていくと思う。ただ「イヤだ」というだけではなく、合わない先生がいたら、その先生の改善点をみんなで考えるというのもいいと思います。僕のみならず、そう考えている人はいるんじゃないかな。

オリィ:そうだね。でも、学校で選択肢を提供する難しさがあることも理解できる。私はよく学校で講演をするのですが、その中で痛感するのは、教師という職業である限り学習指導要領に則って教えることが求められるのだということ。
 私は、学校に行っていなかったことで、最低限のコミュニケーション能力が習得することができなかった。人と話すと呆れられちゃったり、すぐに喧嘩をしてしまったり。TKよりはるかにコミュニケーション能力が低い…、TKは14歳にして他者と話せていてすごいなと思うよ(笑)
 人と仲良くなるという基礎能力を身につけずに19歳まで成長してしまった身としては、基本的な部分を学べる場は必要だと思うんだよね。

 その一方で、学校に足りないことがTKが言っている「選択肢」。プラスアルファというか、アドバンスの部分が存在していないんですよね。自分が「弟子入りしたい」「この人の生き様が格好いい」と思えるような大人たちに会ったり、刺激を受けるような場に参加したりすることができるといいなと思いますね。

TK:たしかに、そうですね!

thank you for Ory Yoshifuji.

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