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衆院選特別企画1:まさか、まだ財政破綻論、信じてます?

先日、珍しく民放のテレビニュースを観ていました。
理由は、衆院選に向けて、
各党の党首が出演するとのことだったからです。

なんといっても、衆議院選挙は日本の選挙のメジャーリーグ。
政権を決める大イベントですので、
日本国民なら全員が思わず盛り上がってしまうものですね!

私も、今からワクワクしています!
私の中での争点は、
どのようにして経済格差を解消するのか。
そして、気候変動対策、脱炭素ですね。

皆さんは、何に注目されているでしょうか。

さて、前述のテレビニュースを観ていて、
一点だけどうしても気になることがあったので、
その点について書いておこうと思います。

番組の司会者も、視聴者代表として党首に質問していた大学生も、
「日本の借金は大丈夫なのか?」ということを気にしていました。

財政赤字の問題についてですね。
財政政策と財源の関係についてです。
そこ、完全にまちがっていますから、指摘したいのです。

これはイデオロギーではなく、単なる知識の問題なので。

最近、ここ25年もつづいた日本のデフレ(不景気)は、
財政政策のまちがいであった、ということが言われるようになりました。

私もまったく同感です。

これはつまり、日本は、不況の場面なのに
好景気抑制のための対策をしつづけてしまった、ということです。

痩せているのに、ダイエットをしてしまったようなものです。

具体的にはそれは「緊縮財政」というもので、
国ができるだけ無駄を省いて予算を使わないようにする、というものです。

この「無駄を省く」ということが勘違いの原因なんですね。
そもそも国がやること、というのは、その内容が何であれ、
実質的にやるのは我々日本国民、日本に住む生活者なのです。

日本という国家が使うお金を受け取るのは、
我々、日本人だということです。

ということは、国が無駄遣いをやめるということは、
我々国民に対して仕事を出すのをやめる、という意味なのですね。

国のお金を受け取るのって、国民自身ですから、
そうなると我々は貧乏になってしまいます。

それを理解できず、まるで国の予算を、
企業や、家計と同じものと思ってしまった。
だから、国民までもが「そうだ!国は無駄遣いをやめろ!」と言って、
自分たちにまわってくるはずのお金を回らないようにしてしまったんです。

それが、デフレの原因です。
だから、最近、緊縮財政をやめて、積極財政にしよう!という声が
急速に高まっているんですね。

国はもっとお金を使え!ということです。
なぜなら、そのお金を受け取るのは、我々自身だということに
気付き始めたからです。

ここまでいいでしょうか?

よく政治家や官僚、そしてメディアのいう
「日本には1100兆円の借金があって、
 それは国民一人当たり900万円だ」という言説。

ありますよね。

この借金を返さなければならない!
孫子の代に押し付けてはいけないと。
財政の健全化、プライマリーバランスの黒字化が必要だ、と。

これ、間違いだらけなんです。
100%ウソであると言い切っていいと思います。
これはそもそも税収だけでなく、国債発行によって
財政を賄っているという現実のことを言っているのですが、
果たしてそれは「借金なのか?」ということです。

ひとつひとつ検証しましょう。



「ウソ・その1 その借金は、国民の借金ではない。」

日本には1100兆円の「借金」がある。
これ、借りているのは日本人ではなく、「日本政府」です。
日本国民と日本政府は、同じものではありません。

我々日本国民に、返さなければならない借金はないのです。

では日本政府は、一体誰から金を借りているのか?
これはいろいろな言い方ができます。

ひとつには「民間銀行」からの借金です。
だって、日本国債を買っているのは日本の民間銀行ですからね。
そしてその一部を銀行が金融商品として国民に売っている。
だから、一部の日本国民も、国に金を貸している。

民間銀行も国民だ、と言えばそうなので、
日本国民は日本政府に金を貸している、というのが正しくて、
なぜか、借金があることにされているのは詐欺に近い言いがかりです。



「ウソ・その2 そもそも国債は借金でもない。」

先ほど、一部の国民が国債を買っていると言いましたが、
国債の大部分は国民が買うのではなく、民間銀行が買っています。

そしてその民間銀行が持っている国債を、
なんと日銀が買い取ってしまっています。
これが、アベノミクスクのもとで展開された
「異次元の金融緩和」というもので、
日本政府が発行した国債を日銀が買っているのです。

ということは、日本政府は日銀から借金をしている、
ということなんですね。

ちょっとそこで考えて欲しいのです。
日銀って、普通の銀行ではないですよね?
一応、株式会社なのですが、株の売買は自由にできず、
その過半数を日本政府が持っています。

つまり、日銀は日本政府の一部なのです。
言ってみれば日銀は日本政府の中にある
「貨幣発行部」のような部門であり、
その「貨幣発行」のオペレーションが、
国債を発行して民間銀行に買ってもらい、それを日銀が買い取る、
というまどろっこしいことをしているだけなのです。

つまり、国債を日本の借金というのは、「自作自演」のウソなのですね。
国債の発行とは、そのまま「お金の発行」であり、
国による民間への貨幣供給の意味なのです。

1100兆円とは、国の借金の金額ではなくて、
国が国民(民間経済)に渡したお金の累計を示しているだけなのです。



「ウソ・その3 借金(?)を返したら、孫子の代は生きられない」

ここまで上げたように、国債は借金ではなく、
民間経済への国からの貨幣供給のことです。

このお金、もちろん余裕がありすぎれば返してもいいですが、
とくに返す必要のないものです。だって借金じゃないんですからね。

借りた金は返すべきですが、
工場で作ったものをわざわざ返す人はいませんね?

国債発行というプロセスは、お金工場でお金を作っているだけのことです。
社会に対しての貨幣の供給量が多すぎているなら、
税金で吸い上げてお金を減らすこともできますが、
そもそもなくす必要はないし、逆になくしてはいけないのです。

返す必要がないものを「孫子の代に負債を残す」というのは
まったく根も葉もないことだとわかりますよね?
逆に、そのお金を「借金なんだから、返す」ということをすると、
孫子の代の世の中からお金が消えてしまう、ということなのです。

真逆の結果になる、ということを
とくに、今の若者たちは知ってくださいね。

「ウソ・その4 お金を刷っても、ハイパーインフレはまだまだ起きない」

ハイパーインフレ。これも、よく言われますよね。
打ち出の小槌のように国債を発行しすぎると、
円の価値がさがってハイパーインフレが起こる。
ひいては通貨の信頼がなくなる、という話です。

これも初歩的なまちがいです。
ハイパーインフレはお金がありすぎることが原因ではなく、
モノがなさすぎること、供給力が需要に対して低すぎるときに起こります。

第一次大戦後のドイツや、第二次大戦後の日本など、
戦争のあとのハイパーインフレは、
爆撃などによってものを供給する能力が破壊され、
そこに戦後の需要の急増が重なったことで起きただけです。

日本は戦費の調達のために戦時国債を乱発しましたから、
それと混同されているんですね。
ちなみに、日本は戦時国債はちゃんと償還しています。

つまり、ハイパーインフレは
お金がありすぎたことが原因ではありません。

いま、日本は30年近いデフレで、
物があってもお金がなくて買えないのですから、
そもそもハイパーインフレは起こり得ないのです。


お金を刷りすぎると、円の価値が下がって
国債を買い支えられなくなるという話もあります。
国債を買うのは日銀なので、そもそも関係ないのですが、
かりに100歩譲って円の価値の話だとしましょう。

皆さんは、物の価値がなにで決まると思っているでしょうか?

「希少価値」という言葉から、
人は数が少ないものは価値があると勘違いしますね。

当然のように思えます。

しかしそこにひとつ重要な要素が抜けています。
それは「人が欲しがるものであること」という要件です。

例えばダイヤモンドでも金(ゴールド)でもいいですが、
そういうものは高価ですね?
数が少ないからです。
でもそれだけじゃなくて、みんなそれを欲しがるからです。

そんなふうに、物の価値というのは、
それがどれくらいあるのか、ということだけでなく、
それを欲しい人、必要としている人がどれくらいいるか、
という要素との掛け合わせで決まってきますね。

どんなに数が少ない物でも、誰も欲しがらなければ価値はありません。

では、円の価値について考えましょう。
国内と国外で、少し意味がちがうはずですね。

国内においては、お金の量がものすごく増えた場合、
ものを欲しい人の数が同じであるなら、
供給できるものの量とのバランスにおいて物価が上がることになります。

でも、欲しい人の数そのものが増える場合は、
物価は上がらなくてもいいということですね。
全体のパイが広がっているということですから。

物価は少し上がるだけなら、問題ありません。
物価上昇は労働者の所得の上昇につながるので、
(これも企業の内部留保にまわると社員に還元されませんが・・・)
景気が良い状態になっていくという意味だからです。むしろいい。

国債発行によって増えるのは日本人の所得なので、
国債を買い支える力はむしろ強くなるはずですね。
まぁ、日銀が買うので関係ないのですが・・・

では、円というお金が増えた時、外国では何が起こるでしょうか?

外国為替の世界では、円の価値というのは、
円を欲しい人がどれくらいいるか、ということで決まりますね。

例えば手元にあるドルを円に変えたいという人がたくさんいたとします。
でも円をドルに変えたいという人があまりいなければ、
円の価値は高くなっていきますね。
円とドルを交換してくれる「人」の希少価値です。供給力不足。

逆に円をドルに変えたいという人がたくさんいる場合、
円の価値は安くなっていきます。

ここでも重要なのは、単純に円の総量の問題ではなくて、
円を欲しいと思う人がどれくらいいるか、ということなのですね。

お金は自然物ではないので、希少価値で値段があがるわけではなく、
それが欲しい人の数と、
それを手放したい人の数のバランスだけが問題です。

では、自分の手元のドルを円に変えたいという理由はなんでしょうか?
ここで忘れてはいけないのは、円というお金は、
この地球上で日本だけで使えるお金だ、という現実です。
この地球上で、円という通貨で買えるものは、
全体量としては少ないですよね? 円の経済圏は狭いのです。

そう考えると、ベースとしてはドルを円に変えたい人、
というのはそんなにいないことがわかると思います。
ドルは世界の基軸通貨であって、円は日本だけのローカル通貨だからです。
(それが日本が世界一の金融資産保有国である理由です。
 稼いだドルを円に戻せない、ということですね。)

そもそもドルを円に変えたい人、とはどういう人でしょうか?
まず、ドルの経済圏との商取引の場合、
まず日本円をドルに変える必要がありますよね。

それでドルで決済するわけです。
で、商売が行われると、例えばドルで得た利益は
最終的には円に戻したいですよね。
日本の労働者はドルで給料を受け取りませんからね。

つまり、ドルを円に変えたい人はというのは、
基本的に海外への輸出入で商売をする日本人ということになりますね。

いちど円をドルに変えたあと、それをまた円に戻す時、
円の価値がとても安いと、利益が減ってしまうということはあるでしょう。
円という貨幣はドルに比べると絶対量は少ないはずですから、
円の量が物理的に多くなって、ドルに変えたい人が増えれば、
相対的な円の価値は下がるということがあるかも知れません。

しかし、円建ての国債の発行で日本国内で流通するお金が増えても、
それが直接的に「円をドルに変えたい人」を増やすか?というと、
内需をメインにしている日本経済では、どれほど関係あるでしょうか?

ましてや円建ての国債を買う人との影響はどうでしょうか?
どちらも考えにくいと思います。

では、円の価値が暴落するとしたら、それはどんな現象でしょうか?
通貨の信頼性について、ですね。

円が欲しい人というのは、円という通貨の信頼性を信じる人です。
では、通貨の信頼性は何でわかりますか?
それは、その通貨の存在の安定性です。

安定性とは、しっかりとコントロール化に置かれているということですね。
例えばその国でクーデターが起きてとつぜん軍事政権になり、
その政権がそれまでの通貨を廃止したらどうなりますか?

その通貨はゴミになってしまいますね?
通貨の信頼性とは、その国の安定性そのもののことを言うのです。
(もちろんハイパーインフレでも、起これば通貨は紙クズになります)

では、日本という国が国債発行をして円をたくさん供給したら、
国の安定性を損なって、円の信頼をなくすでしょうか?
逆ではないでしょうか?

いま、日本は1100兆円の通貨発行をしているにも関わらず、
ハイパーインフレも起こらず、円という通貨の信頼性を維持していますね?
しかし、もし日本国民が貧しさを理由に武力で暴動を起こしたら、
どうなるでしょうか?

国は不安定になり、日本という国の信頼も、
その国の通貨である円の信頼も損なわれますね。

つまり、国民生活を守るために必要な分だけ通貨が発行されることで、
その国の安定が維持されるのであれば、
その通貨の信用が損なわれることはないのです。

ましてや、日本の円建ての国債は、
他でもない日銀が買っているのですから、
この議論そのものが、実は前提を持たないものだと言えます。

「ウソ・その5 財政の黒字化をしてはいけない」

そもそも財政が黒字化しているとは、どういう状況でしょうか?
それは、国家の運営を税収だけで賄う、という状況です。

では、税金はどれくらいの割合で、我々から徴収されていますか?
いま、消費税は10%ですが、それでもヒイヒイ言っていますよね?

国家の運営を我々の税収だけで行うとしたら、
ものすごい巨額なお金を税金として差し出すことになります。

そんなことをしたら、我々が暮らしのために使うお金がなくなりますね?

そもそも、財政黒字化は国によるお金の供給を実質的になくす、
という意味ですから
世の中からお金の総量が激減します。

そして、我々の手元にあるお金とは、そのすべてが、
誰かが銀行から借りたお金だけ、ということになるんですね。
世の中が恐ろしく景気が良くて、誰もが銀行からバンバンお金を借りれば、
それも可能かも知れません。

しかし、いま、世界は気候変動に悩んでいて、
経済そのものの在り方が問われているわけです。

そんな中で、バブル期のように
みんながお金を借りて暮らすなどという社会は、
ちょっと現実的ではないですよね。

ここまで説明すればもうおわかりと思いますが、
財政が黒字化している、という状況は、
返って地獄絵図のような状況なのであって
決して実現してはいけないものなのです。

そんな簡単なことなのに、どうして緊縮財政を言う政治家がいるの?
どうして財務省は財政黒字を目指すの?

いろんな疑問が湧いてくると思います。

そこにたったひとつの「答え」はありません。
日本と世界の近代史の中の様々な出来事が、その要因になっています。

人間の権力や利権への欲も、当然絡んでいます。

そんなことを気にするようになると、
世の中の現実が見えてきます。

そこがスタートなんですね。

今の世の中がちゃんと見えた時、政治家が何を言っているのか、
その意味がわかってきます。
この人は何を守ろうとしているのか。
何を壊そうとしているのか。

それを理解した上で、こんどの選挙が持つ意味はなんなのか?
すべてがつながっているし、そこがわかると、
俄然、おもしろくなってくる!
そういうことなんですね。

私、個人の考えを書けば、
「持続可能な社会を実現するためのロードマップ」が
必要だと思っています。

日本は30年近いデフレの結果、人々の暮らしがボロボロです。
まずそこを立て直さなければ、地球環境のことを考えることができません。

そのために必要なのは、当面は人々のお金の不安をなくすことです。
格差を解消し、お金をしっかり回すことで、経済不安をなくします。

必要なことは、お金の偏在を起こしている税制を直すこと。
具体的には所得税の累進性を強化すること。
不労所得の分離課税をやめて、株式投資で儲けたお金に税金をかけること。
こうすることで、大金持ちのお金を再分配します。
大金持ちの皆様、すみません!
でも、人間社会の存続のために、お願いします!

その上で、消費税を廃止することと、
すべての人から不安がなくなるようにするための
ベーシックインカムの導入が必須です。

財源は、もちろん国債発行です。
それから、生活インフラに関わる部分、医療、教育などは
すべて無償化です。
こうなると、我々の給料はかなり自由に使えるので、
それほどたくさんはいらなくなるはずなのですね。

こうしてお金の心配がなくなった状況を作った上で、
脱炭素社会の実現に向けて、みんなで「脱成長」社会をつくります。

脱成長といっても、それは経済成長をやめるだけで、
人間の幸せへの追求や、豊かな暮らしへの追求は終わりません。
何が幸せか?何が豊かさか?という価値観の変容を起こすということです。

それが持続可能な社会の本当の姿でしょう。

人が人を許し、争わず、互いを尊重しながら、支え合い、
皆で生きていく社会です。

人類が持続可能になるには、
そのような社会を実現するしか残された道がない。
私はそう考えています。

皆さんは、どうお考えでしょうか。

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