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宇宙の視点から、政府債務は見えるのか。

宇宙の話は好きですか?
私は好きです。

これは恐らく、幼い頃、
まだフジテレビもなにもなく、船の科学館だけが
忽然と存在するような東京・お台場の13号地で開催された
「宇宙博」の存在が大きいのだと思います。

ラッキーなことに、父の仕事の関係で、何度も観に行ったのです。
当時は小学生だったので本当の価値がわからなかったのですが、
アポロのサターンロケットや、大気圏突入カプセルなど、
アメリカのスミソニアン博物館から様々なものの
「ホンモノ」を持ってきて展示していたんですね。

凄いことです。
笹川良一さんは、やることがビッグです。

いちばん好きだったのは、アポロが地球から打ち上げられ、
月に到着するまでの映像と、
月に着陸する場面は実物大の月着陸船の模型から
月面を模したステージに宇宙服を着た2人が降り立つショーが
組み合わさったアトラクションでした。

何度も観ましたが、そのたびにワクワクしたものです。

あの頃は漠然と、
宇宙は無限に巨大で永遠の時間の中にあると思っていました。

しかし、宇宙論の研究が進み、今では宇宙とはいったいどんなものなのか、
ということが、あの頃より克明にわかるようになっています。

例えば、地球は生まれてから46億年と言われていますよね。
私が小学生の頃は地球の人口も48億と言われていたので、
「同じくらいなんだな」と思ったものです。

今、人類の人口は80億で、2050年には100億に達する?と
言われていますよね。

地球の寿命はあと50億年ほどだと言われています。
今、我々は地球の人生の真ん中辺にいるということです。
そしてこの地球の最後は、巨大化した太陽に飲み込まれる、
という形でその最後を迎えるようです。

まぁ、地球が生まれてから46億年の間に
月が生まれたり、生命が生まれたり、恐竜が生まれたりしたわけで、
これからそれ以上の期間が流れるわけですから、
地球が太陽に飲み込まれる瞬間を迎える前に
人類がこの地球上からいなくなっている可能性の方が高いでしょう。

種の保存という概念においては、
人は動物たちよりもずっと愚かですしね。

地球のサイズは直径12700キロメートルです。
周にすると約4万キロメートル。

そんな地球という星は、1日で1回転の自転をしています。
そして1年で1回転の公転をしていますね。
自転を365回転する間に太陽の軌道上を1周するわけですが、
その速度は時速11万キロです。

直径12700キロメートルの塊がクルクルと自転しながら
時速11万キロという猛烈な速さで公転してるって、
リアルに想像すると凄いことです。

私たちは、半径1億4960万キロメートルという
太陽の軌道上を、ものすごい速さで、いま、この瞬間も進んでいる。

しかも音を立てていないのです。
凄いですよね。凄いと感じて欲しいです。
なぜなら、それが現実だからです。

さて、地球ができて46億年ですが、
では宇宙そのものができてからはどれくらいときが流れたのか。
永遠のような膨大なときが流れたと思いきや、
最新の研究では、宇宙そのものの歴史は138億年なのです。

ということは、宇宙の歴史の1/3の長さは
地球も存在していたということですね。ちょっと意外じゃないですか?

ビッグバン宇宙論では、宇宙はこんなふうに始まったとされています。
まず、何もなかったところに、
突然、猛烈な勢いで「空間」が生まれます。
これはほんの一瞬の出来事なのですが、光の速さよりも速い勢いで、
空間が広がったのです。それをインフレーションといいます。

そのほんのわずか後に(1秒も経っていません)、
ビッグバンという大爆発が起きました。

その大爆発が、宇宙の全物質の根源です。
つまり宇宙は、たったひとつの何かが爆発して広がったものなのです。

最初の宇宙はあまりにも温度が高すぎて、
原子が存在できません。
原子というのはいくつかの素粒子が集まった原子核の周りに
電子がひとつ周っている、というものですが、
温度が高すぎて素粒子が集まることができず、
すべてものが均等に散らばっていたそうです。

そこでは光さえ存在できないので、その時代を観ることはできません。
宇宙を観測すると、どの方向を向いても、138億光年のところに
今もビッグバンの痕跡が確認できて、
しかもその先は見えないのだそうです。
それが「ビッグバンが確かにあった証拠」です。

しかし、少し時間が経つって、冷えてくると
素粒子同士がくっつくことができるようになり、
光も存在できるようになります。

そこから先の宇宙は観測が可能なので、
「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれます。
宇宙ができてから37万年後のことです。

その頃の宇宙はまだまだ物質が均等に存在していましたが、
徐々に素粒子同士がくっつくことで重力を増し、
重力の強いところと弱いところのマダラができてきます。

そうして宇宙のチリやガスが集まって、星になるわけです。

最初の頃にできた星は、星の成分が原子的です。
しかし星はとても大きいので、大きな重力を持っており、
その重力によって星の内部で新しい元素が作られます。

星は最終的には大爆発を起こしてその生涯を終わりますが、
そのときに星の内部にあった新しい元素が宇宙に撒き散らされます。
その新しい元素の入ったチリがあつまって、
第二世代の星ができます。

これと同じプロセスで、その星の内部で、
また新しい元素が生まれ、それがまた宇宙に撒き散らされます。

そうやって第三世代の星として生まれたのが地球です。
地球に生命が生まれたのは、生命に必要な元素が
地球に存在していたからなのです。

地球が生まれた頃、自転の速さは今よりずっと速く
1日は8時間程度だったそうです。
そんな場所では風も強く、生命は生まれられなかったかも知れないですね。

しかしあるとき、火星ほどの大きさの星が地球にぶつかりました。
先ほどの、ムラのない宇宙に重力の作用で
だんだんと濃淡ができていく様子を想像すれば、
互いの重力によって星と星が衝突したり、隕石が落ちてくるのは
当たり前のことだとわかると思います。

そう、火星ほどもある星が地球と衝突しました。
その衝撃で地球の自転軸が20度ほど変化しました。
このことによって地球に四季が生まれます。

そして先ほどの衝突の衝撃で地球の一部が砕け散り、
宇宙空間に飛び散りました。
当然、地球の軌道上を漂うことになるわけですが、
それらはまた重力によってくっつきます。
そうしてできたのが「月」です。

月は単に地球の周りを回っているのではなく、
引力の作用によって、地球の表面にあった水、
「海」を引っ張るようになります。

海は月の引力と太陽の引力の影響の間で
満ち引きをするようになりました。
それがブレーキとなって、地球の自転速度は
今の1日24時間程度にまでスローダウンしたのです。

地球上に暮らすすべての生命がこの月のサイクルの中にいます。
ウミガメが卵から出て海に向かうのも、
珊瑚が生殖をするのも、満月の夜だと言います。
女性の月経の周期が約1ヶ月なのだって、
こうした宇宙の営みの一部だからです。

スピリチュアルに感じますか?
これは現実です。
我々は宇宙の中に生きているのです。

先ほど、火星ほどの星がぶつかって月ができたと言いました。
その次に大きなインパクトを与えた隕石は、
6550万年前にユカタン半島沖に落ちたとされる
チクシュルーブ隕石でしょう。

恐竜を含む大量絶滅を引き起こしたその隕石のサイズは、
直径15キロほどだったようです。

しかし、それよりも小さなサイズの隕石は、
毎日のように地球に降り注いでいます。

夜空を見上げると流れ星が見えますね。
あれは地球の大気との摩擦で燃え尽きた
隕石であることも多いわけですから、
我々は大気圏という空気の層に守られているのです。

月を見るとクレーターだらけですよね。
大気の層がないから、隕石はぶつかり放題ですもんね。

それにしても地球を外から見た写真で、
地球の表面に薄く見える美しい水色の薄皮が「大気圏」です。

あんなにも薄く、少ししかないのです。
その大気が宇宙からの有害な放射線から生命を守っている。
凄いことです。

NHKで放送されている「ブラタモリ」が好きで
ときどき観るのですが、タモリさんの「石」や「地形」
に対する造詣の深さには驚かされます。

同時に、地形の「隆起」の多さにも驚かされます。

太鼓の昔、地球上の陸地は
パンゲアというひとつの大陸だったことは有名ですが、
大陸はプレートテクトニクスという効果でどんどん動いていて、
やがてアメイジアというひとつの大陸になるようです。

たった2億5千万年後です。

こうしてみると、我々が観る地球は岩の塊であって、
岩石は固体そのものであるわけですが、
視座を巨視的な位置まで上げ、また時計の針のサイズを
宇宙規模に巨大化させてみると、

つまり、地球の今までの生涯を約1日にするために
例えば1時間を2億年程度(つまり1秒が約5万5千年)にしたとすると、
宇宙の誕生からまだ64時間つまり2日と16時間しか
経っていないことになるわけですが、
そういう速さで地球の動きを見ると、
まさに液体やスライムにちかいのではないでしょうか。

大陸がドロドロと動いて地面が隆起し、
とにかく動き続けているわけです。

それを私たち人間のサイズの視点で見てみると、
地球は安定しているし、巨大地震や火山の噴火なども、
ごく稀に起こる出来事に見えるわけですね。

本当は大地震も火山の噴火も、毎秒何回、という勢いで発生している。
そういうことだと思うのです。

サイズの小さなハムスターはものすごく速く鼓動を打ち、
2年弱で死んでしまいます。
クジラの心臓はもっと遅く拍動して、ずっと長生きです。

視点を大きくすれば時間の流れ方もちがうはずで、
巨大なものは小さなものからみると時間がゆっくりに見えるのです。

そして、我々人類は、狭小な自分の目からしか宇宙を観られない。
小さな自分のサイズからしか地球を感じられない。
そういう制約を外すには、想像力が必要です。

想像力は、「本当はどういうことなのか」を探求する力になります。
あなたの目から見えていることは、
巨視的に見れば、決して本当のことではないのかも知れません。

今、エコノミストの森田長太郎さんが書いた
「政府債務」という本を読んでいますが、
戦争や天変地異という有事に対して、政府債務がどんな意味を持つか、
ということが語られています。

それはひとつの事実でしょう。

しかし、例えば人類そのものの絶滅を引き起こすほどのサイズの
隕石が落ちてくることがわかったとき、お金の都合で対策ができない、
という判断はあるのでしょうか? ないでしょう?

お金って、所詮そんなもんなんですね。

宇宙を学ぶことから、
巨視的に事実を見極める視座を持ちたいものですね。

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