【エッセイ】映画「ベイビーブローカー」と帰省
お盆です。生きている人間も死んだ人間もこぞって郷里に帰る季節です。賑々しいですね。高倉も久方ぶりの実家に戻って参りました。
高倉の実家は島なので、帰省するには海を越えなければなりません。2時間の船旅。旅のお供は本だったりパズルだったりSNSだったりしますが、今回は映画「ベイビーブローカー」に決めました。
是枝監督作品「ベイビーブローカー」。是枝監督といえば「空気人形」「誰も知らない」を思い出す高倉は、結構この映画に怯えていました。本来この映画は覚悟を決めた上で腰を据えて観る予定で、旅のお供にするつもりはなかったんです。観る予定だった「ベアリー 悪魔のぬいぐるみ」がまさかの開始五分でセックスをし始めたので、帰省客でごった返す船内で観るわけにいかなくなったんです……。反省してます。公共の交通機関で映画を観るときは年齢制限表記を注視します。ベイビーブローカーは予備でダウンロードしてあったんです。
高倉のビビリを他所に、映画「ベイビーブローカー」は静かで優しい映画でした。社会には子供を捨てる理由がゴロゴロ転がっているし、子供を利用する手段も枚挙にいとまがない。生まれた理由、産む理由、育てる理由、手放す理由、全て正しくて正しくない。けれど確かな情も柔らかな救いもある世界でした。良い映画です。愛を考えたい時におすすめです。
船を降りると、港に両親が迎えにきてくれていました。愛を噛み締めつつ、実家でゆるりと過ごします。
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