【エッセイ】今更コロナと言われても
新型コロナウイルスに感染しました!
新型コロナウイルス感染症が五類感染症に移行されて久しい。あんなに感染者数を連日報道していた報道番組は今やコロナのコの字も言わないし、世間はコロナ禍が明けた日常を謳歌する方向へ舵を切っている。マスクを外す人が増え、施設入り口に設置された消毒液に立ち止まる人も殆どいない。まるで、世界から新型コロナウイルスがすっかり駆逐されたかのようだ。
実際は全然そんなことはない。新型コロナウイルスは、報道がやんだ後だって疫病はずっと人から人へ感染し続けているし、オミクロン株以降も新しい株が着々と出てきている。らしい。高倉もコロナ禍が下火になってから情報収集をしていなかったので詳しくない。
高倉が新型コロナウイルスに感染するのは、今回が初めてだ。あの壮絶なコロナ禍を無傷で乗り切ったのは、周囲が講じてくれた感染対策の恩恵であることも重々承知ながら、ちょっと自慢だった。コロナ禍を抜けて、世間がコロナを忘れつつある、まさかこんなタイミングで感染するなんて。
コロナ禍が明けても、高倉はこまめに手指消毒をしていたし、ずっとマスクをしていたし、食事の時は心がけて黙食だった。そもそも食事しながら誰かと話せるほどの社交性を持ち合わせていない。それでも感染してしまうのだから、もう、もうこれは仕方ない。かかるときはかかる。
お医者様曰く、新型コロナウイルスの現状はこんなかんじとのこと。
概ねコロナ禍当時に聞いた話とあまり変わらないが、新型コロナウイルスの薬があるのは知らなかった。高級品なんだなぁ。
お医者からの帰り道で必要物資を買い揃えて、籠城の構えに入る。職場は幸いリモートワーク可能なので、事情を話して急遽在宅に変更してもらった。有難い。死にかけで殆ど何もできなかったけれど……。
以下、高倉の籠城記録です。症状やその日できたこと、できなかったことを書いています。新型コロナウイルスに感染した際の参考になれば幸いです。(誰も感染しないのが一番幸いではありますが。)
6/17(発症 / 0日目)
声が出ない。「アレクサ、アラーム切って」が言えない。絞り出した声はがらがらに潰れていて、声変わりしたみたいに低い。
体温は36.0。喉以外に不調は無し。食欲旺盛だが喉が痛いのでちびちびしか食べられない。悲しい。
6/18(1日目)
相変わらず声が出ない。しばらく声を出し続けていると普段の声に近い発声ができるようになったが、一瞬でも黙るとすぐ元に戻る。
のどの痛みに加えて、倦怠感と頭痛が出はじめる。鼻水も止まらない。起きていられず、午後はベッドで仕事をする有様。体温は36.1。なんでここまできて熱が出ないのか。
6/19(2日目)
少し喉がマシになる。アレクサのアラームを一発で切ることに成功。
倦怠感と頭痛、鼻水が猛威を振るう。このあたりから匂いが分からなくなってくるが、鼻水の所為だろうと思っている。体温は36.7。全然上がらない。コロナならいっそもっと発熱してほしい。
6/20(3日目)
喉、頭痛、鼻水完治。若干の倦怠感が残るだけになる。体温は35.8。
鼻水が止まったにもかかわらず、嗅覚が戻らない。珈琲を淹れても珈琲が全く香らず、香水をつけても無臭。人生初の無臭体験に大興奮しながらカレーを食べる。カレーのにおいがしなくてもカレーはカレーでした。美味しかった。
6/21(4日目)
倦怠感も消えました。体温は35.7。嗅覚だけが戻らない状態。
全然元気なのに在宅勤務でやる仕事が殆どなく、暇を持て余す。出社してたらできた作業が沢山あったのにな、と今更新型コロナウイルスを恨む。上司に「来週からは出社できます!」と送ったらハートマークのリアクションを貰った。私も好きです。
6/22(5日目 / 隔離期間最終日)
体温は35.5。身体は元気なので、散らかり放題の家をやっと片づけました。
お風呂にゆずの入浴剤を入れたら、ゆずの香りがしました。他のものは全然香らないのに、柚子だけ鼻につんと香ったので不思議です。ゆっくり回復しつつあるんだと解釈して、取り敢えず安心。
6/23
体温は35.7。珈琲を淹れたら珈琲の香りがしました。これでやっと元通りです。隔離も終わってやっと買い出しに行けるのに、外が土砂降りで気分が萎えました。
話題としては下火ですが、新型コロナウイルスが消えてなくなったわけではありません。幸い高倉は発熱すらしない軽症で済みましたが、これどころでは済まなかった可能性だってあります。
お医者様が匙を投げるほど、感染対策が徹底されなくなった世の中ではありますが、ご自身の健康な日常を守るために、対策できることはしておくに越したことはないです。マスク着用、手洗い、うがい。やれることはやっておきましょう。
どうぞ皆様、ご自愛ください。
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