見出し画像

鬼滅の刃で中学英語#61~心に問いかける「Do you~?」~

学校英語では、「play」や「study」「cook」などの「一般動詞」を使った疑問文は「Do you~?」にすると習います。

間違いではないです。

しかし、「Can you~?」などが登場すると、「Do you~?」を使うシチュエーションが少なくなってくることに気づくと思います。

基礎から順番におぼえていくのでしょうがないのですが、そうなると、あえて「Do you~?」を使う時っていうのはどんな時?となりますね。

そこで、「Do you~?」には大きく分けて二種類の使い方があり、前回は「習慣を聞くDo you~?」の話をしましたが、今回はその、もう一つの「Do you~?」のお話です。

画像5

(Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.3)

「Can」が「できない」動詞??

助動詞「can」はとても便利な助動詞です。

「~できる」としたい時に動詞の前に付ければいいだけですし、疑問文も「Do」を「Can」に変えるだけで、「~しますか?」から「~できますか?」に変えられます。

しかし、こうやって日本語だけで考えていると、一つの落とし穴にはまります。

たとえば「know」という単語、ありますよね?

これ、なんと訳しますか?

「知る」ですかね?

なら、その否定文、「I don't know.」の訳はなんでしょう?

「知らない」となりますね。

疑問文にして、「Do you know that?」の訳も、

「それを知っていますか?」になりますね。


ではこれを、「can」を使った文にしてみましょう。

「I can't know.」⇒知ることが出来ない

「Can you know that?」⇒それを知ることができる?

・・・何か変ですよね?

そうなんです、こういう英文は作れないのです。

「know」は○○動詞

実は「know」という動詞は「can」ととても相性が悪い動詞なのです。

なぜなら、「know」は「知る」ではなく、「知っている」「わかっている」という「状態」を表している動詞だからです(これを「状態動詞」と言います)。

know=知っている、わかっている、知り合いである、経験したことがある、認める

状態動詞というと、とても難しく感じるかもしれませんが、一言で言えば、「変化がない」動詞です。

動詞という言葉からすると、「動き」がない動詞はヘンな感じがしますが、日本語でも「知っている」「思う」「見える」など、変化のない状態動詞があります

逆に、変化のある動詞を「動作動詞」と言います。

「走る」「持つ」「投げる」などがそうですし、「知る」もそうですね。

知らない状態から知っている状態に変化することを「知る」と言い、

過去に「知る」機会がありそれが続いている状態を「知っている」と言い、

この後者が英語の「know」なんですね。
(ちなみに前者は「学ぶ」として使うことの多い「learn」があてられます)


つまり、

「知る」という動作動詞と、

「知っている」という状態動詞は別物

ということです。両方とも「know」じゃないんです。


なので、「can」という「できない⇒できる」という変化を表す助動詞の時に変化を表す動詞「learn」は使えても、「know」のような変化がない動詞は使えないのです。

どうしても「know」を知りたいのなら、「get to know」のように、動作動詞「get」と不定詞を使って表現しなければなりません。

習慣じゃない「Do you~?」を使う時

と、ここまでが前フリで、#60のような習慣をたずねるわけではない「Do you~?」はどういう時に使うか?という本題に戻ります。

それは、「状態動詞」を使う時です

「know」を使った例が、『鬼滅の刃』英語翻訳版にも出ていたので、こちらをご覧ください(アニメ派の人は、映画でわかるシーンですのが、そこの所はご了承下さい)。

画像3

Do you know why you were born stronger than other people?
なぜ自分が人よりも強く生まれたのかわかりますか
Um.. I don't know!!
うっ…わかりません
So that you can help people weaker than you.
弱き人を助けるためです

ここでは、「know=わかっている」という意味で使っていますが、「Can you~?」ではなくて「Do you~?」を使っていますね。

このシーンは「Do you know~?」で、母が「お前は~をわかってんのか?」と聞いているわけなので、今、知ったとか、考えたとかではなく、常々「know(わかっている)」なのか?と聞いているワケです。

そして、そんなこと今まで考えていなかった息子は、「I don't know!」と正直に言っているのです。

ある意味、「習慣」を問う「Do you~?」に近いものがありますが、継続性があって(終わりが不明な)行動や考えを示すのが状態動詞なので、それを聞くのがつまり、「Do you~?」という疑問文なのです。


特にこの「Do you know~?」は非常に多くのシチュエーションで使いますので、鬼滅英語版でも多々出てきます。

doyouknow_no_ihavenoidea - コピー

Do you know how to forge a Katana?!
刀の打ち方を知ってるか
No, I have no idea...
知らんよ
※how to forge=鍛造する方法

こちらは「know=知っている」のケースですが、同じく、「生きてきた中で知る機会があって、それをおぼえている状態=知っている」ということを聞いているので、「Do you know~?」という疑問文で聞いているワケですね。

「Do you~?」で使われる状態動詞

「know」以外にも、状態動詞はいくつかあります。

その代表的なものを、鬼滅英語版で「Do you~?」で使われているシーンと共にご紹介し、正しいイメージを理解して頂けたら幸いです。

まずは、単行本3巻で、珠世と愈史郎のアジトが、矢印の鬼・矢琶羽(やはば)と、蹴鞠の鬼・朱紗丸(すさまる)に襲撃され、それを撃退したあとの場面。

鬼になった禰豆子が、「鬼を倒せ」と暗示をかけられているにもかかわらず、鬼である珠世や愈史郎を「守るべき人間」として認識し、なんなら愛情表現(?)として抱きついたりしたことに、孤独な何百年を生きた珠世が、思わず落涙(らくるい)し、その光景を見ていた愈史郎が、珠世に鬼になるしか生きられないけど、それでいいか?と問う珠世の優しさと抱えた苦しみを感じさせる過去を回想するシーンの入口です(←長い)。

画像2

Do you want to live?
生きたいと思いますか?
Truly? Do you want to live even if you cease to be human?
本当に 人でなくなっても生きたいと
※cease=やめる、終えるという動詞

ここでは「want=欲する、望む」という状態動詞を使って、「あなたは不治の病にかかっているけど、どんな状態になっても生き続けたいとこれまで通り望んでいるか?」ということを聞いているワケですね。

これが、今の今、「珠世という女神に会ったから、死にたいと思っていたけど生きたいと思うようになった」という場合であれば、「Will you want to live?」という風に未来形の意志をたずねる助動詞「will」を使うこともできるでしょうが、愈史郎は珠世に会う前から「生き続けたい」と思っていたので、「Do you want~?」と聞いてるワケなんですね。


次はこちら、

画像5

Do you think... Tanjiro can really do it?!
炭治郎 勝てるかな

このシーンでは、「勝てるかな?」と質問した真菰が、「Do you think~?」と聞いていますが、この「think=考える、思う」も状態動詞です。

一見、動作動詞に見えなくもないですが、「思う」は頭の中に「ある」という状態ですので、「think」は状態動詞です*。

*進行形「thinking」の時は動作動詞になります。
〔例〕I'm thinking!=(今)考えているよ!

ちなみに「Do you think~?」は「どう思う?」を表す時の定番表現なので、原作の日本語になくても、錆兎に質問していることがわかるようにするためにこれを使っているわけですね。

状態動詞=「Do you~?」ではないけど...

状態動詞と動作動詞の話は大学受験レベルの話なので、中学生だと結構難しく感じますが、シンプルに、動作のイメージできない動詞が、状態動詞だという風に考えるとわかりやすいです(考える⇒腕を組むとかじゃなくてね)。

もっと乱暴な表現を使えば、「心や頭の動作」の場合は「状態動詞」であることが多いと言うことですね。

「know(知っている)」「understand(理解する)」
「want(欲する)」「need(必要とする)」「hope(望む)」
「like(好きである)」「love(愛している)」「hate(嫌いである)」
などが状態動詞です。

なので、これらは「Do you~?」の疑問文として使うのが普通です

だから、「Do you want~?」「Do you need~?」「Do you like~?」というような表現をよく耳にしませんか?

基本的に、状態動詞の性格上、そういった形にするのが自然だからです。


ただ、状態動詞でも「Can you~?」として使えるものもありますので、必ずしも「状態動詞=Do you~?になる」ワケではないので注意してください。

たとえば、「Can you~?」と使うのは特別なシチュエーションです。


「Do you love me?」

は、「私のことを愛してる?」という意味ですが、これを、

「Can you love me?」

とした場合の訳は「私のことを愛せる?」というような意味になります。

どうです? そんなこと普通言わないですよね??
(そこの学生!「メ●へラなら言うよ」とか言わない!)

むしろ、えっ、愛ってそういうもんだっけ?

ってなりますよね?

普通に考えると「愛している」は状態であって、ある日突然覚悟を決めて「愛すぞ!」というシチュエーションはあまりないですよね?
(捨て子を拾ったとか?)

このように、あえて聞きたい時に「Can you~?」になることはあるけれど、ある状態、心の状態を聞くわけですから、状態動詞は基本的には「Do you~?」という形になりやすいということですね。

do_you_have_any_excactly_howmuch_whatcan - コピー (2)

Do you have any final words?
最後に何か言い残すことは?

「have」も、「持っている・ある」という意味の時は状態動詞になりますので、「Do you have~?」にするのが自然ですね。
(haveは「食べる」という意味だと動作動詞になります)

本日のまとめ
・一般動詞には、動作動詞と状態動詞がある
(ちなみにbe動詞は状態動詞)
・一般動詞の状態動詞は変化がない状態なので「Do you~?」で聴く
(know、want、hope、needなど心の状態を表す動詞が多い)
・状態動詞でも「Can you~?」で聴けるものがあるが、それはあえての時

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?