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こんなコロナの時に大事なこと

こんばんは。名古屋市で、地域のコミュニティセンターを使って子どもたちの学習支援プロジェクト『鳥羽見寺子屋』をやっている田中聖斗です。

2/27に安倍首相が発表した、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の休校要請により、とても世間がバタバタしていますね。

しかし、メディアには様々な専門家が様々なことを言い、町には、トイレットペーパーがなくなるというSNSの拡散により買い占めが起こったり、死ぬほど恐怖を覚えているわけではないけれど、休校に向けて何をしたらいいんだと迷われている親御さんも多いようです。

そこで今回、主に、お困りの親御さん向けに「役に立つ」情報を発信するためにnoteを始めることにしました。

世界的な事件の時のお話

今回、新型コロナウイルス(SARSーCoV-2)の流行が、世界的流行(パンデミック)になるかどうかの瀬戸際という状況になっていますが、こういう時ほど、情報と正しく向き合うことが大切です。

私、その昔、ニューヨークに旅行したことがありまして、その時に、ある「事件」に遭遇したんです。

それは、

9.11

そう。

いわゆる、あの、「アメリカ同時多発テロ事件」です。

ニューヨーク、マンハッタン島にある、ワールドトレードセンター(世界貿易センター)2棟と、バージニア州にあるアメリカ国防総省(通称:ペンタゴン)に飛行機が突っ込んだ、2001年9月11日の事件ですね。

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この写真はその時、デジカメで撮ったものです(81万画素なんで画質悪いです)。

見ての通り、道ばたにいる人たちが、ずっと煙を上げている世界貿易センターを、ただなすすべもなく見つめているといった状況です。

私は当時、元バイト仲間数人と来ていたのですが、英語がスラスラ喋られなかったですし、当時はスマホなんてなかった時代ですから、屋外で情報を得るのは非常に難しかったです。

卒業旅行で行った中国で、「日本語学部」なのに日本語だけでなく英語も喋られる中国の大学生にカルチャーショックを受け、大学卒業してから英会話を習ったクチですが、それでもまだ半年、簡単な会話しかできません。

そんな中、現地の人が話しかけてきました。

「飛行機が突っ込んだのは知ってるか?」

「知ってるよ、ワールドトレードセンターでしょ?」

「そうさ、2機もだ!」

「2機!?」

今なら、スマホで検索することができたでしょう。でも、その時はスマホどころか、Wi-Fiもない時代。

最初はテレビのCNNニュースで、「飛行機が突っ込んだ」というニュースを見たので、てっきり事故か何かだと思っていたのですが、そうではなかったのです。

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その時、現場では・・・

世界貿易センターは、縦横それぞれ64m、高さは400m以上あり、柱もない中空構造をしている特殊な高層ビルです。ここに飛行機が突っ込んだとなると、ただの飛行機事故レベルでは収まりません。

しかし、てっきり軽い事故だと思っていたバイト仲間の1人が、予定通り「自由の女神」を見に行くと言い出しまして、地下鉄駅に行き、ちょうど世界貿易センターの下を通る路線の地下鉄に乗りました・・・しかし、途中で止まり、駅から出されて見たのが、冒頭の写真です。

そこから現地に近づこうとしたのですが、現地のおばさんに「ここから先は行けないから戻りなさい」と言われ、ホテルに戻ることになったのですが、電車はすべてストップ。マンハッタン島を出る橋はすべて封鎖。

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とりあえず徒歩でホテルに戻ることになりましたが、その道すがら、銀行に集まる人々、公衆電話に並ぶ人々(ちなみに半分は壊れている)、カーナビにテレビなんてほぼない時代ですから、カーラジオに群がる人々、町の電気屋のテレビに群がる人々、サイレンをけたたましく鳴らして世界貿易センターの方に急行する救急車・消防車・パトカー・・・

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とりあえず町は大混乱なわけです。

泣き崩れて支えられている人、抱き合って泣いている人もいましたが、それはきっとご家族や知人がそこにいた方なのだと思います。

ふり返れば、世界貿易センターは見えなくなっていました。その時はわからなかったのですが、後で撮影時間を確認すると、崩落した後だったのです。

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スーパーには「買いだめ」をするためにたくさん人が集まっているような状況です。

ちなみに、その時、スーパーの様子を写真に収めようと思ったのですが、「人道的にどうなんだろう?」と躊躇しました。使い捨てカメラで撮っている日本人もいましたが・・・。

それくらい、「何が正しくて何が間違っているのか」というのがわかりにくくなる状況でした。あきらかに冷静ではない空気。

かといって、なぜかオープンカフェで新聞を飲んでコーヒーを飲む人もいましたが、ほとんどの人は、「どうしよう?」という空気でした。

電池を買うために入ったカメラ屋で、みんなが食い入るように見ていたテレビを見て、そこでようやく、今回のことが事故ではなくテロによる事件ということが判明しました。


その時のニューヨーク市民はどうだったか?

そこから、ホテルに戻って、日本人のいる受付で事情を聞きます。

インターネットで情報収集もしましたが、当時はまだ「ダイヤルアップ」といって、電話回線を使った、使い放題じゃない、低速インターネットでした(なのでとても高い電話料金を払わされましたよ、後日)。
そんな中で情報収集をしていますし、超便利なGoogle翻訳もなく、なかなかポンポンと情報も出ず・・・。

かたやテレビではくり返しくり返しテロの映像が流れ、次第に「オサマ・ビンラディン」が首謀者であることがくり返し報道されて、次第にそれがビンラディンが銃を構える姿の映像になり、「これは戦争行為だ」的なことを息巻くブッシュ大統領(息子の方)の映像もくり返し流れました。

アメリカはケーブルテレビが発達しているので、たくさんのチャンネルがあるのですが、ニュースチャンネル以外でも、このニュースをくり返し流していました。

するとどうでしょう。

町の中には、第二次大戦の時にヒットした「God Bless America」を歌って愛国心を高める人や、「ビンラディンを殺せ」ということを声高に叫ぶ人、そういったポスターも出始めました。

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写真は、地面にスプレーで描かれたもので、マンガONE PIECEの手配書などでよくある「WANTED」ですが、「DEAD OR ALIVE(生死を問わず)」ではなく「DEAD NOT ALIVE(生かすな殺せ、という感じ?)」となっていることから、ニューヨーク市民の怒りが伝わってきます。


・・・さて、ここまで聞いて、皆さんはどう思いましたか?

ニューヨーク市民はみんな

「ビンラディンを殺せ!復讐しろ!」

と言っているように思いましたか?


実は、全然そんなことはないんです。

そうやって声高に叫んでいる人たちは、ごくごくわずか、ほんの一握りの人たちだけです。日本のメディアでは過激な愛国者が生まれている、みたいな報道もあったようですが、

多くの人は、

ただただ悲しい

・・・という気持ちに溢れていたように、私には見えました。

現地で感じた「本当の情報」

世界貿易センターは、今、日本で一番大きいビル、あべのハルカスよりさらに100m高いビルで、同じ大きさのものが二棟ありました。2万人近くの人が働き、それは、高層ビルの摩天楼が立ち並ぶニューヨークを代表するランドマークであり、シンボルだったのです(下の写真はその時に買った絵はがきです。もう売ってません)。

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また、そこで働く人、その周辺で働く人、その周辺に住まう人たちも同時に犠牲になりました。バス停や教会など、人が集まる様々な場所に、「たずね人」のビラが貼られ、献花されていました。

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救助活動に当たった、消防士・警察官も犠牲になりました。

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町中の人が、悲しんでいた。

それが、ニューヨークの現実です。


ですが、それが「政治」という枠組みでメディアが捉えると、「アメリカvsイスラム」という形になっていきました。

イスラム系の人が空港で疑われたり、乱暴されるといった事態も起こりました。でも、それがその辺で起きていたわけではありません。

メディアは、「情報」を伝えていただけでした。

でも、暴力や偏見や差別を生みました。


そんな中、ニューヨークで悲しんでばかりじゃない人もいました。

事件の後も、事件を気にせず商魂たくましく生きている人もいました。家族や知人などがいなかったという人もいたのでしょう。

悲しんでいる人よりも、普通に生活をしようとした人の方が圧倒的に多かったように感じました。同じニュースばかり流すテレビに苦情を言う人もいた、と現地に住む日本人に教えてもらいました。

非常事態宣言は出ていましたので、街に出る人は少なくなっていたり、観光地は封鎖されていましたが、生活は続いていました。

実はそれが、その時の、本当の情報」です

でも、メディアにはそんなことは流されませんでした。

センセーショナルなもの、「ヘッドライン」になるもの、変化があるもの、感情に訴えかけるもの、つまり、ネタとして語りやすいものが、「情報」として流されるのです。

良くも悪くも「情報」が人を動かす

今は20年近く前のあの時と違い、いつでもどこでも、誰もがインターネットにアクセスできる時代になりました。

情報のスピードも、量も、あの時とはだいぶ違います。

むしろ、SNSや、ブログのアフィリエイトや広告収入目的で、よりスピード感が増した不確定な「情報」が出回るようになりました。

しかし、人間も愚かではないので、そういう情報をすぐに鵜呑みにするばかりではありません。

でも、「情報」がこれだけ出回ると、気持ちが落ち着かなくなるのは確かです。

実際、「トイレットペーパーがなくなるのはデマ」とはいえ、実際になくなっていくのを見ると、「買わなきゃ」という心理が働き、ますます買い占めが起こるといった現状があります。これは、情報の出回るスピードが速くなった現代では、次々と起こる問題でしょう。

その結果、必ずしも転売目的ではなく、会社とか老人ホームのために複数個買っただけでも、とがめられるような状態になっています。

また、この「トイレットペーパーがなくなる」デマを流したと思われる人を「犯人」と断定し、個人情報をさらしている恐ろしいブログもあります。


歴史を見ても、情報に踊らされて愚かな行動をする、いわゆる「群集心理」はいつでも起こるものです。

それを防ぐためには、落ち着いて、「情報」と正しく向き合い、正しく理解することが大切です。

そのための材料として、今後、このnoteに「情報」をまとめて行こうと思っています(あと、親御さん向けにもね!)。

ちなみに・・・

余談ですが、実は私、アメリカ同時多発テロが起きた9.11の夜に、ワールドトレードセンターに登って、ニューヨークの夜景を見る予定でした。

あと12時間ずれていたら、私はこの世にいませんでしたよ。

人生ってそんなものです。

だから慌てずに。

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