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映画「オッペンハイマー」について

許されざる者」ではなく…

2024年4月中旬、埼玉県109シネマズ菖蒲にて、通常版を鑑賞。
同劇場では、その日から1日1回のみの上映となっていた。
前日までは、1日3回あったのだが…。
前売券を持っていたため、近隣の映画館での上映は見逃すことは避けたかった。

この映画の監督のことはまったく知らず、ただ、話題になった映画ゆえに観ようと思った次第。
IMAX版も考えたが、そういう種の内容ではなかろうと思われ、通常版を鑑賞した。

冒頭からあまりの展開の速さに驚く。
50代中盤に差し掛かったワタシにとって、映画とは時間を横移動していくものと勝手な思い込みによって成立しており、その常識は、おおむね今の映画でも通用する。
しかし、この「オッペンハイマー」はその概念すら、覆す。
この映画は、時間軸の横移動(フィルム上映を意識すれば、縦移動)ではなく、レイヤー(階層)を積み重ねるものだと感じた。
情報が上積みされて、絶えずアップデートするような感覚だ。
カット割りなんぞもライブ会場のスイッチングのごとく、動物的で、決して論理的に考えられたものに思われない。
総じて、新しいタイプの映画であって、ワタシのような古い体質の映画ファンには、ついていくのがやっとという感じであった。
特にラストの1時間くらいは、時間軸(特にモノクロの場面)がよくわからなかったので、正しい評価にはなり得ていないが、たとえ、それがわかったとしても対して評価は変わらぬと思われる。

結局のところ、この映画は何を描きたかったのかが不鮮明である。
「オッペンハイマー」がどういう人物であったかは、おおむね理解できようが、この人物が、戦争に対して、どういう考えであったのか?
結論めいたものはない。
おそらく、それは観客に委ねているのだろうが、問題はその観客である。
ただ、この映画がアメリカで広く受け入れられたという事実と照らし合わせるならば、日本人とベースとなる価値観がまったく異なることがよくわかる。
だからこそ、「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督は「日本が返答の映画を作らねばならない」と発言したのだろう。

結論としては、「オッペンハイマー」は、それほどたいした映画ではないというのがワタシの評価である。
同じように「ゴジラ-1.0」もそれほどたいした映画ではないとも思うのだけれど…。

この文章のタイトルを『「許されざる者」ではなく…』としたのもたいして深い意味はない。
ただ、両作品ともにアカデミー賞で監督賞、作品賞などを受賞したことと、主役が被っている帽子が似ているだけのことである。

2024年6月6日UP
※このテキストは、筆者がYahoo!検索(旧Yahoo!映画)に2024年4月頃に投稿したものを転載したものです。

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