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地下巨大放水路、正常性バイアスが気候変動を引き起こす?!

これを書こうと思わせた映画「グレタ ひとりぼっちの挑戦」についての会のお話が第一話。これは第二話です。

今、日本、世界で起こっていること

今私たちはの経済が社会の中にあり、たくさんの社会的共通資本に支えられており、それは生態系によって支えられています。しかし、そんなことを忘れてしまうほど高度に発達した社会です。

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(図)SDGsウェディングケーキは、スウェーデンのレジリエンス・センターのヨハン・ロックストローム氏らによって2016年に提唱。私達の「経済圏(Economy)」は、「社会圏(Society)」に支えられおり、その「社会圏(Society)」は、「生物圏(Biosphere)」に支えられている。

先進国の生活スタイルが途上国で、先住民の地で、何を引き起こしているか知る機会はほぼありません。知ってしまうと、自己を裏切り、自己欺瞞をするか、それとも、行動に踏み出すしかないのです。

生活に欠かせないスマホを使いながら、エクアドル、フィリピン、コンゴ民主共和国のレアメタル採掘現場を想像することはあるでしょうか。
そこにある目を見張るような環境破壊や鉱山利権を巡った紛争、住民の強制的な追い出し、大規模な環境破壊は私達の生活と無関係なのでしょうか。

この数十年、服の価格が低下し便利になったことの裏側を想像するでしょうか。2013年4月に、バングラデシュ・ダッカのラナ・プラザという縫製工場が倒壊(ダッカ近郊ビル崩落事故)し、1,100人以上の死者、負傷者2,500人以上の大惨事は、この安くて便利なファストファッションと無関係なのでしょうか。
洗濯から溢れ出る海の生態系を汚染するマイクロプラスチックと無関係なのでしょうか。

熱い熱帯夜、大雨、集中豪雨、河川の氾濫がニュースで報道されても、何が引き起こしているのか伝えられることもほぼありません。
もしかしたら、それら頻度が増えていることさえ気づくこともないかもしれません。今までと変わらない日常の風景に見えるかもしれません。
自己欺瞞の気を紛らわすために、仕事に、経済活動に没頭する。食事、消費、レジャー、アルコール、ギャンブル、、、刺激を求めるかもしれません。

熱帯夜、大雨、集中豪雨、河川の氾濫が近年になり増えている

・過去30年間の日本の熱帯夜の平均日数は、1910年からの30年間の平均の約2.6倍に。

・西日本豪雨並みの大雨の発生頻度は2021年には3.3倍に。
・日本の極端な大雨の強さは、過去30年で約10%増加。
・『アメダス』のデータによれば、計測を開始した1975年からの10年と、ここ10年を比べると、1時間に80mm以上の猛烈な雨が降った回数が1.9倍に増加。
・氾濫危険水位の超過河川は、4年で5.7倍
・海洋熱波の発生頻度は現在、1980年度比の約2倍

“脳”の防御作用(=正常性バイアス)は行動を起こさせない

これらは偶然の出来事でしょうか。
非常事態に関わらず、“脳”の防御作用(=正常性バイアス)、正常の範囲だと自動的に認識する心の働きによって、深刻さは認識できず、行動をおこせません。

巨大放水路を拡張し続けることがつくりたい世界なのか

気温や海面水温が上昇し、空気中の水蒸気の量が増加しているわけですが、そんなことはほぼ豪雨のときに報道されません。この豪雨の根本的解決解決のために何が必要か議論することはありませんでした。
表面的な解決策をとり、より事態は深刻になるだけです。
自然を破壊し、巨大な堤防を、地下放水路を、ダムを作り続けることが解決策なのでしょうか。そうやって何が起こっているのか気付かないようにすることが解決策なのでしょうか。
もちろん、気候変動に向けたアクションがなかなか進まない私達にとっては、首都圏外郭放水路も堤防も必要です。

幻となった高校時代の与論島の海

僕が高校時代、船でいった沖縄本島の北の与論島。島の溢れんばかりのサンゴ礁。大人になってもう一度見たくて行きましたが、あれは幻だったのかもしれないと思うような現実です。

・日本の周辺海域では2024年~2030年までに約8割のサンゴ礁で白化が常態化。
世界のサンゴ礁のおよそ70~90%は、海水の温暖化や酸性化、海洋汚染が原因で20年以内に消滅。このままいくと2℃の温暖化で99%以上が死滅。

温暖化は、豪雨やサンゴ礁の死滅だけではありません。
・世界の山火事の規模、過去40年間で8~10倍に拡大。
・氷に覆われたグリーンランド、2017年に起きた山火事で燃えた面積は2014年の10倍

気候変動を抑制できる最後の世代といわれる私達

・迫るティッピングポイント(物事がある一定の閾値を超えると一気に全体に広まっていく際の閾値やその時期)。約1.5~2℃上昇の場合、グリーンランドと南極の気候が不安定になる可能性があり、取り返しのつかない氷の融解と何メートルもの海面上昇が引き起こされる可能性。既に超えてしまったという科学者たちも。

・1.5度は現在の生活を維持するために人類が守らなければならない限界値
 しかし、2021-2040年までに、産業革命以前と比較して1.5度以上になる可能性が非常に高い。
・世界の平均気温はすでに産業革命以前から1.09度上昇

・気温上昇が1.5℃に食い止められるか、2℃になるかは大きく違う。
例えば、海洋漁場における世界の年間漁獲高の減少は、1.5℃の場合、2℃の場合の半分で済む。
まずは2030年までにCO2排出量を半減し、2050年までに排出実質ゼロにできるか。
CO2排出量が少ないシナリオ(2度未満に抑え、2070-2080年にCO2排出量が実質ゼロ)、非常に少ないシナリオ(約1.5度に抑え、2050-2060年にCO2排出量が実質ゼロ)でも1.5度を超える可能性が5割以上の確率

温暖化への疑問についての補足

・大気中のCO2濃度は過去200万年で最も高く、そのほかの温室効果ガスのメタンや一酸化二窒素の濃度も過去80万年で最も高くなっている。さらに1970年から現在に至るまでの50年間の気温は、過去2000年間でも例のない速度で上昇
・地球は寒冷期と温暖期を繰り返してきたが、1950年から世界規模で進む氷河の融解は過去2000年間でなかった現象。海面上昇も過去3000年の中のどの世紀よりも、1900年以降の上昇が急速に進んでいる

最新発表

・IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)は2021年8月9日、これまでの予測よりも10年早い2021-2040年に世界の平均気温上昇が産業革命以前から1.5度以上に達するとの新たな予測を発表。報告書は、温暖化の要因が人類の活動にあることは明白だと断言

・報告書は信頼できるのか?
報告書の執筆には、66カ国から200人以上の研究者が(日本からの10人を含め)参加。1万4000本の論文を引用し、3回の査読を経てまとめられ、さらに、執筆者以外の世界中の研究者や各国政府から寄せられた7万8000ものレビュー(疑問・指摘など)すべてに対応し、その内容を公開している。

https://www.businessinsider.jp/post-241155

https://social-innovation.hitachi/ja-jp/article/seita-emori/

日本が排出する温室効果ガス

・燃料の燃焼などによる「エネルギー起源」の排出が全体の8割以上
・国全体の温室効果ガスの排出量のうち最も多い20%余りを占める石炭火力発電を減らす努力が必要
・発電の中でも石炭火力が最大の排出源なので、真っ先に石炭火力をやめるという方向性が重要
・世界は石炭やLNG、石油といった化石燃料関連の事業から資金を引き上げる、投資しない「ダイベストメント」の傾向
・しかし、日本政府は税金を投入してまで、ビジネスとして成り立たず民間が手を引き始めている化石燃料関連事業を継続。これは私達国民の問題。

(出典)現実となった気候危機に日本はどう対応すべきか ゴールドマン環境賞を受賞した平田仁子さんに聞く
https://imidas.jp/jijikaitai/a-40-144-21-11-g865

こんなにも材料が揃っても傷つくが怖くて踏み出せない。どうしたら踏み出せるのでしょうか。
第3話に続きます。次は心理学です。

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