見出し画像

BtoB製造業のWebリニューアルは、製品情報のあり方を考える良い機会

BtoB製造業のマーケティング担当のみなさんは、自社の製品が一体ぜんぶで何種類あるのかご存じでしょうか?

とは聞くものの、自分の担当や所属課の製品群ならまだしも、部や企業全体、ましてや企業グループ全体での数を把握している方はほぼいないでしょう。

しかし、情報量に制限のないWebサイトには、全製品情報を掲載することができます。既に製造中止となった製品も、市場には存在し続けているので、その情報を求めてくる来訪者もいます。

24時間営業のコンビニと同じで、製品のことならいつ行ってもなんでも揃っている、という安心感が、業界ポータルやSNS、ましてや広告では果たせない、BtoB製造業の自社Webサイトに期待される役割と言えるでしょう。

しかし、多くのBtoB製造業の製品情報は、Web上でのカバー率だけでなく、その質においても、デジタルの利点をフルに活かせるものとはなっていません。


先送りされてきた製品情報の抜本改革

BtoB製造業のWebサイトは、90年代後半のインターネットの登場以来、約25年の歴史を持ち、これまでに3-5回程度のリニューアルを実施してきたのではないかと思います。

まず、企業紹介やアニュアルレポートを元にしたWebサイトに始まり、次に、カタログ情報をそのまま再利用する形でPDF形式の製品情報を掲載するようになりました。情報量が増えてくると、探しやすさが重要なテーマとなり、ブランディング観点でのデザイン統一とともに、ユーザビリティの向上が図られました。こうしてWeb活用が進むと、運用管理の効率性・正確性の問題がクローズアップされ、CMSが導入されました。恒常的な来訪者の行動情報を活かすべく、データマーケティングのインフラとして、MA導入やSFA連携を進めてきたのが直近の動きでしょう。

そして、ここにきて増えているのが、製品情報を抜本的に見直す取組みです。イントリックスでも、製品情報の重要性に着目し、デジタルマーケティングに合った製品分類や体系の検討から着手するWebリニューアルプロジェクトをご支援することが多くなってきました。

ですが、多くのBtoB製造業の製品情報は、まだ、デジタルマーケティングに最適化されたものではありません

もちろん、現状のWebサイトにも製品情報は掲載されている訳ですが、デジタルのメリットを最大限に引き出せる形にはなっていないのです。

デジタル時代に合う製品情報の抜本的な見直しは、社内の関係者が多く、全社に影響することもあって、非常に大がかりとなるため、Webリニューアルにおいて、後回しにせざるを得なかったのです。

なぜ、今のままでは良くないのか

そして、主要なテーマの解決の目途がついた今、ようやく、残る大物の1つである製品情報に手を入れようという機運が高まってきました。

これには、手掛ける余裕が出てきただけでなく、デジタルコミュニケーションを今後高度化していくには不可避の取組みであるとの認識が広がってきたことが背景にあると思います。

ほとんどのBtoB製造業では、製品情報のベースとなるマスターDBは整備済みでしょう。ただし、これは生産や在庫・出荷管理など、社内業務管理目的で構築されており、仕様情報が中心なので、このままマーケティング用途に使うことはできません。

一方、紙カタログの製品データはマーケティング目的に沿った一冊のカタログとしては最適化されているものの、管理の効率化や共有の概念がないので、Webへの転用にはいちいち手間がかかりますし、最新版の管理に目が行き届かず、間違いが起こるリスクがつきまといます。

ですが、デジタルマーケティングでの製品情報は、マーケティングニーズを満たしつつ(=仕様以外に多くの付加情報が必要)、自社の全製品をカバー(=管理が大変、ユーザーは探すの大変)する必要があります。

マスターDBやカタログ情報の製品情報だけを頼りにしていては、この要件に不十分で、デジタルコミュニケーションの威力は半減してしまうといっても過言ではないのです。

必要なのはユーザー視点とシステム視点

そこで、社外への情報発信、つまりデジタルマーケティングにふさわしい製品情報のあり方を考える必要が出てきます。

まず、マスターDBは仕様情報が中心ですが、マーケティング用途では、製品の特長や訴求ポイント、画像や動画、産業・用途などの属性情報、関連製品や事例、CADデータなど、様々な追加情報が必要となります。デジタル化の利点である様々な切り口での検索に対応するためにも、これらの情報は欠かせません。

ユーザー視点 x システム視点で臨むことが重要

また、個々の製品群は全社視点ではなく、個別事業視点の中で発展してきたたので、Webサイトに全製品群を載せるとなると、情報の粒度のばらつきやカテゴリー名のダブりにより、製品体系にゆがみが生じます。Webページ上での選択をスムーズに行えるよう、選択肢を一定数に抑える工夫も欠かせません。Webを閲覧するユーザーの視点で製品体系を再整理する必要性が高まっているのです。

そして、マーケティングに使える製品情報が一元管理できていれば、自社Webサイトのみならず、会員サイトや代理店ポータル、さらにはECサイトへとの駒も進めやすいですし、多くのBtoB製造業にとって身近となりつつある事業再編にも、柔軟に対応できることでしょう。

言うまでもなく、要求事項が多く、互いに絡み合ってもいるので、一筋縄では片付きませんが、もはや避けて通ることのできるテーマではありません。

大切なのは、マーケティング目的の達成には、どんな情報が必要とされているのか、どんな探し方をするのか、といったユーザー視点が必要であり、大量の製品情報を効率的に管理するためには、システムおよび情報管理者の視点が不可欠であるということです。

製品情報のあり方がデジタルマーケティングの成否を握る

繰り返しになりますが、自社の全製品をカバーすると、管理は大変になり、ユーザーも目的の製品を探しだすのに苦労することになります。そして、仕様以外に多くの付加情報が必要ということは、上記の問題をさらに拡大します。

デジタルマーケティングをスムーズに進め、今後さらに拡張していくには、今のうちにこの問題を片づけておく必要があるのです。

今、BtoB製造業のみなさんは、自社Webサイトが6-7割方出来ている状態で、そのブラッシュアップや活用の定着化に邁進されていることでしょう。そしてこの後には、会員サイト、代理店ポータル、ECサイトなどへの展開が待っています。

その時、デジタルマーケティング向けに製品情報が整備済みであるかどうかが、これらの展開の労力を大きく左右することになるはずです。

これまでは先送りしてきた製品情報の改革に、本気で向き合う時期が来ているのではないでしょうか。


本テーマをより深くお知りになりたい方は、是非こちらもご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?