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【読書】速読なんてできなくてもいいじゃないか。品田遊の本に救われた話。

品田遊という作家が好きです。
品田遊というより「ダ・ヴィンチ・恐山」という方が馴染みがあるのだけれど、まぁ同一人物。
Webメディア「オモコロ」のライターの、仮面の人。
小説家なのかライターなのか、今となってはもはやYouTuberなのかもしれない。
まぁ、いずれにせよ、彼の書く文章や、YouTubeでの発言が好きなのです。

Noteやってる。

「キリンに雷が落ちてどうする」という本を読んでいます。
これはなんだ、エッセイと小説とTweetと漫画をごちゃ混ぜにしたような。脳内をのぞいているような気がして面白い。
短編小説かショートショート的な話もあるけれど、たまに挟まっている数行のつぶやきみたいなのが良い。「この件はこのくらいしか言いたいことなかったんかな」と、長い話と短い話の差に人間味を感じている。恐山って生きてんだな。オモコロが作った偶像だと思ってた。

今回はこの本をレビューしたいわけじゃないし、【読書メモ】みたいに残したいわけじゃない。本の中に「マニア」という話がある。その中の一説にハッとさせられたのです。
余談だけど、「ハッとさせられた」っていう表現ってなんだろうね。陳腐というか、何?ってなる。何にどうハッとさせられたのかを言えよって思っちゃう。

ほとんどの人は、映画を1本観たらそれなりに疲れて、続けざまにもう1本鑑賞しようとは思わない。1日おきに観続けるのだって、多くの人には億劫だろう。2時間も拘束されて心をゆさぶられる娯楽を味わうのは、精神的にかなり疲れる。映画マニアはなぜかそこにストレスを感じない(感じにくい)。それは映画から、本来ストレスにもなりうる「何か」を感じ取るセンスが鈍麻しているからではないのか。

キリンに雷が落ちてどうする|品田遊

何かを評価する時に定量的な尺度を使うのは簡単でわかりやすい。1週間会社に泊まり込んだとか、3時間しか寝てないとか、社畜なんだな〜と思うし、家に漫画が1000冊ありますとか、レコードが500枚ありますとか、すごいと思う。
けれど、それってどーなん?とも思う。

私は漫画が好きだけど、積極的に新しい漫画を読むことはないし、新しいクールに入る度に今期のアニメをチェックすることも学生以来やっていない。
それぞれのジャンルに「好きな○○」が1つか2つあって、それを時々見返しすのが好きなのだ。アニメが好きというと、あれは観た?これは知ってる?と言われることがしばしばあるが、私は「輪るピングドラム」が好きなのだ。アニメという媒体が好きなのではない。
となると、アニメ好きとは言えない気がしてきた・・・ピンドラが好きなのであって、アニメが好きなわけじゃないのか。
でも、世のアニメ好きはアニメという媒体が好きなの?イラストが動いて、声優さんが声をあてているというモノが好きなの?違うよね?なんだろうこの違和感。

そんな感じで読書も同様なのです。
私は読書は嫌いじゃないけれど、どちらかというと好きな方だけど、読書が好きというと「毎月何冊くらい読むの?」なんて聞かれることがある。
軽めの本であれば1日や数時間で読むこともあるけれど、分厚い本とか、今読んでる「ストーリーとしての競争戦略」なんかは1日でパッと読める本じゃないから、ゆっくり読みたい。読み飛ばしていっちゃうと、取りこぼしが出ちゃう。
「キリンに雷が落ちてどうする」も、バーっと読むものじゃなくて、毎日ちょこちょこ読んでいきたい。それぞれの話に、ひとつひとつちゃんと相槌を打ちたいのだ。

本を読む行為が好きなのではなくて、好きな本を読みたいだけ。そうそう。
だから、「今月本読んでないな〜何か読めそうな本ないかな〜」と本屋を徘徊することはないけれど、逆にピンときた本があれば何冊も一気に買って困っちゃう。で、積読しちゃう。
読書が好きな人は活字を目で追うことが好きなの?漫画が好きな人は、コマ割りでイラストがあって、吹き出しで台詞が書いてあるのが好きなの?映画好きな人はお話が2〜3時間でパッケージされているのが好きなの?違うよね?

1ヶ月に10冊本を読み、感想や要点を記録して残す行為は素晴らしいと思う。密かに憧れていたところもある。けれど、私には合わないなと思った。
行間を読んだり、書いてあることから妄想の世界に羽広げたり、読書という行為自体を楽しみたい。そのためにはたくさん読むことは違う。読書には、量より質を求めたいのかもしれない。

楽しみ方は人それぞれなんだから、どんな楽しみ方をしても良いじゃない。
大学生の時に生協で買った銀河鉄道の夜の文庫本、「銀河鉄道の夜」以外の話は読んだことないけど、それでも良いじゃない。

ありがとう、品田遊 a.k.a. ダ・ヴィンチ・恐山。
あなたのおかげで現実逃避が捗っています。夕飯作ってねぇ〜。

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