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【読書メモ】ストーリーとしての競争戦略 第1章 戦略は「ストーリー」

ほんとうは1冊読み終えてから感想を書くつもりだったのだけど、久しぶりに真面目に読書をすると本当にスピードが落ちており・・・このままだといつまで経ってもアウトプットできない気がしたので、このタイミングで書いてしまおうというわけです。
それに、今書いておかないと忘れてしまいそう。笑


本との出会い

仕事でマーケティングのような市場調査のような?よくわからないけれどそういう感じのことをする流れになり。
元々そういった畑の人間ではない私はデジマやコンサルを生業としている友人に泣きつきました。その時に彼に教えてもらったのがこの本です。
曰く、大局的な視点や戦略策定の視点からこの本はかなり優秀でおすすめとのこと。

ほうほう、コンサル様がおっしゃるのであればそれは間違いないだろう。
そう思い、ソッコーAmazonで検索し、Kindle版を購入していたわけです。
簡単な消費者です。
(そして久しぶりにKindleアプリを開き、同じく彼から薦められていた「仮説思考」がデジタル積読されていることを思い出したのであった・・・)

読む前のイメージ

本当に勝手なイメージだけれど、コンサルとか事業戦略担当とか、経営層とか。そういう類の人たちは「ストーリー」を嫌っていそう。もしくは無駄なものだと思っていそう。
というのが私の偏見です。本当にただの偏見ですゴメンナサイ。

・・・なんというか、そういう人たちって客観的な情報が好きじゃないですか。客観的でロジカルで、何なら数字で喋っていればOKみたいな。どんなにいい話であっても、数字的な根拠がなければ「裏付けがないからダメ。はい次」みたいな。
確かに、他人と感覚を共有することは難しいので、その目安として数字はとてもわかりやすい。誰にとっても100円は100円だしね。

けれど、赤色は人によって違う。幅があるし。で、「じゃぁどれが赤色か?」という疑問が湧いた時、わかりやすさを求めると「#FF0000」と数字で表すわけですよ。
わかりやすい。確かにわかりやすいですよ?でも、それでいいの?と思ってしまうのは、私がエモ側の人間だからでしょうか。
「赤色ってどんな色?」と聞かれたら「熟したりんごで、赤ちゃんのほっぺたで、薔薇の花びらで、恋で、熱で・・・」と答えたくなってしまう。カラーコードを調べたりなんかしたくない(したけどね。)

だから私は「ストーリーとしての」という言葉は好きなのです。積読病の私がこの本を読もうと思えたのは、私の偏見コレクションのひとつである「戦略やコンサルやマーケティングの人間は数字とカタカナで会話している」が変わるかもしれないと、そう思ったからです。

しかし、読む前から一つ気になることがあって。
それが、はじめに書いた「コンサルや経営層にとってストーリーは無駄なものという認識なのではないか」ということです。
ストーリーとは人間を動かす熱量を持っていて、それこそが必要だ。ということが書いてあるのかなと予想しているけれど、そもそもこの本を読むような人たちはそういう客観的数値化ができないものを余計なモノだと思っていそう。そこを省くことこそ仕事だと思っていそう。なんて。言い過ぎでしょうか、ゴメンナサイ。

読書メモ

私は本の要約をする気はないし、解説をするつもりもありません。
この読書メモは、私が読んだ中で気になった言葉や文章を並べているだけです。
悪しからず^ω^

・論理と実践は違う
・理屈では説明がつかない野生の勘が勝負の8割を決める
・理屈じゃないから、理屈が大切
・「どうすれば成功するのか?」に対する答えは「法則はないが論理はある」
・走りながら考えている人は、どうしても視野が狭くなる
・戦略の本質は「違いをつくって、つなげる」
・戦略の真髄はシンセシス(綜合)にあり、アナリシス(分析)の発想と相容れない
・サイエンスの本質が「人によらない」ことにあるとすれば、戦略はサイエンスよりもアートに近い
・ビジネスは科学ではない(PPMやセオリーZなど)
・ビジネスはもちろん、他のどんなものでも、セオリーなんかで経営できるものはない
・ストーリーは、アクションリストでなく、法則でなく、テンプレートでなく、ベストプラクティスでなく、シミュレーションでなく、ゲームでない
・有用な論理は実務家のニーズに過剰適応している面もある
・フレームワークが、企業の活動を分類・整理するだけのテンプレートとして使われてしまっている
・シミュレーションは戦略を立てた後の確認作業であり、戦略そのものではない
・ゲーム理論は、自社にとって都合の良い外的環境を作り出すことを目指している
・戦略はワンフレーズでは語れず、ある程度「長い話」にならざるをえない
・短い話が横行するのも、戦略論のユーザーのニーズがあるから
・短い話のニーズ:とにかく忙しい、短い話はコミュニケーションが簡単
・情報の豊かさは注意の貧困とトレードオフである
・戦略ストーリーは、きわめて主体的な意志を問う
・「見えすぎ化」
・スピルバーグ = 強力なリーダー

面白かったところ

ビジネスは科学ではなく、戦略はサイエンスよりもアートに近い

学生時代から時々ビジネス書を手に取るような、意識高い系に憧れていた私です。
しかし憧れていた程度でガチではないので、7つの習慣は3つ目で挫折したり、ドラッガーのマネジメントは読んでいなかったり・・・逆に文字大きめのやさしめぬるめの本を読み漁っていたりしていたわけですが。
それでもいくつかビジネス書を読んでいて疑問だったことが、「こんなにビジネスの理論や方法論があるのに、何故うまくいく会社の方がレアという状況にあるのか」でした。

昔見たテレビ番組の、最新の医療研究者に対する天才少年の質問。「こんなに研究が進んでいるのに、どうして癌はなくならないのですか?」
私の疑問はこれ近い。
癌についてはなんとなく難しそうだなぁなんて思うけれど、ビジネスに関しては謎だったのです。ここまでいろんな戦略があって、ロジックが組み立てられて、帝王学なんてものもあって、なのにどうして「うまくいく」のが難しいのだろう。と。

それが、この言葉で納得できました(違うのかもしれないけれど。)
私はビジネスを、何かしらの正解があるものだと思っていました。
正解があると思っているから、それを知りたくて勉強していたし、失敗する人たちは何か知識やスキルが足りなくてそうなっているんだろうと思っていました。

けれども、ビジネスが科学ではなく、アートだとすれば・・・
アートには正解はありません。冒頭に話したような「赤色 = #FF0000」ではないのです。
極端な話、真っ黒であっても赤だし、無色でも赤なのです。そういうものです。
アートであり、多分生き物なんだと思う。
だから、目標をセンターに入れてスイッチ的なアプローチが役に立たないことがあって、そういうものが「理屈で説明がつかない野生の勘」の活躍するところであって、その野生の勘をフルに使うためにも2割の理屈の部分をしっかり固めておく必要があるんだなと。

忙しさと無意味さの悪循環

戦略はアートであり、ストーリーであり、動画であるから、ワンフレーズでは語れないよな。美術館の絵の横の解説が長ったらしくあるように、ストーリーであるからには「長い話」にならざるをえない。それはわかるし、私はそういう話が好きなので聞きたい。
けれども、やっぱり現代人は忙しいんだな。

「読む前のイメージ」のところにも書いていたけれど、やっぱり現代人は忙しくて、だから「わかりやすさ」「シンプルさ」を求めるんだと思う。そして、それによってストーリーの部分が削られていて、それが悪循環を生んでいるんだろうなと思った。
短い話のニーズとして、第一に「とにかく忙しい」があったのは笑った。
短い話はコミュニケーションが簡単であると、だからこそワンフレーズだったり数字だったりフレームワークだったり、コミュニケーションコストがかからない方法での情報伝達が優先される(というか、コミュニケーションコストのかかる情報は敬遠される?)のかなと。

スピルバーグさん

例のコンサル様が、スピルバーグの話をしてくれたことがある。自分一人でできなくても、できる人の力を借りて何とかする力のことをスピルバーグと呼んでいた気がするが、この本によればスピルバーグは強力なリーダーであり、彼はリーダーとして必要な要素のことを語っていたのだなと思った。

機能分化の論理が浸透している世界では、それぞれのつながりが希薄だから、それらをつなぐリーダーが必要だということ。そしてやっぱり、ビジネスみたいな大きなことを成すためには人の力を借りることが必要で、その視点を持っておくことは必須なんだろうなと。

間違っても「自分一人で何でもできる」「自分がいないとだめだ」なんて考えはもっちゃいけないなと思うわけです。事務や雑務をこなしている人も、必要な人だ。しょうもないことだとか、雑用だとか、そんなこと言っちゃいけないのだ。

「おもしろがる」という能力

第1章の最後、「戦略づくりの面白さ」を読んでいて、心のつっかえが取れたような感覚があった。
そうだよ、仕事って面白くないといけないよね。って。
日々の業務は面白くないことも多いし、何ならつい最近も友人と「仕事の9割は面白くないよね」なんて話していた。けれども、それは実務レベルの話であって、大きく「ビジネス」とか「戦略」なんて話をするのであれば、面白くなくちゃいけないよね。

こういう時によくたとえ話として出てくるペンキ職人の話だって、まさにそう。
面白さや意義なんかがないと、今目の前にある仕事をやる意味だとか、やりがい的なものがなくてつまんないよね。

私個人の考えとして、作業と仕事は違うと思っているのだけど、作業については面白くなくていいしつまらなくていいし意味なんてなくてもいい。でも、仕事は面白くないと嫌だ。面白くて、意味があって、夢があって希望があって・・・そういうことをしたいじゃない?

だからこそ、主体的におもしろがる能力が必要。それは企業の戦略を決めるとか大きなスケールの話でなくても、小さいことでも面白さを見つける。そうすることで、つまらない雑務もおもしろおかしくできて、そうすることで楽しくいられるのかなと。

この本自体はあくまでも「ビジネスの戦略」について書いてあるから、作者はこういうことは意図していないかもしれないけれど、私はこの本を読んでそう思ったのでした。

内容以外の部分で面白かったところ

ストーリーとは何かを説明する上で「ストーリーは何ではないか」を説明しているところが、手法として面白いなと思いました。
そして、この手法は近代言語学の父と呼ばれているソシュールさんの「単語の意味は差異によってしか決まらない」のくだりと同じアプローチの仕方な気が・・・

※この説明についてはYouTubeチャンネル「ゆる言語学ラジオ」の以下動画を見てもらえるとわかると思いマス。

すべてのものは「〜でない」という説明でしか定義できないということ。
今回の「ストーリー」についてそれが当てはまるのか(「ストーリーは○○ではない」という説明の仕方でしか説明できない、と言い切れるのか)はわからないけれど、少なくともこのような説明の方法がとてもわかりやすいな、と思ったわけです。
実際本の中でも以下のようにあります。

ストーリーの戦略論が「何ではないか」を明らかにすることによって、「何であるのか」をはっきりしておこうというのがここでのねらいです。

ゆる言語学ラジオのソシュール回を聞いた時は、面白い話だなという程度にしか捉えていなかったけれど、実際にそれを使って説明をされると非常にわかりやすい。
これは自分でも使えると思った。使ってみたい。

最後に

まだ第1章しか読んでいないのだけど、この本は全部で7章ある。
残りの6章を今の熱量を保ったまま読むことができるのか、そもそもこの本自体を読了できるのか、今からとてもとても不安でアリマス・・・。

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