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日々の生活が政治そのものである

松村圭一郎「くらしのアナキズム」

6/26(日)10:30~12:00に「シン図書館」とお隣の「サタデーブックス」と共催で読書会を開催します。毎月最終日曜日に読書会は開催していますが、今月は「シン図書館」で選書を行いました。課題図書は松村圭一郎さんの「くらしのアナキズム」です。

著者の松村さんは文化人類学を専門にする方です。アナキズムは日本ではよく「無政府主義」と訳されます。意味としては、国家権力や宗教などの政治的権力を否定する主義と紹介されることが多いです。歴史的にアナキストは過激思想の持ち主というイメージが強いですが、この本では「アナキズムは達成すべき目標ではない」と言います。

政治とは暮らしの問題に対処すること

政治というと、私たちはつい難しいイメージを持ってしまいますが、もともと政治というのは暮らしで直面する問題に対処するためのものです。私たちのくらしのために政治があるわけで、先に政治があるわけではありません。

でも、いつしか国家ができ、政治家という職業ができ、さらに現在では自分たちの暮らしが政治に奪われるような事態になっています。松村さんは、「自分たちの日々の生活が政治そのものであると意識する」ことの重要性を説明します。

名もなきアナキストたち

この本では歴史的アナキストを紹介するわけではなく、人類学的な視点から国家を持たない民族がどのように生活しているかを紹介したり、日本の場合でも著者の実家が被災した熊本地震を例に出し、災害が起きた時は行政に頼らずとも隣近所の関係で物資がどこにあるかなど情報交換をして、どうにか乗り切る姿などを紹介します。

そうした名もなきアナキストたちを紹介することで、人類学的な視点から「暮らすとは何か」「政治とは何か」ということを改めて捉え直すような内容になっています。

私設図書館「シン図書館」ご利用の案内

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