2017年読んで良かった本ベスト5
今年もあと一週間。新しい年を迎える前に、今年読んで良かった本を思いつくままにまとめておこうと思います。他にも良い本があったかもしれませんが、パッと頭に浮かんだものを順不同でご紹介。(「今年読んだ本」ということで、2017年に出版されたもの以外も含みます。)
今年のベスト5は以下の通り。
・鈴木敏夫『ジブリの哲学』(岩波書店、2011年)
・井上智洋『人工知能と経済の未来』(文春新書、2016年)
・吉岡桂子『人民元の興亡』(小学館、2017年)
・滝口悠生『茄子の輝き』(新潮社、2017年)
・夏目漱石『夏目漱石全集』(ちくま文庫)
まず、鈴木敏夫さんの『ジブリの哲学』。ジブリの名プロデューサーの文章をまとめた本。どこを読んでも面白いのだけれど、特に、戦後日本を代表する評論家、加藤周一さんからの影響を語った文章の中の一節。
「理屈というものもエンターテイメントだということを、僕は加藤さんから学びました」(鈴木敏夫『ジブリの哲学』、p.155)
この言葉を読んだとき、何かが「ガツン」ときました。何とか言語化しようとしていたのですが、そのインパクトをうまく言葉にできてきません。これからもこの言葉のインパクトを考えることになりそうです。この一文に出会っただけでも読んだ価値がありました。
続いては、井上智洋さんの『人工知能と経済の未来』です。最近話題のAI。それがもたらす経済へのインパクトをコンパクトに紹介した著作。とても説得力がありました。
吉岡桂子さんの『人民元の興亡』も良かったです。タイトルの通り、「通貨」から中国の近代史を描くという試み。どのような観点から、どのような切り口から歴史を物語るかの大切さがよく分かる良書です。
ここからは小説。
滝口悠生さんの『茄子の輝き』が今年のベスト。今年最大の収穫はこの若手作家に出会えたこと。『茄子の輝き』所収の「忘れない顔」について書いた、こちらのnoteもご参照あれ。https://note.mu/tkhr7634/n/n9596d916f78e?creator_urlname=tkhr7634
最後は『夏目漱石全集』。今年の目標の一つが漱石全集の読破。(結局、十冊あるうちの六冊までしか読めていないけど、来年も続けていこうと思います。)「描写するとはどういうことなのか」ということを、ただただ考えさせられます。「古典」のすごさを実感しました。
どれも良い本ばかりですので、年末年始の読書のご参考にしていただければ幸いです。
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