人生が変わった本【ニーチェ編①】

皆さんは「あなたの人生を変えた本は何ですか?」と尋ねられたら、どんな本を思い浮かべますか?

私は幾つかの本が思い浮かびます。
それらの本を読まなければ、研究にも臨床にも興味を持つことはなかったし、大学教員になることもなかったと思います。
まさに、本との出会いによって自分の人生は大きく変わりました。

ここで、少し自分の昔話をさせてもらうと、私はもともと本をたくさん読むタイプの子どもではありませんでした。
本よりも断然テレビが好きでした。
だって、本は、文字を読んで想像力を働かせて、やっと意味が分かるけど、テレビなら見てるだけで何が起きているか分かります。

あまりにも苦手すぎて、高校生の頃の読書感想文では、なるべく短い本にしようとして、芥川龍之介の「或旧友へ送る手記」という、自分が死を選ぶ理由を綴った短い文章を選んだりしていました。
たぶん学校の先生も色んな意味で困っていたと思います。
学校でよく叱られていたのは苦い思い出です。

そんな私が本を読むようになったのは大学生からです。
大学生になると、ひたすらに自由な時間があって、持て余した私は、ニーチェの解説書を古本屋で手に取りました。
センター試験で倫理を選ぶ程度には哲学に関心があった私は、時間もあるし、ちょっとじっくり読んでみるかと購入しました。

その本がこちらです↓↓↓
ニーチェ―すべてを思い切るために:力への意志 (入門・哲学者シリーズ 1)

この本を読むことで、私はそれまでの人生の中で探し続けていた生きる意味について、自分の中で納得のいく答えを出すことができました。
この本を読む前と後では、紀元前と紀元後ぐらいの違いがあります。
ということで、前置きが少し長くなりましたが、今回は私の経験談を中心として、ニーチェの解説本について紹介したいと思います。


生きる意味を探して

私が自分の生きる意味について考え始めたのは中学生の頃です。
自分も含めて人は何のために生きているのだろう、と一度考え始めると止まらなくなりました。
あれこれと考えてみても、友達と議論してみても、答えが出ることはありませんでした。

時には、塾の先生に「先生は何のために生きてるんですか?」と興味津々で質問をして、誠実に答えてくれた先生の答えに、納得しない顔をしていました。
今思えば、色々な意味で良くなかったなぁと思いますが、当時の私にとっては、早く答えを見つけたいと思っていたし、それは切実な悩みでもありました。

私はある時点から、「自分の中で納得のいく生きる意味が見つけられないと、どの方向に人生を進めていけばいいのか分からない」と感じるようになっていました。
「生きる意味が見つかっていないのに、どうやって生きていけばいいんだろう」と本気で思っていました。
だから、周りの大人は、みんな何かしらの答えを見つけて、方針を立てて生きているんだと思っていましたが、尋ねてみると、どうやらそういう訳でも無さそうで、ますます謎は深まっていきました。

私はこのような状態があまりにも長く続くので、自分は考える病にかかっていて、この病は一生続くんだと感じていました。
中高で6年くらい考えて分からないんだから、これは永遠に謎のままで、むしろ、この謎に向き合うこと自体が人生なのかもしれないと思い始めていました。

この時の状態を振り返ると、私はずっと、世の中のどこかに、誰しもが納得のいく、人が生きる意味や価値が存在していて、それを見つけ出すことができたら、謎が解けると思い込んでいました
今になってみると、この思い込みには、色々な間違いが含まれています。
これじゃあ謎は解けないよなぁと思います。

では、この思い込みの何が間違いだったのか、次回、ニーチェの思想の一部を交えて紹介したいと思います。


次回へ続く…
人生が変わった本【ニーチェ編②】


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