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映画分析ノック④『クレイマークレイマー』(1979)

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『クレイマークレイマー』構成表

○マンション・子供部屋(夜)
子供・ビリーを寝かしつけている母・ジョアンナ。
物悲しそうな表情でビリーに「愛してる」と伝え抱きしめる。
その目には涙を湛えている。
子供部屋を出て、大きめの鞄を取り出す。

○オフィス(夜)
テッド、副社長と談笑している。
もうすでに遅い時間だ。
テッド、帰ろうとする…と副社長に呼び止められた。
重要なポジションにテッドを昇格させる予定とのこと。
喜ぶテッド。
(家の居間で荷造りをするジョアンナとのカットバック)

○マンション・居間(夜)
ジョアンナ、居間で緊張の表情。
そこへ帰宅するテッド。
浮かれているテッドは会社の仕事ばかり(すぐ電話する)。
その様子を見て、ジョアンナは家を出ていくことの決意を固める。
ジョアンナ、別れる旨を伝える。
テッド、止めるがジョアンナは荷 物をまとめて出て行ってしまう。
その様子、かなり思い詰めたようで。
ビリーは置いていくと言うジョアンナ。
茫然とするテッド。
×   ×   ×
ジョアンナの友達・マーガレットに電話するテッド。
マーガレットの元にも、ジョアンナは行っていないらしい…。
×   ×   ×
マーガレットがマンションに訪ねてくる。
ジョアンナを心配してテッドに迫るマーガレット。
テッド、余計なお世話だと苛立ちを募らせる。
テッド、マーガレットが夫と別れたせいで、ジョアンナが影響を受けたのではないか?と責める。

○マンション・子供部屋(朝)
ビリー、起きる。

○マンション・寝室(朝)
テッド、寝ている。
ビリー、やってきて「ママはどこ?」と尋ねる。
テッド、起きてビリーにやんわり事情を説明。
「すぐ帰ってくる」と言い聞かせる。

○マンション・台所(朝)
テッド、フレンチトーストを作る…が手際が悪い。
調理器具がどこにあるかも分からない。
結局、焦がしてしまう。
苛立ちが爆発するテッド。

○小学校・前(朝)
テッド、ビリーを小学校へ送っている。
仕事に遅れそうで、心ここにあらずのテッド。
ビリーが何年生かも知らなかった。
走って会社へ向かうテッドを、不安げな表情で見送るビリー。

○オフィス・中(朝)
テッド、出社すると昇進の噂で皆が「おめでとう!」と祝ってくれる。
バタバタしつつも嬉しそうに応えるテッド。
×   ×   ×
テッド、副社長に、妻が家出したことを話している。
笑い話として語っているが、副社長には1つの懸念点が浮上。
テッドが1人でビリーのお世話をするとなると、仕事が疎かになるのでは?と。
副社長から「君の昇進を推薦した以上、仕事に支障は一切来さないように!」と忠告される。
テッド、絶対に心配ない!と説得する。不安そうな副社長。

○マンション・居間(夜)
居間で仕事をしているテッド。
ビリーが近くで遊んでいる。
ビリー、テーブルの上のジュースをこぼす。
テッドの仕事の書類が濡れてしまい、ブチギレる。
しょんぼりするビリー。

○スーパーマーケット
買い物をしているテッドとビリー。
テッドが洗剤を買おうとすると、ビリーが「ママが選んでたのはこれ」と訂正する。
仕方なく応じるテッド。

○マンション・寝室
テッドのベッドで寝ているビリー。
テッドの元にジョアンナから手紙が届く。
テッド、ビリーにその手紙を読み聞かせる。
期待に胸を弾ませるビリーだったが、内容は「帰ってこない」と言う雰囲気のもので…。
聞くのを止めるビリー。

○マンション・居間など・点描
テッド、ジョアンナとの思い出の品を全てダンボールや引き出しにしまっている。

○オフィス・中
テッド、オフィスから帰宅しようとしている。
と、副社長から呼び止められて、社内パーティーに参加しろよ?と誘われる。
その誘いを断り、ビリーを迎えにいくテッド。
釈然としない副社長。

○友達の家・中
タクシーを拾って、ビリーの待つ家に迎えにいくテッド。
ビリー、寂しそうに待っていた。
一番最後だったと不満を漏らすビリー。

○マンション・居間(夜)
晩ご飯を食べているテッドとビリー。
が、ビリーはまだ拗ねていて。
テッドに、ママをほのめかすようなことを言ったりする。

○マンション・子供部屋(夜)
寝ているビリー。
テッド、ビリーの部屋を片付ける。
と、引き出しからジョアンナの写真が見つかる。
テッドがダンボールにしまったはずの写真だ。
掘り返して自分の引き出しにしまったビリーの心情を想い、棚の上に写真を飾るテッド。

○マンション・居間(朝)
翌朝。起きてくるテッドとビリー。
2人で朝食の準備をする。
ルーティン化されており、手際が良くなっている。

○オフィス・中
遅刻している様子のテッド。
副社長が気を揉んでいる。
と、副社長の前で秘書がテッドに「PTAの会合は…」と子供の予定を話す。
タジタジのテッド。

○公園
ビリーが遊んでいる。
それをベンチに座って見守るテッドとマーガレット。
マーガレットには小さい子供がいる。
お互いに結婚相手と別れた経験を持つ2人。
マーガレットは「子供がいる限り、自分の夫は彼だしこの子の父親は彼だ」と話す。
励まし合う2人。

○オフィス・中
※ジョアンナが出ていって8ヶ月の時が経過(セリフで分かる)
テッド、重要なクライアントの仕事を失敗し、副社長に怒られている。
その時、オフィスに電話が。かけてきたのは、ビリー。
副社長が見ている中、ビリーに電話越しにしつけをしているテッド。
副社長、呆れている。

○マンション・居間(夜)
晩ご飯を食べているテッドとビリー。
ビリー、嫌いな食べ物があるからと手をつけようとしない。
ビリー、冷蔵庫のアイスクリームを取り出し、テッドの忠告を無視して食べる。
テッド、ブチギレてビリーを子供部屋のベッドに放り投げる。
ビリー、「ママ〜〜」と泣き喚く。
強めの酒を飲むテッド。
×   ×   ×
子供部屋に様子を見にいくテッド。
ビリー、テッドに謝る。テッドもビリーに謝る。
ビリー「自分が悪い子だからママは出ていってしまったの?」と尋ねる。
テッド、ビリーに「ママが出て行ってしまったのは、自分のせいだ」と説明する。

○小学校・ハロウィン学芸会
ドラキュラの仮装をしたビリーが幕から登場する。
観覧席、ほぼ母親ばかり。その中で唯一の父親・テッドが見守っている。

○オフィス・中
法務担当の女性に書類を渡すテッド。
女性、夕飯に付き合うと言う。

○マンション・寝室(朝)
裸で寝ているテッドと法務の女性。
女性、裸のまま部屋を出ると、起きてきたビリーに遭遇。
頭を抱えるテッド。

○道
自転車の練習をしているビリー。
後ろから支えるテッド。
ビリー、乗れるようになる。喜んで見守るテッド。
自転車で遠ざかる背中に「遠くへ行くなよ!」とテッド。

○小学校・前(朝)
テッド、ビリーを小学校へ送っている。
以前とは違ってビリーの話に耳を傾けているテッド。
その様子を遠くから見ている女性がいる…ジョアンナだ。
ジョアンナが喫茶店の陰からテッドとビリーを見ている。

○公園
子供たちがジャングルジムで遊んでいる。
テッドとマーガレット、ベンチで見守りながら話している。
マーガレット、既婚者の男に誘われた話を夢中で話す。
と、ビリーがジャングルジムから落下して、頭を切ってしまった。
×   ×   ×
テッド、流血して泣くビリーを抱き抱えて、道路を無我夢中で走る。
緊急病院の中へと入っていく。

○病院・処置室
ビリー、医師の手当てを受けている。
寄り添っているテッド。
心配そうに見ているマーガレット。
テッド、医師に呼び出される。
10針縫う必要があると言われる。
×   ×   ×
傷口を縫われているビリー。
痛そうに泣く。
テッド、ビリーの横で一生懸命励ます。

○マンション・子供部屋(夜)
テッド、寝ているビリーに寄り添っている。
テッド、ビリーが寝たのを確認して、部屋をそっと後にする。

○マンション・台所(夜)
マーガレットが洗い物を手伝っている。
そこへビリーを寝かしつけたテッドが来る。
マーガレット、ビリーの怪我の責任を感じて、テッドに謝る。
テッド、万が一自分に何かあったらビリーの世話を頼む、とマーガレットにお願いする。
マーガレット、ビリーの優しさに涙する。

○オフィス・中
テッドがデスクで仕事をしている。
そこへ一本の電話が鳴る。
テッド、電話をとって驚く。それはジョアンナからだった。

○喫茶店・中
ジョアンナが席について待っている。
そこへやってくるテッド。
辿々しい2人の会話。
ジョアンナ、2ヶ月前にNYに戻り、物陰からビリーの成長を見ていたと話す。
別れたときは自分に充てられた役割で縛られていたが、自由になって考えて、本当に大切なものが分かったと。
テッド、笑顔で聞いている(うっすら復縁を期待している…?)
ジョアンナ、テッドにビリーを返して欲しいと言う。
テッド、表情が一変する。
ジョアンナ、ビリーには母親が必要だと説得。
激怒して喫茶店を後にするテッド。

○法律事務所・中
テッド、弁護士と話している。
彼女がビリーの親権を巡って裁判を起こしたようだ。
厳しい戦いになるだろう、と弁護士に言われる。
子供の年齢(ビリーは7歳)が低いと、法廷は母親に同情的とのこと。
裁判費用も高いが、それでもテッドは引き下がらない。
テッド、弁護士からジョアンナの主張に対して、賛成/反対の表を作れと言われる。

○マンション・居間(夜)
テッド、居間で1人、賛成/反対の表を書いている。
その内容、全て「反対」である。

○マンション・子供部屋(夜)
寝ているビリー。
テッド、ビリーを抱きしめて「愛してる」と言う。 

○オフィス・中
テッド、仕事をしている。
と、そこへ副社長がきて、テッドをランチに誘う。

○レストラン・中
テッドと副社長、ランチをしている。
テッドはビリーの成長について楽しそうに話すが、副社長はあまり芳しくない表情で。
副社長、言いづらそうにテッドにクビだと伝える。
テッド、今失業したら法廷で勝てないとごねるが、結論は変わらないようだ。
怒って店を出ていくテッド。

○街
テッド、肩を落とし歩く。

○マンション・居間(夜)
テッド、ビリーとクリスマスの飾りを作っている。
そこに弁護士からの電話。
裁判の日程が決まったようだ。
テッド、弁護士に失業したことを伝える。
弁護士、それでは勝ち目はない、と宣告。
裁判の延期も無理だと言われたテッド「明日中に就職する!」と。

○喫茶店・中(朝)
スーツ姿のテッド、新聞の求人票に丸をつけている。
時間を気にして、店を出る。

○オフィスビルの前
テッド、ビルから出てくる。
新聞の求人票にバツをつけている。
すでにバツがいっぱいである。

○転職エージェント会社・中
エージェント、クリスマスの休暇シーズンで最悪の時期だ(諦めてください)と言う。
テッド、なんでもいいから仕事を紹介しろ!とエージェントに詰め寄る。
その迫力に気圧されたエージェント、見込みのある会社を一社紹介する。

○オフィス・受付(夕)
テッド、紹介されたオフィスに入る。
社員たちは皆クリスマスムードで。

○オフィス・面接室(夕)
テッド、面接官に自己PRをしている。
面接官に採用の決裁者に会わせて欲しいと頼み込み、社内パーティー中だった決裁者と面接。
テッド、今日中に結論を出して欲しいと迫り、その結果、無事に内定を貰う。
(給料は前職よりかなり落ちる)

○オフィスビル・ロビー〜テッドのデスク
日替わり。
テッド、ビリーを連れてビルの最上階へ。
マンハッタンが一望できるテッドの新しいデスクをビリーに見せる。
大興奮するビリー、ママにこの景色を見せれば再婚すると言うよ、とテッドに伝える。
微笑むテッド。

○小学校・前(朝)
テッド、ビリーを小学校へ送っている。
テッド、ビリーを叱っている。
ビリー、ママより厳しいと不満の様子。
そんなテッドとビリーを喫茶店の物陰から見ているジョアンナ。

○マンション・寝室(夜)
テッド、ビリーに絵本の読み聞かせをしている。
と、そこへ弁護士から電話「ジョアンナがビリーに会いたいと言っている」とのこと。
怒るテッドだが、断る権利はないと諭される。

○公園(朝)
ジョアンナ、待っている。
そこへ現れるテッドとビリー。
ビリー、母親であるジョアンナの元に一目散にかけてゆく。
その様子を心配そうに見送るテッド。

○法廷・外〜中
テッドとジョアンナがそれぞれの弁護士とともに別々に入廷する。

ジョアンナに、ジョアンナの弁護士から質問
・テッドとの結婚生活は苦痛だった
・ジョアンナは働きたい旨をテッドに何度も伝えていたが、テッドは聞いてすらくれなかった
・現在は就職しており、年収は3万1000ドル(テッドより高い)
・家を出たのはテッドから受けた苦痛のせいであり、今はセラピーを受けて回復し子どもを育てる自信がついた
・ジョアンナは5年半ビリーの母親だった(テッドが代わりを務めたのは1年半)
涙ながらに主張するジョアンナ。
なんとも言えない表情でじっと聞いているテッド。

ジョアンナに、テッドの弁護士から質問
・夫であるテッドは、暴力を振るったり、酒に溺れたり、浮気をしたり、貧しくさせたり、したか→してない
・それなのに離婚するのか→「…」
・今ジョアンナに恋人はいるか→いる
・人生で一番長い付き合いの人間との関係性に失敗したのは自分ではないか→「…」
テッドの弁護士の勢いに気圧され、涙するジョアンナ。
テッドは、席に戻った弁護士に、厳しすぎると諫める。

○マンション・居間(夜)
テッド、ビリーに「自分が子供の頃にあったもの(なかったもの)」の話を聞かせている。

○法廷・中
マーガレットがテッド側の証人として証言している。

マーガレットに、テッドの弁護士から質問
・テッドは非常に良い父親である

マーガレットに、ジョアンナの弁護士から質問
・ジョアンナとビリーは非常に良い関係だった
・マーガレットがジョアンナに苦しいなら出ていくべきだと諭した
(ジョアンナの弁護士、マーガレットの話を最後まで聞かず、威圧する)

マーガレット、席に戻る際にジョアンナに語りかける。
が、裁判長に早く戻りなさいと叱責される。

テッドに、テッドの弁護士から質問
・テッドはジョアンナに苦しい思いをさせてしまったと反省
・ジョアンナが言うように「野心を持つのに性別は関係ない」はその通りである
→同じように「子供を育てるのに性別は関係ない」はずである
・一度壊れたものは元には戻らないから、ビリーを取り戻そうとするのをやめてほしいと訴える

テッドに、ジョアンナの弁護士から質問
・前職の給料と現職の給料(ジョアンナより低い)
・前の会社をクビになったのでは?→辞職である
・子供の世話で会社を疎かにした→ではどうすればよかったんですか!
・失明しかけた原因はあなたでは?→ただちょっと縫っただけで…
・ジョアンナに「ビリーの怪我は自分の責任だ」と話したのは認めるか→「…」

テッド、失明のことを弁護士に告げ口したジョアンナを睨む。
ジョアンナ、気まずそうに目を逸らす。

○法廷・廊下
テッド、テッドの弁護士と解散する。
エレベーター前で待っていたジョアンナ、テッドに自分の弁護士が怪我のことを持ち出したことを謝る。
テッド、無言で去っていく。
項垂れるジョアンナ。

○道
日替わり。雪が降っている。
歩くテッドに、マーガレットが話しかける。
テッドは裁判の結果を信じて待っている、と話す。
マーガレット、別れた夫とよりを戻すことになったと報告。
喜ぶテッド。

○喫茶店・中
日替わり。
弁護士が席で待っている。テッド、やってくる。
テッド、弁護士の雰囲気で「裁判に負けた」ことを悟る。
上訴すると言うテッド。
弁護士、ビリーに証人台に立ってもらうことを提案。
テッド、「それはダメだ。それなら辞める」とはっきり伝える。

○マンション・廊下/居間
マーガレットがテッドの家の前に。
話を聞きつけたようだ。
しかし、テッドは1人になりたい、と言う。

○道
テッド、ビリーを連れて歩いている。
テッド、ビリーはママと一緒に暮らすことになったと伝える。
ビリー、パパと過ごせなくなると知って涙する。
テッド、優しい表情でビリーを抱きしめる。

○マンション・台所(朝)
テッドとビリー、フレンチトーストを作っている。
2人は見違えるほど手際良く役割分担ができている。
が、テッドもビリーも無言で…。
フレンチトーストが出来上がる。
泣き出すビリー。なぐさめるテッド。
×   ×   ×
荷物を準備して居間で待っているテッドとビリー。
と、そこにブザーが鳴る。
テッドが応答すると、ジョアンナが1人で来て、と言う。

○マンション・ロビー(朝)
テッドがエレベーターで降りると、ジョアンナが待っている。
ジョアンナ、何やら様子がおかしい。
ジョアンナ、ビリーの家を奪っていると思い、連れて行かないと言う。
テッド、涙しているジョアンナを抱きしめる。
ジョアンナ、ビリーに事情を話に部屋へと上がっていく。
1人で行った方がいい、とジョアンナを見送るテッド。
エレベーターのドアが閉まる。


映画『クレイマークレイマー』分析

▽主人公は誰で、どこから登場しているか
主人公はテッド・クレイマー。
冒頭から2番目のシーン、副社長と談笑する仕事人間として登場。
家庭を省みずに、仕事に精を出し、その結果として昇進しようとしているところから始まる。

▽二番目の人物は誰で、どこで登場しているか
主人公テッドの妻・ジョアンナ。
冒頭シーンで家を出ていくことを決意する。

▽主人公の物語が本格的に始まるのはどこか。それはどんな物語か
冒頭5分。仕事から帰ってきたテッドに、ジョアンナが別れを告げて家を飛び出してゆく。
次の日の朝、ビリーが目覚めて、テッドとの慌ただしい朝が始まるシーン。
ここから「妻に出ていかれた会社員・テッドが、息子と過ごす日々の中で「父親」になっていく物語」が始まる。

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▽物語が大きく転換しているのはどこか
妻が息子・ビリーを返してほしいとテッドに話すシーン(物語のちょうど折り返し地点)。

これ以降…
前半:取り残された父と息子が衝突しながらも絆を深めてゆく
後半:息子を手放したくないテッドが、元妻・ジョアンナと裁判をする展開へ
となる。

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▽クライマックスはどこか
法廷のシーン。
テッドと両弁護士のやり取り(質疑2回分)
そのシーンでは、テッドがいかに夫・父親として変化したのかが言葉で明らかになる。
それでも、父親であるがために疎かになった会社のことで責められるテッド。
ジレンマが描かれている。

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▽主人公が困ること、苦しむことはどこでどんなふうに起こっているか
・妻が出て行ってしまう
・慣れない子育てと家事に大慌て
・仕事に家庭を持ち込むな、と上司がよく思わない
・仕事のせいでビリーのお迎えに遅れる
・ビリーのせいで仕事の書類がダメになる
・父親に慣れてきた頃にジョアンナがビリーを返してと現れる
・法廷闘争を控えているさなか、会社をクビになる
・1日で仕事を見つけなくてはならない
・ジョアンナとビリーを面会させなくてはならない
・法廷闘争に負けて、ビリーを手放すことに


▽逆にホッとするようなことや主人公が喜ぶことはどこで起こっているか
・ビリーと過ごす日々の中で父親が上手くなってくる
・ビリーがテッドを好きであるということ
・テッドのことをサポートしてくれるマーガレットの存在
・法廷闘争では、テッドとジョアンナがお互いに対する思いやりを少しだけ持っている
・法廷で負けたが、ジョアンナはビリーを引き取らないと言う


▽起承転結に分けるならどこまでが起でどこまでが承か
起:ビリーを寝かしつけるジョアンナ〜テッドと口論したジョアンナが家を出ていく
承:テッドとビリーの慌ただしい朝〜怪我したビリーを寝かしつけるテッド
転:テッドの元にジョアンナからの電話〜法廷を後にするテッド(信じて待つ)
結:弁護士から敗訴を聞く〜マンションのエントランスでジョアンナと話す


▽三幕だとするとどこが分かれ目か
①:ビリーを寝かしつけるジョアンナ〜公園で子供を見守るテッドとマーガレット
②:(8ヶ月が経過)オフィスでテッドが副社長に怒られている〜怪我したビリーを寝かしつけるテッド
③:テッドの元にジョアンナからの電話〜マンションのエントランスでジョアンナと話す


▽このストーリーを3行で言うとどうなるか
仕事一筋だった会社員・テッドは、妻・ジョアンナが家を出ていったことで、息子・ビリーのシングルファザーに。
慣れない仕事と家庭の両立に悪戦苦闘しながらも、徐々にビリーの父親になっていくテッドだったが、
「息子を返してほしい」と訴えた妻・ジョアンナに法廷で負け、ビリーに別れを告げる物語。

▽このストーリーを15項目くらいの箇条書きにするとどうなるか
・仕事人間の主人公・テッドに限界を感じ、家を出ていく妻・ジョアンナ
・テッドと息子・ビリーの慌ただしい朝
・仕事のせいでビリーの世話が投げやりになるテッド
・家庭のせいで仕事に支障が出て、副社長に怒られるテッド
・テッドとビリーにジョアンナから手紙が来るが「帰ってこない」という内容で
・ビリー怪我をして、必死に走るテッド(息子に対する愛の深さが現れている)
・ジョアンナ、テッドに「息子・ビリーを返して」と話す
・法廷で争うことになり弁護士と打ちあわせするテッド
・テッド、父子家庭であることやミスが影響して、会社をクビになる
・テッド、1日で職を探し、給料の低い会社に就職
・法廷で話すテッドとジョアンナ(互いに譲らず)
・敗訴するテッド、落ちこむ
・テッド、ビリーに今後は母と暮らすことを伝える。涙するビリー
・ジョアンナ、ビリーを引き取りにきて、テッドに連れて帰らないと話す


面白いと感じたポイント

□セリフ
公園で遊ぶビリーをベンチで見守るテッドとマーガレット。
マーガレットが小さい子供を抱きながら、離婚した夫の話をテッドにするシーン。

「子供がいる限り、私の夫は彼だし、この子の父親は彼なの」と話す。

※テッドはこの言葉で息子・ビリーにはジョアンナが必要なのかどうか
自分はジョアンナのことをどう思えばいいのか、色々と考えるきっかけに(答えはなし)


自転車に乗ってスイスイ漕いでいく息子ビリーの背中にテッドが言ったセリフ

「遠くへ行くなよ!」

※父親としての愛情が感じられる一言。
※この後ジョアンナから「息子を返して」と言われる(伏線の役割もある)

□キャラクター
・根っからの仕事人間テッド
・家庭の型にはめられ、限界に達し家を出たジョアンナ
・まだまだ甘えん坊な7才の少年ビリー
・離婚仲間でテッドと互いを支え合うマーガレット
・テッドの父子家庭に理解を示さない副社長
・客観的な視点と情を併せ持つテッド側の弁護士
・攻撃的で話を抑圧するジョアンナ側の弁護士
・やる気のない転職エージェント
・テッドとワンナイトを過ごすエロい秘書

□ストーリー&シーン
ビリー、ジョアンナからの手紙の内容を聞いているシーン
→聞きたくない内容だったので、読み聞かせの声をかき消すようにTVアニメの音量をあげるビリー。
💡ビリーの気持ちが、セリフではなく映像として伝わってくる良いシーン。

□構成
困った存在が現れる!(妻が自分と息子・ビリーを置いて出ていった)
その困った存在が愛おしくなる!(仕事と家庭の両立で父になってゆく)
でもやがて別れなくてはならなくなる!(ジョアンナが返してと言いに来る)

最初は煩わしい存在が、かけがえのない存在になってゆき、離れられなくなる、という点で「ビッグ」と同じ構成である。
(大人になった主人公が、始めは煩わしかったはずの大人の世界が愛おしくなり、子供に戻るのが辛くなる)


□小道具

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・フレンチトースト
テッドとビリーが徐々に親子になっていく様子が、フレンチトーストの上達で描かれる。

・ジョアンナの写真
テッドがダンボールに片付けたはずのジョアンナの写真が、ビリーの部屋にしまってあった。
(ビリーがダンボールから見つけ出して、自分の部屋にしまい直したのだ)
それを見つけたテッドは、自分にとって忘れたい人でも、ビリーにとっては大切な人であることを知る。

・コーンフレークや洗剤
テッドが日用品をスーパーで買おうとすると、ビリーが「ママは違う色を買っていた」と言う
コーンフレークや洗剤のパッケージに、ジョアンナの面影を見るのだ。

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