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反グローバリズムの逆襲が始まった

今回は読書会のテーマ本ではないのですが、元ウクライナ兼モルドバ大使で現吉備国際大学客員教授の馬淵睦夫さんによるこちらの著書を解釈していきます。

国際金融資本家ネットワーク

 この本はグローバリズムは、ユダヤ人中心の国際金融資本家ネットワークによって進められてきたのだ、とする立場から書かれています。私たちの世界は、経済だけでなく政治・外交の世界でもそれら金融資本家ネットワークがかなり牛耳ってきていたものの、トランプ大統領やプーチン大統領はその流れに”反旗を翻している”のだと説きます。

なぜユダヤ人が?

 ユダヤ人を中心として国際金融資本家ネットワークを形成するに至った経緯についても記されています。大元は中世ヨーロッパまで遡るのですが、当時キリスト教支配の中ユダヤ人は”キリストを処刑した”として嫌われていました。1078年にはローマ教皇がその怨みからユダヤ人に公職追放令を発令したのです。これがユダヤ人と金融業の繋がりを深くしてしまいます。

 当時の宗教観では、キリスト教は「他人に金を貸して利息を取ることは罪悪」と考えられていましたが、ユダヤ教では「ゴイ(非ユダヤ人)に金を貸すときは、必ず高利を以てすべし」となっていたため、職を追われたユダヤ人の多くが金融業を行い、上記宗教上の教えにもよって、ユダヤ人が金融業を独占するようになったというのです。

戦争と金融支配

 イギリスはユダヤ人の金融業独占に懸念を感じ、途中ユダヤ人を追放したりもしますが、名誉革命へ向かう中、王室の軍事費調達を目的として1694年にイングランド銀行が設立されます。戦争にはお金が必要です。背に腹は代えられないということで、ユダヤ人達を呼び戻し、ユダヤ人金融家たちはポンドを独占的に発給する権利を手に入れたのです。

 これを発端にユダヤ人金融家たちはパリ、ウィーン、ナポリ等勢力を拡大していきました。(ちなみに日本も日露戦争時に日本公債というかたちで資金調達を行いましたが、ユダヤ人金融家の一人シフは日露戦争で最も儲けたと話していたとか)

中央銀行の中身

 イギリスでユダヤ人イングランド銀行(イギリスの中央銀行)を握ったユダヤ人国際金融資本家はきっとこの中央銀行を握ることの旨味を知ってしまったのでしょう、米国でもFRS(FRB)設立に関わります。何度か歴代大統領が政府が運営する形での通貨発行などを検討しますが、最終的に6人の秘密実務者会議で中央銀行設立の構想が話し合われ、FRS設立へ向かうわけですが6人の内5人が何らかのかたちでユダヤ人国際金融家ロスチャイルド家とつながりがあるメンバーだったのです。

 私も知らなかったのですが、いずれの中央銀行も通過発行権をもっているのですが、元々のイングランド銀行(1946年に国有化)、FRS(FRB)は民間資本100%の機関(しかもFRSは株主非公開)という。日本の場合は日本銀行が中央銀行に当たりますが、こちらは55%を日本国がもっています(残り45%は非公開)。どうりで「国」を主語とした場合の経済政策に反発があるわけです。通貨発行している相手は国ではなかったので、「俺の金返してよ」という声が挙がるんですね。

ロシア革命

 筆者はソ連や中国等共産党国家も国際金融資本家達が仕掛けて作ったのだと説きます。筆者が詳しいロシア方面について深めていきます。

 筆者は、ロシア革命を「ロシアに住んでいたユダヤ人を解放した、ユダヤ人革命家によるロマノフ王朝打倒革命」だったと読んでいます。知らなかったのは革命によって権力を握った秘密警察ですが、指揮を執った人物は全てユダヤ人で殺害人数は2,000万人に上るとのこと(ナチスドイツによるユダヤ人虐殺が600万人)すさまじい虐殺ですね。そして、実権を握ったボルシェビキ政府の要人556人中457人がユダヤ人、さらに最高指導部10人の内、スターリンとブブノフを除く8人が人だったと。

 極めつけは、そのソ連共産主義体制を支えたのは欧米の資本家で、2/3を米国実業家が、残り1/3を英・独・仏・伊の企業が出したということなのです。

プーチンがやっていること

 そして、ソ連が崩壊した時、米国のグローバリズムの顧問団がロシアでの改革に手を付けていくのですが、巧みなやり方で、国営企業を民営化していく過程でまたしてもユダヤ系財閥が儲かるように計らっていたそうなのですが、プーチンはこうやって財産を増やしたユダヤ系財閥のすべてを詐欺や脱税等で摘発し、排除していったというのです。KGBだから「奴らのやり方はよくわかっている」的なところでしょうか。

 ウクライナの見方もちょっと違っています。クリミア半島で親露側が自警団監視の下行われた住民投票を当時のオバマ米国政権は「民主的ではない、国際法違反だ」と非難しながら、その前にウクライナで親露政権を引きずり下ろした親欧米派の暴力には全く言及しないと。

 ウクライナではむしろ、アメリカやEUに対する不満がよく聞かれるようです。両者とも民主化革命を煽るだけ煽っておいて、親欧米政権が樹立してもほとんど支援してくれないという。目的は”民主化”ではなかったからなのかもしれませんね。

推論の飛躍は大きいものの、学びも多い

 全体を通して事実から推論する際の跳躍が大きく、必ずしもそうとは言えないという印象はあるものの、自由資本主義における金融資本へのインセンティブは陰謀などなくても、自然とそのような方向に働くだろうなと思いました。金融の権益で地球を覆ってしまえれば、あとは事件が起きてお金があっちからこっちへと流れることでネットワークとして儲けを大きくしていけるのだから辞められないだろう。

 また、以前ロシアに駐在経験のある方と話をしていて、違和感を感じていたロシア、プーチン大統領の見方についても新たな視点を得ることができ、納得感が出てきた。ユダヤ人が大切にしていることを含めて、今後もう少し深めていきたい課題だと思った。

 結局のところお金というものは政治につながっているのだけど、物売りの経済だけでなく、金融を含めた場合、資本側のインセンティブが直接戦争や紛争につながるのだということを認識することができた。ニュースを見る目を鍛えるにしても、必要な学びが多いこと... 負けないぞ!(おしまい)

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